表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆高校生(=世界一おバカな生き物)による学校の怪談 【旧:うちの学校はおかしい】  作者: 駄文職人
照間邦彦の場合

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

146/147

封印

 淀んだ水の中を泳いでいるような感覚だった。


 唐突に、硝子を割る音が激しく響く。



『どうしてこんな簡単な問題もできないの!』


 ヒステリックな声が耳をつんざく。


『お前は本当に落ちこぼれだな。姉さんを見習え、あの子は頑張っているぞ』


 諭すような男の言葉に、嘲りの色が混じる。




 俺の記憶じゃない。


 俺は知らない。



 ーーこれはきっと、晴海の記憶だ。




 お前はそこにいるのか。

 存在を確信し、俺は奥へ奥へ、更に堕ちていく。




 潜る

  潜る

   潜る



     黒

       を

         掻

           き

             分

               け

             て

           い

         っ

       た

         、

           そ

             の

           先

         に



 見覚えのある、長い髪。



「見つけた」



 闇の中ではないから、黒の中で晴海の姿がはっきりと見える。




 晴海は、目を閉じていた。


 眠っているのか。


 しかし、近付いていくとこちらの気配に気が付いたようで、薄らと目を開けた。




「なぜ来たのですか。来ないでと言ったのに」




 責めるような口調だった。


 晴海は、一度も俺にこんな冷たい感情を向けたことはない。


 いつだって晴海は、俺にすら腹の底を見せてはこなかった。


「迎えに来た」

「頼んでいません」

「うるせぇ。俺が何しようが俺の勝手だろ」


 負けてはいけない。


 今の晴海はまともじゃない。


 長い時間、深淵の奥底に囚われ続けて平静でいられるはずがない。鬼の瘴気に満ちたここでは、人の悪意が剥き出しになって襲ってくる。


 御守りを持って浅い層を漂っていた京也は無事だった。



 では、何も持たずに最奥に閉じ込められていた晴海は?



「邦彦くんにだけは、醜い私を見られたくなかった……」


 顔を覆った指には、長く鋭い爪が伸びていた。


 綺麗だった艶のある髪の合間からは、毒々しい赤の角が生えていた。


 そして指の間からこちらへ向けられた目は、



 縦に裂けた瞳孔が憎々しげな金色で爛々と輝いている。


 その背中には一振りの古びた脇差が刺さっているのが見えた。






 晴海は、鬼の封印と同化しているのだ。

次回1月30日7:00に更新します。

※もし気に入っていただけましたらポイント評価、感想、ブクマ、レビュー等をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ