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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』 ―千賀真琴と御上千聖の恋―  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『秘密のエグゼクティブ・ラブ ―triplet life編―』
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第8話:初めての“4人育児外出”と、出先での奇跡



―こんな大所帯でも、外に出れば“家族”として見える奇跡がある。


春の土曜日。

3つ子の検診と日用品の買い出しを兼ねて、

千賀家は初の“6人全員”での外出に挑んだ。


両手にベビーカー。

片方に2人乗せ、もう片方を真琴が抱っこひもで担ぎ、

胡春こはるは“お姉ちゃん”として隣を歩く。


「こはる、お願い。手、離しちゃだめよ」

「うん、わかってる。わたし、おねえちゃんだもん!」


周囲の視線を浴びながら、やっとのことで

検診と買い物を済ませた帰り道――


ふと、ひとりの女性が声をかけてきた。


「……あれ? 御上さんと千賀さん……ですよね?」


振り返ると、そこには――

副会長・相川涼子の姿。


「えっ……副会長!? なんでこんなところに?」

「妹の子どもたちの世話で来てたのよ。偶然って、あるのね」


3つ子と胡春を見て、思わず目を丸くする。


「……すごいわね。まるで移動する保育園じゃない」

「やっぱりそう見えますか……」

千聖が苦笑いを浮かべる。


ふいに、胡春が涼子の手をとって言った。


「これ、わたしのきょうだい! かわいいでしょ?」

「……ええ、とっても」


涼子は千聖と真琴に向き直る。


「あなたたち、よく頑張ってる。

仕事も、家庭も、ちゃんと両立してる。……誇りに思うわ」


そして、涼子は真琴に小声でささやく。


「そういえば、私たちの会長――

あなたたちの子どもたち、すっごく気に入ってるみたいよ」


「え?」

「美咲会長、こっそりあなたたちに“あるプラン”を温めてるって噂よ」


その言葉に、ふたりは目を見合わせた。


***


帰宅後。

リビングで真琴は、今日の偶然を思い返す。


「……こうしてるとさ、本当に奇跡みたいだよな」

「何が?」

「この家族が揃ってること。君と出会って、結婚して、4人の子どもがいて――」


千聖は微笑みながら、真琴の頬に手を添える。


「じゃあ、その奇跡に――もうひとつキスを加えようか」


ふたりはリビングで、熱く、深く、静かに唇を重ねた。


そのキスには、感謝と愛、そして“今日という日”を祝福する想いが詰まっていた。



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