変電所から各地に電気を送るために建てられた、インフラの大動脈とも呼べるアレ
「よっ……と」
よじ登って鉄柱の上に立つと、景色がひどく小さく見えた。
人も、公園の遊具も、遠くのビルですら手の平に乗ってしまいそうだ。全て握り潰せる今なら何でもできてしまいそうな気になる。
更に上でけたたましくカラスが鳴いている。彼らのように翼を持っていたならば自由になれたのだろうか。
「どうでもいい……」
視線を落としてみると、アスファルトの地面はなんだか想像しているよりも近く見えた。
ここから飛び降りても着地できてしまうんじゃないか? という気さえしてくる。
飛んでみようか。
こんなに近いんだ、きっと大したことない。万が一怪我をしたり死んだりしても、
きっと、誰も悲しみやしないし。
『だから、一緒になりましょう』
背後から聞こえたささやき声に背中を押されて、
おれは、
宙に足、を
カァーーーーーー!!!!
カラスの大群が、おれの視界を塞いだ。
「うわっ!」
浮きかけていた足が鉄柱に戻され、後退りする。
ぐらり、揺らいだバランスを取るために、慌てて手近の縦に伸びている鉄柱をつかんだ。手に汗がぶぁっと噴き出す。
「あ、あぶな……」
『全くだわぁ』
思わず呟いた声に相槌を打たれるとは思わなかった。
『ここはねぇ、アタシらの溜まり場なのよ。みんなで会合したり情報交換するのにうってつけなの。うっかり死人を出して穢れさせる訳にはいかないのよねぇ』
呆気にとられるおれの目の前で、バサバサと羽ばたきながら狭い足場に着地した大カラスには、足が三本ついていた。
「八咫烏……」
体が知らず震えた。
『あらぁ。よく分かったわねぇ。アタシは……』
「八咫烏だーっ!?」
今まで頭の中を覆っていた霞がぶっ飛んだ。
次回11月25日7:00に更新します。
※もし気に入っていただけましたら、ポイント、いいね、ブクマ等をお願いします。




