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◆高校生(=世界一おバカな生き物)による学校の怪談 【旧:うちの学校はおかしい】  作者: 駄文職人
築城京也の場合

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雨降って地かたまる、っていうアレ

 鉄塔の一件から、数日後。



 教室の扉を勢い良く開けて、おれは邦彦くんを呼んだ。


「ちょっと話があるんだけど」


 邦彦くんは目を見開いて固まってしまった。


「そりゃ久々にまともに顔合わせるけどさ、そんなに驚くことないでしょ」

「いや驚くだろ……」


 邦彦くんは恐る恐る指を差した。








「お前、髪どうした!?」





 そんなに意外だろうか、と金髪に染めたばかりの前髪を引っ張る。


 何を隠そう、つい先程まで生徒指導に別室でめっちゃ怒られていたのだ。受験を控えたこの時期にお前は一体何をやっているのかと。

 別に問題ない、瑞明高校の校則は緩いから染めている人もいる、と答えたら同席していた担任の先生がひっくり返ってしまった。

 もっと上の難関高を目指せるのに、と泣かれた時は参ったが、心を変えるつもりはなかった。


 どこの学校を選び、どんな人生を歩むかはおれ自身が決めることだ。


「別に髪の色の話をしにきたんじゃないんだよ」


 教室にズカズカ入って行って、たまたま空いていた邦彦くんの前の席にドッカリ座る。


 クラス中から「なんだこのよそ者は」みたいな視線がちらちらと向けられたが、あえて無視する。どちらにせよ、手短かに済ませるつもりだ。




「邦彦くん、ナギさんたちにおれのこと見張らせてたでしょ」




 あの日、おれの靴が川に投げ込まれたことを知らなければ、連中に報復なんかできるはずがない。


 つまり、邦彦くんはおれに監視をつけていた。


「……あぁ。ナギさんが喋ったのか、お節介な……」


 こっそりやっていたイタズラに気付かれたように、気まずそうに邦彦くんは顔を顰めた。


「お節介は君の方じゃないか。おれは仕返しまでしてくれなんて頼んでないよ」

「悪かったよ。分かってる。……ただの俺の自己満だ」


 文句を言ってみると、邦彦くんは殊勝にも謝ってくれた。


 一応、やりすぎたという認識はあるようだ。


 邦彦くんは大きくため息を吐いた。


「ったく、見るたびに背負ってるモンが増えてくわ、周囲の空気は澱んでいくわ、お前の顔色は悪くなってくわ……。自分がどれぐらい危険な状況だったか分かってねぇだろ」


 心配した、と素直に言わないのは邦彦くんらしい。

 少し前なら苛ついたであろう物言いなのに、今は苦笑すら漏れた。


「ありがとう」


 だから、ようやくお礼が言えた。


 邦彦くんがおばけが見えると言わなくなったのは、おれを守るためだとちゃんと分かってる。

 おれにおばけがいるなどと言うなと告げたのは、


 これ以上おれが孤立しないためだ。


 じっと邦彦くんはおれを見つめた。

 正確には、俺の背後を。


「綺麗に消えてんな」

「カラスの皆さんに食べてもらったからね」


 離れていた距離を埋めるように、おれたちは言葉を交わす。


「ねえ、邦彦くん。もうおれを守ろうとなんかしないでよ」


 おれは、邦彦くんにお願いした。








「守られてばっかりじゃ、負い目を感じて君の友達を名乗れないじゃないか」






 邦彦くんは目を見開いた。


「俺は……俺のせいでお前の人生狂わせたんじゃねぇかと思ってた」


 震えた唇から、掠れた声が漏れる。


 そんな訳がないじゃないか。

 おれは声を上げて笑ってやった。


「やっぱり、邦彦くんはバカだなぁ」

次回11月27日7:00に更新します。

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