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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』 ―千賀真琴と御上千聖の恋―  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『秘密のエグゼクティブ・ラブ ―triplet life編―』
29/36

第4話:つかの間の夫婦時間と、“育児より濃いキス”



―ふたりでいる夜に、遠慮なんていらない。


その夜。娘は千聖の実家に“お泊まり”へ。

家にふたりきりになるのは、何ヶ月ぶりだっただろうか。


リビングには、音楽もテレビもない静けさ。

けれどふたりの鼓動だけが、確かに空気を揺らしていた。


「……ねぇ、なんか静かすぎて落ち着かないね」

千聖が言った。


「……それでも、俺は好きだよ。この“ふたりきり”ってやつ」


千賀真琴は、ゆっくりと千聖の頬に手を添えた。

ふたりの視線が重なる。次の瞬間――


そのキスは、ゆっくりと始まった。


最初は優しく、確かめるように。

だが、すぐに熱がこもる。


千聖の唇が小さく震えると、真琴はその隙間に舌を滑り込ませた。

舌と舌が絡まり、唾液の音が静かな部屋に濡れた音を立てる。


「……んっ……ん、っ……」

千聖が息を漏らしながらも、身体を離さない。

むしろ、自ら真琴の首に腕を回す。


「……もっと……重ねて……」

千聖の声はかすれ、甘く、誘うようで――


真琴はソファに千聖を押し倒し、覆いかぶさった。

そして――もう一度、唇を深く重ねる。


音を立てるほどの、深く、濃く、長いキス。

ただの唇ではない。

互いの“心ごと”を吸い合い、確かめるキス。


「千聖……」

「真琴さん……今日は、いっぱいキスして。ぜんぶ、あなたのものにして……」


耳元に囁く千聖の言葉に、真琴の息が荒くなる。


そのあとふたりは、ソファで唇を離すことなく、

1分、2分――いや、数えられないほどの時間、

お互いを貪るように口づけ続けた。


呼吸すら交わり、肌と肌が熱で滲む。


「……これ、娘が見たら呆れるね」

「見せないわよ。これ、**“夫婦の時間”**なんだから」


最後にもう一度、深く、甘く、そして熱く――

何度目かのキスを交わした夜。


ふたりの心は、たしかに新たに結ばれ直していた。



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