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『秘密のエグゼクティブ・ラブ』 ―千賀真琴と御上千聖の恋―  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『秘密のエグゼクティブ・ラブ ―married life編―』
23/36

第10話:変わらない秘密と、これから



―“夫婦”という絆は、誰にも見せる必要のない愛のかたち。


娘が生まれて半年。

千賀真琴せんがまこと御上千聖みかみちさとの生活は、穏やかに、しかし着実に変化していた。


会議の合間にミルクのタイミングを思い出し、

資料作成の途中で保育園の連絡帳をチェックする。


そんな日々のなかでも――

ふたりは“夫婦”として、互いをずっと見つめていた。


***


夜、娘が眠ったあと。

リビングの灯りを落とし、真琴は静かに千聖を呼ぶ。


「……今日は、抱きしめてもいい?」


「……うん。私からも、お願いしようと思ってた」


ソファに座ったふたりは、自然と身体を重ねる。

言葉はいらなかった。

ただ、肌と肌が触れ合い、心が同じ温度になるまで――時間をかけて確かめ合う。


やがて、千聖がふと囁いた。


「ねぇ……まだ“秘密”って言い方、続ける?」


「うん。別に公表する必要はない。

会社じゃ“取締役同士”、家じゃ“夫婦”――

それで十分だろ?」


千聖は頷きながら、真琴の胸に顔をうずめた。


「私、この半年でね。あなたのこと、もっともっと好きになった」


「……俺も。毎日更新してるレベルで、君が大切になってる」


その言葉に、千聖は体を起こし、真琴の目を見つめた。


「じゃあ、証拠見せて」

「証拠……?」

「……いままでで一番、長くて、甘くて、深くて、熱いキス。

それで、全部わかるから」


真琴は笑って、ゆっくりと彼女を抱きしめ――

そして、唇を重ねた。


柔らかく、ゆっくりと。

深く、深く、どこまでも。

呼吸も、時も、溶け合うようなキス。


唇が離れたあと、ふたりは頬を寄せて微笑み合った。


「……ねえ、真琴さん」

「うん?」


「これからも、隣にいてくれる?」

「ずっと。死ぬまで。いや、たぶん……来世も」


「バカ……」

笑いながら、千聖はもう一度、彼の唇にキスをした。


***


リビングの時計が深夜を告げるころ――

小さく泣いた娘を、ふたりで見に行く。


ベビーベッドをのぞき込んで、微笑む真琴。


「……この子、君に似てるな」

「え? 私はあなたに似てきたなって思ってた」


どっちでもいい。

似ていようと、似ていなかろうと。

この命が、ふたりの“答え”であることには変わりなかった。


ふたりの秘密は、ずっと続いていく。

けれどその秘密こそが、愛の証だった。



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