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VRゲームの裏歴史

作者: 江 今ヰ

今世間では常識としてVRMMO等フルダイブ系ゲームのプレイにおいてアバターと本来の体型に齟齬が少ないか全く無いようにされている。

それは何故決められたのか。

数々の治験や実験の結果定められた。


数年前。

とある軍事企業。

統一した装備の軍事訓練の為、同一のアバターを多数の人間が操る実験が行われた。

全く違う体格の人間はアバターを上手く動かせず、長時間掛けて動かせるようになってもシステム内からダイブアウトすると現実で体を動かすのにまた同じ時間だけ訓練の時間が要った。それにより連続的な実験が出来ずに遅々として開発は進まなかった。


とある研究機関。

体に生まれつき欠損のある人間が、アバターでは理想の体型で活動してみようとした。

だが先天的欠損部分は動かすことができず、また体型も違うために動く事ができず脳の負荷が強く多数の人間が気絶する事になった。

いつしかマスコミにリークされ、身体障害者のための治験が障害者を人体実験に使っているとして非難され、無知な世間は治験と言えども障害者の人権を守れと騒ぎ立てた。


とある民間企業。

「最終目標はVRMMORPGでしょ。デスゲーム出来ないの?デスゲーム」

「社長の発言が危ない件。デスゲームの前にモンスター娘でしょう常識的に考えて」

「アバターにエルフ耳ピコピコ猫耳ピコピコ犬尾ブンブン羽パタパタの実装が先だ」

「MMORPGならとにかく敵キャラが居なきゃ話が進みませんよ?」

「今の所VRシステムでできるものから開発していかないとモンスター用技術が溜まりません。フサモフもエログロもUMAもSAN値直葬も架空のモンスターも」

「理論上一人用のVRゲームは実装可能っすかねー。MMOにするのにはNPCを越える進化型AI作成が必要かなと」

「AIに教育者というか先生をつけたら勝手にモンスター作ってくれないかね?」

「それだ」

「モンスター型アバターにフルダイブ出来れば非実在のモンスター用AIも育てられないか?」

「それだ」

「一人用VRシステムとかゲームでヒト用AIや亜人用AIやモンスター用AIなんかを育てて、環境構築も箱庭やシミュレーションゲームを元にAI育ててって感じで行けばゲームシステム以外の大枠くらい出来そうじゃないか?」

「それだ」

「AIも開発者の一員くらいに育ったら理想だな」

「そしてデスゲームだな!」

「はい皆さん、それだしか言わない社長にはAI教育を絶対させないように」

「はーい」

「なぜだ!」

「ともかく、いろんな形のアバターにダイブ出来る人材が居たら最高なんだが」

「ああ、アバターと体型の違いが問題起こしてますもんね」

「あの動けなくなるってやつか?」

「TSとか言って巨乳アバター作った同期の奴がダイブアウトしたら下半身おかしい胸がおかしいって数日は使い物にならなくて」

「二次元キャラみたいに整形したアバター使った奴も顔が顔がおかしいとか一時間は言ってた」

「それからは仕事に差し支えるからアバターを弄るのは禁止って事にしてるが、色んな変形アバターに対応出来る奴居るのか?」

「専用の人員を募るしかないと思います」

「希望者を雇用しても対応できなかったら意味がないぞ」

「アルバイトのデバッカーみたいにテストプレイヤー募集とかにして対応出来たら引き抜き、みたいにしたらどうかね」

「それだ」

「待って下さい。既存のVRシステムで問題が起きるなら改良したVRシステムの構築の方が安全ではないでしょうか」

「VR空間システムとVRフルダイブシステムは纏めてプラットフォームも出されているのにか?」

「変形アバターとは五感が正しく対応しない時点で、多分VRフルダイブシステムはある意味未完成なのではないかと」

「フルダイブシステムを作り出した天才は亡くなったからな…未完成という表現は正しいのかもしれん」

「ふむ、改良VRシステムは社内特秘で開発専用にし、既存VRシステムのアップデートがあるならば改良システムにも反映させれば良いか。情報が漏れたらそれ相応に始末するがな」

「腹黒副社長キター」

「改良は可能なのか?」

「改良だけなら、その程度の天才技術者は居ますねー」

「できた改良システムは、既存システムでは変形アバターに対応出来ない人間でも使えるようになるが、悪影響は無いのか?」

「それは出来てからの課題っすね」

「そうだな」

「ではまとめるぞ。各種AIの開発と育成のため既存VRシステムで一人用ゲームを多種多様に開発。変形アバターに対応できる者、AIの教育者の確保。同時進行でVRシステムの改良。最終目標はデスゲームだ」

「いい加減にしろ!」


数年後の今、VRシステムを利用する際には現実の体型データを使ったアバター構築が当然の事となった。

ゲーム等では亜人と呼ばれるキャラクターまではアバターとして実装が可能となったが、耳や尻尾や羽などの付属品は意識的に動かせず、感情や動作のバランスを読み取り自動制御となる。


そして数十年後、昔VRゲームのサードパーティーとして名を上げた新興企業は、今や勢力をゲーム業界に留まらない。

ロボティクス企業を買収し、独自のVR技術を医療機器に転用したリハビリ器具や感覚を感じる各種コンピューター制御義肢、無くなった視力を取り戻せるコンピューター制御義眼等を開発し、世界中に名を響かせるようになる。


とある民間企業。

「やはりデスゲームまでには寿命が足らないようだな」

「新作のデスゲーム風死んだらキャラリセットMMOで満足して下さいよ社長」

「満足できん」

「副社長、社長は下手の横好き、ゲーム操作苦手でマジすぐ死ぬから新作も最初の町から全然進まなくて拗ねてるだけっす」

「プゲラ」

「今笑ったの誰だー!」

「それにしてもロボティクス技術だいぶ進みましたね」

「開発部長が自分で自分の義肢義眼作るのに懸命だったからな…」

「あのアニメシリーズの最終話映画館で上映初日に見る為にマジ命懸けだったからな…」

「AIに手伝って貰って改良VRシステム内で研究室作って最高の時間超加速した上でプログラム作り上げやがって…」

「開発部長が一晩でやってくれました」

「ネタ過ぎるわあのアホ」

「副社長と営業部長が折角だからって技術持ってるロボティクス会社買収しちゃうし」

「社長ハブで」

「いきなり明日買収するから最終的な折衝してねとか言われた俺涙目」

「その時全俺が泣いた」

「ところでAI達の先生とか改良VRシステム使ってた人達とか、その子供達とかどうもVRシステムとの相性良すぎるんですけど放置してて良いんですかね」

「人材として確保はしないけど一応全員の情報は把握してるよ」

「変形アバターも既存VRシステム用ゲームソフトに改良ソフトちょっと突っ込んだら簡単に使っちゃったし、ゲーム内時間超加速に対応したりするし、ダイブアウトしてもケロッとしてて脳大丈夫なんすかね」

「そのうち新人類とか呼ばれるかもな」

「人類と言えど進化はしていくものだろう。その切欠がVRシステムだっただけだと考えている」

「今は只のゲーム内チートだろ。俺Tueeeeさせときゃ勝手に満足するさ」

「それよりロボティクスが進んでそれこそアンドロイドやパワードスーツとかいつかは巨大ロボが実現出来そうじゃないか」

「AIが成長してデスゲームになるまでSF方向か。それはそれで滾る」

「VR医療の方も勧めたいんだが。先天性の疾患や障害の対応が、それこそ無いものに対応出来る新人類達の脳構造研究が出来りゃ対策が出来そうだ」

「はっ!そりゃ病気の娘治して惚れられるフラグか!欠損女子萌え」

「黙れジジイ」

「まだ心はオッサンだ!」


VRゲームの闇は色々な意味で深かった。


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