餅玉5
衝撃の事実を聞いた気がする。
いや、怪異と付き合ってるってどういうこと!?
メリーさんってそういうキャラなの!?
ダメだ。突っ込みしか思いつかない。今はそれどころじゃないんだから、横に置いておく。冷静に。ふーっ。
よし。
「メリーちゃん!怪異であるところのキミに聞くのもなんだけど、おれたちどーすればいいと思う!?」
京也さんの質問に、メリーさんは少し考え込むような他を作った。
『……私、メリーさん。屋上にはいけないの』
屋上。
この学校唯一の、安地。
「屋上だね!ありがとう、メリーちゃん!愛してる!」
『はわわ…っ』
聞いているこちらが真っ赤になりそうな火照った声を発して、メリーさんからの電話は切れた。
恐るべし、京也さん。
愛の言葉でメリーさんを撃退する人をわたしは初めて見た。
『うふふ』
身の毛のよだつような笑い声が耳を打った。
廊下の突き当たり、角から真っ白な手がぬらりと出てきて壁をつかみ、ズルリ…と音を立てて鏡餅が姿を現す。
「先回り……っ!?」
慌てて止まる。
『どうしてにげるの?』
『いっしょにあそぼ』
『あはは』
『うふふ』
「だめだよ」
京也さんは首を振った。
「千鶴ちゃんは、キミたちの仲間じゃない。キミたちと一緒にはいられないんだ」
「え……」
「ごめんね」
呆気に取られるわたしを引きずって京也さんが踵を返す。
ギリギリギリギリ……
背後で歯軋りする音が、重なって聞こえた。
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