第1話:再びの妊娠、そして“まさかの3人”
―愛は、3つの命に姿を変えて、ふたりのもとへやってくる。
ある春の朝。
娘を保育園に送り届けた後、御上千聖は病院の待合室にいた。
なんとなく身体が重い。眠気、だるさ、食欲の波――
どこか既視感があるその症状を、見過ごせなかった。
診察を終え、医師が静かに言った。
「……妊娠されています」
「……!」
「しかも――こちらをご覧ください」
画面には、3つの丸い影。
それを見て、千聖は言葉を失う。
「……3人?」
「はい。おそらく三つ子です」
その日の夜。
千賀真琴は、仕事帰りのエレベーター内でスマートフォンの通知を見て凍りついた。
【千聖:今日の夜、話があるの。ちゃんと座って聞いてね】
夕食後。
娘が眠ったあと、千聖が口を開く。
「……妊娠してた」
「……えっ、マジで? ほんとに?」
「うん。そして――三つ子」
沈黙。
真琴は目をぱちぱちと瞬かせ、コップの水を飲み干し、再び確認した。
「三……つ子って、3人ってこと?」
「うん。男の子、男の子、女の子の予定」
真琴は天井を仰ぎ、深く息を吐いたあと、ふっと微笑んだ。
「……そっか。にぎやかになるな」
「……怖くないの?」
「怖いに決まってる。でも、君が不安なとき、俺が支えたかった。
だったら、今度も同じ。君が命を宿したんだ。
俺は、父親として――全力で受け止める」
千聖の目に、光がにじんだ。
「ありがとう。……私、今回ばかりは、無理かもって思ってた」
「無理じゃない。君は、春のような力を持ってる」
そう言って、真琴は彼女のお腹に手を当てる。
「春に来た命――男の子は春夜と春翔、
女の子は桜羅。どうかな?」
千聖は驚いたように瞬き、やがて笑った。
「……いつ考えてたの?」
「娘が生まれて1か月後くらいかな」
「気が早すぎ……でも、素敵」
ふたりはソファの上で寄り添い、
もう一度――長く、深いキスを交わした。
この夜、ふたりの“未来”が、また大きく動き出した。




