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◆高校生(=世界一おバカな生き物)による学校の怪談 【旧:うちの学校はおかしい】  作者: 駄文職人
照間邦彦の場合

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裏切り

「なんで?」

「なんでって……信じなくたっていいだろ、お前は。……見えないのに」


 京也には霊感がない。


 だから、普通に生活してりゃアヤカシになんか関わる機会はないんだ。


 俺と仲良くしなきゃ、こいつは『普通』に生きられる。


「見えなかったら、信じたらいけないの」

「いや」

「邦彦くんは、おれに嘘を教えたの」

「そうじゃない、けど」

「じゃあいいじゃん。おれが何を信じたって、邦彦くんには関係ないじゃない」


 京也は責めるように言った。


 仕方がない。

 京也にアヤカシが実在すると、教えたのは俺だ。


 だけど。


「そういう問題じゃない!」


 つい、声が大きくなった。


 なんて言えばいい?

 どうすれば京也の興味をアヤカシから引き離せる?





「お前まで、一人になることないだろ……」





 やっと絞り出した自分の声は、なんとも情けなかった。


 俺のせいだ。


 俺が一人でいるのは構わない。苦痛じゃないからだ。連中は俺相手なら手を出さない。


 きっと、俺は心のどこかで見えない連中を見下していた。だから、あいつらが俺を気味悪がるのを「何も知らないくせに」と一笑に付して放置することができたんだ。


「悪い、俺が間違ってた」


 我ながら腹立たしい。

 自分のことしか考えてこなかった奴の発想じゃねぇかよ。


「俺が変な目で見られるのは、構わない。お前まで巻き込むなんて思ってなかったんだ」


 見えない連中と足並みを揃えるべきだった。


 ちゃんと『普通』を装おうとしてこなかったから、俺は唯一信じてくれた奴を傷付けたんだ。


「俺が変なこと言わなきゃ良かった。母さんの言った通りだった。みんなの輪を乱すようなことをしたらいけなかったんだ」


 母さんもじいちゃんも、『普通』に生きろと何度も教えてくれていた。


『普通』に生きるってのは、見えない連中とも波風立てずに生きろって意味だ。


 他の奴らにとって、視える俺は異質な存在だから。


「他の奴らにとっては『ない世界』なんだ。それで良かったんだ。それを壊そうとするから反感を買う。これからは……俺も気を付けるようにするから」


「もうおばけの話をするのはやめるってこと……?」


 信じられない、と京也は目を見開いた。


 アヤカシなんて見えなくていい。

 これからはちゃんと見えないふりをしよう。

『普通』の皮をかぶろう。



「その方が、みんなにとって平穏なら」



 友達を、傷付けないために。




「そうすりゃ、きっとみんなも変な目で見ることはなくなるから。最初っから()()だった俺はともかく……京也なら……。だから、京也も……」





「邦彦くんのうそつき」


 聞いたこともないぐらい、冷たい声だった。


 はっとして京也の目を見た瞬間、俺はまた間違えたのだと気が付いた。


 怒りをたたえた、暗く燃える瞳。





 俺のことを心の底から信じているコイツを、俺自身が裏切ってしまったのだ。

次回12月26日7:00に更新します。

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