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marionnette【アルバート】

 いつしか俺は人形のよーになってたんやな。勿論操るんは真里亜や。


 今日も1日元気に行こか!

そう思いカレンダーを見る。するとホワイトデーの文字。あぁしもた!今日は御返しの日やんけ!何も考えてへん。急がなアカン!


 超特急で買い出しに向かう俺を、バスが後押しした。


ほな材料を!


 ・・・と思たが、ホワイトデーに渡すんは飴ちゃんが決まりやろ?どうやって作ればええのかさっぱりや。ここはもう・・・買うか?まぁ他の奴も結局買う方法を取りそうやしなぁ。でも手作りの方がええよなぁ。


 よし、頭の中で考えてみよ!まずは買った場合や。


「わぁ、御返し?有り難う」

・・・どう考えてもそれで終わりやんなぁ。ほな次は手作りや。


「わぁ、御返し有り難う!・・・これ手作りなのね。わざわざ私の為に――」


 おっ、こっちの方が良さげやな。でも怪我とか絶対するしなぁ。味も心配になるし・・・うーん、何とも言えへん・・・。


 やっぱここは誰かに教わりながらやった方が良さげやな。誰に聞こか・・・。璢夷は忙しそうやし、紫綺とはあんま関わり無いし、カインもケインも料理すんの見たことないし・・・ん?ならアイツはどうや?なんや器用そうやし。よし、そうしよか。


 俺はあのモテ男のところへ向かった。


「おーい、モテ男おるかー?」


「モテオって誰のことですか?」


 そいつの部屋の前で大声を出すと、簡単に部屋から出てきた。それにしても自覚ナシってなんやムカつくわー。


「お前の事や、お前!」


「僕の名前は弧中緋威翔ですが。」


「あーもうええわ!」


 あのキリリと澄ました態度、ムカつくわー。俺もあんなやったらモテたんやろか?ないない!ありえへん。まず俺にあの態度は無理や。


「あの、コントじゃないですよね?」


「用があったんやけどもうええわ、自分でどうにかする」


「用があったのなら先に言ってくれれば良かったのに。力になりますよ?」


 俺が踵を返して帰ろうとすると、奴は俺を止めた。意外にいいやつなんやな。


「その言葉を待ってたんや!ほな、手伝ってもらいましょかー!」


 俺はそのまま緋威翔の部屋にあがりこんだ。材料は後から揃えればええ。とりあえず作り方を教わらんとな。


「飴ちゃんの作り方知らへん?」


「飴・・・・ですか・・。鼈甲飴などなら簡単ですが、その他は大変ですよ?」


 あいつが大変言うなら大変なんやな。ほな違うのにしよか。


「なら、簡単なものって何や?」


「クッキーは如何でしょう?」


「クッキーやと?」


「生地も材料を混ぜるだけですし、後はオーブンに任せれば出来ます。軽い口当たりから、好まれること間違いなしですよ」


「そう言われてみればそうやな」


 あいつの言うがままになるのは嫌や。けど真里亜の喜ぶ顔を見るためや、我慢するしかない。その先に極上の笑顔がまっとることを信じて、やるしかないんや。


 俺は緋威翔の指示通りに行動し、クッキーを作り上げた。こんがりと焼きあがったクッキーからはなんともいい香がする。思わず味見というよーに全部を平らげてしまいそうになりながら、俺はクッキーを綺麗に袋に入れていった。


 袋は透明で、中が見えるよーになってる。この決して豪華ではない袋に入ったクッキーなら簡単に手作りってわかるはずや。


 俺は簡単に緋威翔にお礼を言い、真里亜のもとへ向かったーー。


どないな顔で出迎え、どないな顔でそれを受け取るんや?今から楽しみでしゃーない。


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