漫画とかで過去編の合間に挟まる、現代時系列の幕間的なアレ
懐かしい記憶を思い出した。
なぜ今ここで昔のことを思い出したかというと、正座するおれの目の前に骨の折れたビニール傘が置かれているからだ。
他にも誰かの筆箱とか黒板消しとか、よく分からないものが並べられてもてなされている。
親玉鬼に挨拶を返してもらったことにより、ひとまずおれは供物から客人に昇格することに成功した。
ギィ
「あっどうも」
今、新たにビーカーを置くのに使われる三脚が置かれた。持ってきた鬼はそそくさとおれから離れていく。
理科室から持ってきたのかな……?
それにしても、懐かしいな。
唐傘おばけに盗られたサッカーボールは、数日後におれの家の玄関前に届けられた。
邦彦くんだと、すぐに分かった。
一人でボールを奪い返しに行っていたんだ。
お礼を言いに行った時、呼んでくれれば良かったのにと言ったら鳩に豆鉄砲食らったような顔をされたっけ。
そんな反応されると思わなかった、と言わんばかりで、その顔が可笑しくて大笑いした。
そんなおれたちの関係は、邦彦くんの発言を境にこじれていった。
今ならあれは、邦彦くんなりの優しさからきているのだと分かる。だけどあの時のおれは今よりずっと意地っ張りだった。
おれを気遣って、邦彦くんが無理をするのが嫌だった。おばけの存在を否定するために、邦彦くんが自分に嘘をつき続けなければならないなんて、我慢がならない。
おれは邦彦くんと対等な友達でいたかったんだ。
並べられたガラクタの中からどこから拾ってきたのか、黒い羽根を一枚拾い上げる。
「これ、もらってもいい?」
鬼たちに尋ねると良いとも悪いとも言わなかったが、止められはしなかった。
どうせだから御守りにしよう。
おれはポケットに羽根を入れて、立ち上がる。
鬼たちにもてなされるのもいいけれど、そろそろ帰らなきゃ。
おれの前に大鬼が立ち塞がった。
『ウガ』
座れ、と指で差し示される。
「ごめんね。そろそろ戻らなきゃ。菜子ちゃんも探さなきゃだし」
『……』
大鬼は見下ろすだけ。
どうやら帰してくれる気はないみたいだ。
周りの鬼たちもジリジリと距離を詰めてくる。
「あらら、これは……」
どうやって帰ろうかな?
次回11月20日7:00に更新します。
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