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仲良し


「…―め!!…棗っ!!」


誰だよ、…眠いんだよ、ほっとけよ。


「棗ちゅわーん」


…眠いって言ってるじゃん。心の中で。


「起きないと、ちゅー、しちゃうぞっ(はぁと)」

「はい、起きました」

「早っ」

「あれ?」


周りを見渡すと


「朝会終わったの?」

「うん、さっき」

「そっか」


あたしが寝ている間に朝会が終わっていた。


「寝顔可愛かったよ、棗」

「…いっくんはそんなキャラじゃないって信じてたのに」

「ははっ、ごめんごめん」


まぁ冗談って分かってるけど。


「いやでも、本当に可愛かったからなぁ、ね・が・お(はぁと)」

「ぶっ飛ばすぞ?早乙女くん」

「すみませんでした」



「ねぇいっくん」

「ん?」


イケメンだね。…じゃなくて


「王子と双子とトラは?」

「王子…あぁ、生徒会室に行ってるよ」

「…生徒会室」


あの連れて行かれた所か。


「棗も行くよ」

「あ、はーい」


待っててくれたのか。


「ありがと、いっくん」

「っ!?…なんでお礼?」

「待っててくれたんでしょ?あたしが起きるの」

「…んー、まぁね。じゃあ行こうか」

「ん」


照れたように笑ういっくんも、なかなか良いではないか。ふふふ。可愛かった。

2人で体育館を出ようとすると、


「俺のこと忘れてるでしょ、棗」


後ろから声がかかる。まぁ爽って分かってるけど。


「うん」

「なっ!ひどいなー!俺だって待ってたのにぃー!」

「ただ単に寝顔がみたかったんでしょ?」

「ち、違ぇしっ!」


そうなんだな。


「へんたーい」

「へんたーい」


意外とノリが良いいっくんと、爽をいじめる。


「違ぇっ!!」


反応が面白い。でもこのままじゃ生徒会室に行けないので、


「もう分かってるよ、爽。ありがとうね?早く行こう?」


爽に近寄り頭を撫でてやった。

これを兄貴にやると、よく効くのでやってみた。まぁ、爽に効くか分からないけどね。

なんで効くのかよく分からないけどね。




「っはい///!行きましょうっ!」



効いた。


「早く行きましょうっ!」


ものすごく効いた。



「あ、はい。だってよ?いっくん、早く行きましょう」

「うーん、ははっ。棗には敵わないなぁ」

「?何が?」

「なんでもないよ?早く行こう?」

「ふーん。そうだね」


よく掴めないな、いっくんって。


「ねぇ棗」

「何?」


右側にいる爽から声がかかる。右を向くと、うわぁ背、高っ!

あたし一応166㎝あるんだけど…、イケメンって恐い。と、変な事を考えていると右手に違和感が。


ふと見ると、


「…」

「へへっ」


手繋がれてる。え?なんで?


「…何この手」

「仲良しの印っ♪」

「…」


何こいつ。トラが言ってた台詞なら、ずっきゅんどっきゅんなのに…。右を見れば爽。でも、まあ


「ほう、仲良しの印ね」

「そう!」

「ふーん」


受け流しといた。


「じゃあ俺も」


すると今度は左から。


「…」

「手小さいね」

「…なんでいっくんまで」

「仲良しの印、でしょ?」

「しかも、さっき俺って言ってた」

「気のせいじゃない?」

「はい、気のせいにしときます。なのでそんな(黒い)笑顔でこっちを見ないで下さい」

「ははっごめんごめん」

「…」

「つい」

「…なぜ、頭を撫でられているのでしょう」

「気のせいじゃない?」

「…はい」


黒いっ!!恐ぇっ!!!







「何この状況、…とてもシュール」


周りからあたしたちを見れば、地球人に捕まった宇宙人状態なんだろうな…。2人共背が高いし。


「はぁ」

「ため息つくと幸せ逃げるよ?」

「そうだよぉー棗っ」

「じゃあ手を離して下さい」

「やだ」「無理」

「…」

「…」「…」

「…はぁ」


自由に歩きたいです。




手を繋いだまま、生徒会室の前まで着きました。3人で“仲良く”歩いて来たから5分くらいかかった。


「…着きましたけど」

「うん」「だね」

「…いや、だから着いたんですけど」

「「知ってる」」


「…手」

「あ」「あぁ」

「離さないの?」

「…」「…」

「…」


何で沈黙っ!? 困るから!沈黙が1番困るからっ!!!

2人は見つめ合いニヤリとすると


「このまま」「入ってみよう」


と言った。


「…はーい」


2人共悪い顔してる…何で…。





ガチャ と、扉を爽があける。


「棗、連れて来ましたよー」


爽が言うと聞こえてきたのは


「「遅ーい」」


双子の揃った声。すげぇよな、揃うって。


「早く入りなよ」


これは…王子の声か。

あ、ちなみにあたしといっくんはまだ部屋に入ってません。…てゆーか、爽が邪魔で入れない。


「ほら、おいで~」


あなたが邪魔で入れないだけよ? しかもニヤついてて気持ち悪い。


「はぁ…入るからどいてよ、爽」

「よろこんで~」


はぁーーー…。



その時いっくんが後ろで笑っていたのを、あたしは知らなかった。

後でトラが教えてくれました。







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