なぜ、人は……〈2〉
【ご注意!!!】
残酷な表現があります。
また、人によっては受け付けない生き物の話題に触れています。
苦手なかたは、思っきし高速で画面を送られるか、バックで離脱してください。
さわやかな風を感じる頃だった。
エアコンをつけるまでもないと私は車の窓を開けて走っていた。田舎の一般道、ほどほどの速度なので車内には心地よい風が吹き込んでいる。
何気なくドアミラーを見て、
「! ひいっ」
つい、声が出た。
ホラー漫画(恐怖のホニャララとか、暗闇にナントカとかいう題がついていたり、さがみゆきの作品とか)の中でしか、そんな悲鳴をあげるやつァいねぇ!! と思っていたのに、この私が! 発してしまった。
なんとなれば、走行中の愛車のドアミラーから、いままさに、1匹のアマガエルが車内に入り込もうとしていたから!
「しっしっ」と追っ払えば逃げてくれる生き物について、私はさほど恐怖心は持っていない。そのはずだった。
しかし、そのとき感じたのは、まぎれもない恐怖だった。
辛くも電動ウィンドウは先んじ、その侵入を阻んでくれた。とっさに私はアクセルを踏み込み、緑のアレは風圧でどっかへ飛んでいった。
酷え、と言いたくば言ってくださって結構。半泣きの私の前には、もはやどんな惻隠の心も生類憐れみの令もありはしないのである。
先日も、スマホでネット小説を読みながらヘッドボードにもたれてウトウトしていた私の耳に「カサッ」という音が聞こえ、何かと思い目を開けると…………顔から5cmもない至近距離にソレがいた。いわゆる、カメムシだっ!
「!! ──っ!」
マジ、このときは声が出なかった。そして思った。
──待て! いま(私が)急に動いてコレが逃げてどっか行ったら、どこにいるかわかるまで安眠できなくなる! 気づいたことを悟らせてはいかん!
『7SEEDS』だったか、巨大カマキリと闘うシーンで動きを読まれると不利だとかいうのがあったのを思い出し、極力、顔を動かさず、手であるものを探す。
脳裏に歌が流れる。
幸い、ブツは私のすぐそばにあった。
目測でソレは約2cm。ぜったい、それなりにパワーがある。ハンパなもんじゃ太刀打ちできない、いっぱい、必要だ!
私は手にしたクロスタイプの粘着テープを長く繰り出し、ソレを付着させた。間髪入れず、グルグル巻きにする。そして、ビニール袋に2重にして封じた。
──勝った!
かくして、私はその夜の安らかな眠りをもぎ取ったのである。
それにしても、なぜ人は恐怖の瞬間に「ひっ」とか「ひいぃ〜」という悲鳴(?)をあげるのだろう?
そもそも、その意味は何なのか?
非? 酷い? ひやっとしたなぁもう?
そういえば「あはは」とか「きゃあ」とか「わあっ」も、どんなシーンで使う言葉かという認識はあれど、言葉そのものの意味は──?
注1 日本のホラー漫画界の女王だと私が思っている漫画家さん。
注2 人が生まれながらに持つ他者に対する憐れみとか同情の心、らしい。
注3 江戸時代の第5代将軍・徳川綱吉が制定した「生類を憐れむ」ことを趣旨とした諸法令の通称。 捨て子や病人、高齢者、動物の保護を目的とした、ってウィキに書いてあった。
動物さんだけの優遇だと思ってたよ(゜д゜)!
注4 富山県では一部の地域で「ヘクサンボ」という。
注5 田村由美の近未来SF漫画。
注6 あれ?誰のセリフだっけ、これ。




