106/146
事態を変えうる、転換期に訪れるアレ
鬼とおれたちとの膠着状態は、廊下に響いた金切り声で転機を迎えた。
ドタドタと鬼たちが束になって何かを追いかけている。
おれのいる教室の前を通る一瞬、開けっぱなしのドアの向こうを駆け抜けていったのは。
「え、クマ?」
スマホを抱えたクマのストラップであった。
おれと大鬼が、同時に立ち上がった。
『ウガァァァァ!』
かたや激昂して大声を上げながら。
「ち、ちょっと待って!? そのスマホ貸して!?」
かたや訳もわからぬまま、それでもこの好機を逃してはならないと。
小鬼たちを飛び越えて、同時に廊下へ飛び出す。
追跡者の群れは一人の人間ーーつまりおれと、一匹の大鬼を加えて、ひた走るクマのストラップを追い校舎内を駆けずり回ることとなる。
次回11月28日7:00に更新します。
※もし気に入っていただけましたら、ポイント、いいね、ブクマ等をお願いします。




