表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢見の三島シリーズ

不安になる夢

作者: 颪金

 その時、俺は人ごみの中にいた。

 大勢の人で賑わう市場にいた。

「……あれ?」

 ふと、大事な事を思い出した。

 俺は、誰かと一緒にここに来ている。

 そして、その誰かとはぐれてしまった。

 それが解った途端、とてつもなく不安になってきた。

 辺りを見渡しても、見知らぬ人だらけで、焦りが募る。

 人をかき分け、進もうとするが、人以外に何も見えてこない。

 その時、誰かに手を掴まれた―――。


「……! 起きなさい!」

「!!」

 次の瞬間、俺は自分の机の椅子に座っていた。

 ……どうやら、突っ伏して寝ていたらしい。

「あんた、大丈夫? うなされてたわよ……」

 母親が心配そうに顔を覗き込んだ。

「だ、大丈夫……多分」

「また悪夢? ここのところ多いって……」

「いや、今のは、ちょっと毛色が違う」

 ここ最近、悪夢にうなされることが多くなった。普通の人なら、気のせいとか、心理的な問題で済むかもしれないが、寝ると必ず夢を見るこの体質だと、少し不安になる。

 夢を見るのが怖くて、勉強をしたりして眠らないようにしようとしたのだが、睡魔には勝てず、運悪く眠ってしまった。ノートにミミズが這った様な線がある。

「無理は良くないよ、早いうちに爺ちゃんに相談しよう?」

「うん……」

 この体質の事が解る祖父に相談しようという事になったのだが、未だに実現出来ていないでいる。

 理由は、三日前に入ったとある知らせによるものだった。

「……叔父さん、まだ目覚めてないのか?」

 母親に訊くと、暗い顔をして頷いた。

 叔父さん……正確には母の弟が、とある事情で現在病院にいるのだが、意識不明らしい。叔父さんの父である祖父にも話が行き、向こうは向こうでバタバタしているそうだ。

「夢……見てるのかな、あいつ」

 母の言葉にハッとした。

 夢は、目覚めれば終わる。

 でも、叔父さんは、意識不明……夢を、見続けている。

 終わらない悪夢を見ているのかもしれない……。

「叔父さんの所に行く」

「え?」

 立ち上がって身支度を始めた。

「叔父さんを一人ぼっちには出来ない……」

「……ちょっと待ってなさい、車用意するから」

 急いで部屋を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ