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◆高校生(=世界一おバカな生き物)による学校の怪談 【旧:うちの学校はおかしい】  作者: 駄文職人
照間邦彦の場合

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意地の張り合いの終わり

 数日後、珍しく京也が俺のところにやってきた。


「邦彦くん、ナギさんたちにおれのこと見張らせてたでしょ」


 受験シーズンの中学三年であろうことか金色に髪を染めた京也は、元気よく俺に文句を垂れてきた。


 前髪を掻き上げて、一見不良にも見えかねない容姿に変貌していやがる。これはこれで別の問題を招きそうだが、少し前までの辛気臭い雰囲気がなくなって本人はさっぱりとしたようだ。



 ちなみに河童と楽しく遊んだ連中は、あれきり京也をバカにすることはなくなったようだ。



 とりあえず心配はなさそうだ、と安堵する。


「ったく、見るたびに背負ってるモンが増えてくわ、周囲の空気は澱んでいくわ、お前の顔色は悪くなってくわ……。自分がどれぐらい危険な状況だったか分かってねぇだろ」


 ホッとして緩んだ自分の口から悪態がうっかりこぼれる。またやっちまった、と悔いても遅い。


 何事もなくて良かった、とでも言えれば俺ももう少し他人と上手く付き合えるのだろうか。


 だが、本当に危険な状態だったのだ。


 正直ここ最近は、見ていない間にコイツ首を括らないだろうなと冷や冷やしていたほどである。取り憑かれるってのはそういうことだ。


「ありがとう」


 驚いた。


 これまで、お節介だなんだと言われていたが、京也に礼を言われたのは初めてだった。


 穢れ玉と一緒に、張っていた意地まで落としてきたらしい。


 俺はまた要らぬことを言いそうになる口を一度閉じる。


「綺麗に消えてんな」


 何とか、憎まれ口を引っ込めて言葉を捻り出した。


 何が、とは言わなかったが、ちゃんと京也は理解して頷いた。


「カラスの皆さんに食べてもらったからね」


 ナギさんには感謝しかない。


 昔みたいに、また京也と話をする機会を作ってくれたのならば。


「ねえ、邦彦くん。もうおれを守ろうとなんかしないでよ。守られてばっかりじゃ、負い目を感じて君の友達を名乗れないじゃないか」






 言葉を、失った。


 信じられない。

 コイツは、俺をまだ友達だと思ってくれていたのか。


 もしかして、コイツを信じ切れていなかったのは俺の方なのだろうか。


「俺は……俺のせいでお前の人生狂わせたんじゃねぇかと思ってた」


 声が震えた。


 恨まれて当然だと思っていた。


 裏切ってしまったのは俺の方だ。だから、きっとこれは償いなのだと。





 友達を大切にしなかったから、俺は罰を受けているのだと、そう思っていたのに。





 俺の陰鬱な考えなど吹き飛ばすみたいに、京也は声をあげて笑った。


「やっぱり、邦彦くんはバカだなぁ」


 そうか。

 バカは俺の方だったのだ。






 更に数日後。


「なあ京也、瑞明高校に進学予定ってマジ?」

「マジだけど、何で知ってるの?」

「お前のトコの担任に土下座されたからだよ」

「えー」

「学校の評価とか俺はどうでもいいから別に止めないけどよ、家の人は何も言わねえの? A評価なんだろ?」

「ウチはみんな自由だから。邦彦くんはどこを志望するの?」

「俺は母親のせいで、生まれた時から瑞明高校に進学することが決まってる」

「どういうことなの……」


 平穏が、戻ってきた。

次回1月8日7:00に更新します。

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