7.旅とテンプレ
ちょっと遅くなりました
「それじゃあ。短い間でしたが、ありがとうございました」
「はいはーい。まあ私もすぐ冒険者に戻るだろうから、何かあったら通信石で呼んでねー」
「はい。…それじゃあいってきます」
「いってらっしゃい」
レトフさんとの別れを済ませ、リーンさんとの集合場所に向かう。
…このまま1人で街を出てしまおうか。
「おはよう!ヤコウ君!」
…見つかった。ちっ
「…おはようございます」
「何か元気ないけど大丈夫?」
あんたのせいだよ…
……………
「ところでさ」
「何でしょう」
「ヤコウ君は何でそんなに荷物が少ないの?」
「…スキルがあるからです」
「…何か隠してない?」
「…気のせいじゃないですか?」
「何のスキル?」
「…」
「…やっぱり何か隠してない?」
「さあ!次の街へ行こう!出発!」
「誤魔化した…」
ちなみに荷物が少ないのは空間属性の<アイテムボックス>という魔法のおかげである。
チートスキルの事は話していないので、当然上級魔法のことも話していない。
話すと絶対面倒くさい事になるからな。
「次の街まで3日かかるけど野営用の装備持ってる?」
「…え」
そういえば全く考えてなかった。いざって時には魔法の転移を使って飛ぶつもりだった。それもこの人がいるので使えないわけだが。
「そういえば忘れてました」
「やっぱり私がいて良かったでしょ!」
「…」
俺のぶんの野営装備を買って再度出発する。
ついでに特殊魔法の{探知}を発動しておく。
この魔法は魔力をこめる量で範囲を指定すると、その範囲に入っている敵に反応する便利な魔法だ。
とりあえず出来る限りの範囲まで広げてみたら、えらい事になったので大人しく500mくらいに留めておく。
暫く道を歩いていると、反応があった。道の先に何かいる。
{千里眼}という魔法を使う。これは自由に透けて見える万能望遠鏡みたいなもので、魔力をこめると、遠くが見え、見ているものを自由に透かして見える。…悪用はしない。
…豪華な馬車が盗賊っぽいものに襲われている。騎士が応戦しているようだが、盗賊の数が多く、苦戦している。
({風弾}発射!)
盗賊の頭に風の弾をぶつけて気絶させる。
そのまま何もなかったかのように道をリーンさんと喋りながら歩いていくと、さっきの豪華な馬車が見えてきた。
「あの馬車、止まってるけどどうしたのかな」
「何かあったんですかね」
リーンさんが「気になる」というので一緒に走って馬車のところまで行く。
「あのーどうかしたんですか?」
「ッ!何者だ!!」
「ただの冒険者ですけど…どうかしたんですか」
と言いながらギルドカードを見せる。犯罪をするとギルドカードは剥奪されるので、ギルドカードを見せれば犯罪者でないことは信じてもらえる…はず。
「いきなり盗賊に襲われたんだ」
「1人で倒したんですか?強いんですね」
「いや…戦っていたら突然こいつらが気絶したんだ…」
「それは…不思議な事もあるもんですねぇ…」
「ヤコウ君何かした?」
「…何をですか?」
「魔法で倒した…とか」
「できませんよ。下級魔法しか覚えてないですし、MPもそんなに無いんですから」
「何か怪しいなあ…」
「あの…お二人とも…」
「何でしょう」
「次の街まで護衛をしていただけないでしょうか…勿論報酬はお支払いしますので…」
「…」
騎士から一旦離れてリーンさんと話し合う。
(「どうする?ヤコウ君」)
(「報酬払うっていってるし金がない俺としては引き受けたいです」)
(「私もいいよ。元々ヤコウ君についてきてるだけだしね」)
「IランクとGランクで弱いですが、それでもいいのなら」
「ありがとうございます!大丈夫です。人数が増えるだけで戦いやすくなるので」
「ところで…この馬車いったい誰が?」
「それは…」
「それは私から説明します」
騎士のセリフに被せるようにして、馬車のなかの誰かが言った
(盗賊から助けるっていったらやっぱり商人か…)
「金持ちの美人なお嬢様だよなあ…」
馬車から出てきたのは綺麗なドレスを着た人だった…。
テンプレすぎるだろ…
読んでくださってありがとうございます
最初に考えてた話しからドンドン逸れていく…
最初は1人旅から影の英雄とかになる筈だったのに…
あれれー…?