御礼参り
固い床に叩きつけられる。
したたかに打ち付けた腰をさすって体を起こし、ようやく私はそこが学校の廊下だと気が付いた。
近くに図書室の看板が見える。ここは一階か。
「くっそ、なんなんだよもう」
悪態が漏れる。
何が何だかさっぱりだ。暴れろってなんだ、とりあえず廊下の窓全部叩き割っていったらいいのか。
誰も彼も、私なんかに託すんじゃないよ。
ドンッーー!
その時、校舎が揺れた。
音は上からだろうか。
そういや上から降ってきた先輩は屋上から飛んできていたな……。
私はフラフラと立ち上がる。
「一般人を、舐めるなよ」
私は猛然と階段を駆け上がった。
登る。登る。踊り場を蹴って、また登る。
目指すは、屋上。
バンッ
扉を蹴り開けた。
小さな人影が振り返った。驚きに見開いた闇色の目が、私を捉える。
「君は……」
かたわらには、さっきの先輩の姿もある。
そして、その向こうには、鎖でがんじがらめにされた、真っ赤な大鬼が屋上いっぱいに寝そべっていた。
そう、鬼だ。
守り神なんかじゃない。
コイツこそが、うちの学校の生徒を喰おうとし、私らを襲い、そしてヒナセを喰った張本人だ。
「学校を好き勝手に荒らし回ってんのはお前かぁ……!」
自分の喉から出したこともないような低い声が出た。
怖いとは思わなかった。
拳を握りしめ、地を蹴る。
対して、鬼が一声唸り私へ手を伸ばした。
私を容易に握り潰しそうな手を、私は回し蹴りで退ける。
脇をすり抜け、さらに一歩。
「守り神なら神様らしく、祠でおとなしく饅頭でも喰ってろぉぉぉぉぉ!」
私は凶悪な口を間抜けに開けた、鬼の横面に拳を振りぬいた。
次回12月18日7:00に更新します。
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