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〈Essay〉日常の中に在るさまざまなこと。  作者: 高峰 玲


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◯◯の坂





 よくマラソン中継とかで

「──走者は✕✕坂にさしかかりました。心臓破りの( 注1)として知られております今レース最大の難所です」

とかいう解説を聞くことがある。それなら、さしづめその坂は、あれだ。


“小僧の足へし折りの坂”

 うん、身も蓋もございませんな。


 実際、その坂ではクラスの男子3( 注2)が足を骨折し、松葉杖で卒業式を迎えた。たぶんツルんでて事故ったわけではないから、最初の1人が負傷した後の2人はクラスメイトが骨折した話を聞いたのに、わざわざ同じ現場を訪れ、轍を踏んだのだ。どこまでつきあいがいいのか。そして、救急隊の人は「またかよ、この馬鹿ガキどもめらがっ!」と呆れたことであろ( 注3)

 まあ、実際、小学校の裏山なので歩いて行けて、なかなかにイイ傾斜の滑りゴコロをくすぐる坂だったのだろう。

 え、私?

 私はイヤですよ。なんで雪の降る真冬にそんなトコまで行ってミニスキ( 注4)しなきゃなんねぇんだ? しかも足を折る前例がすでにあるのに( 注5)


 雪国うまれ、雪国そだちの人間がみんなウィンタースポーツ好きとは限らないんですよ?


 幼気(いたいけ)な小学生だった私の若い脳みそ様には“スキー=骨折”という恐怖の方程式(?)が刻みつけられ、それは中学生になってから、部活顧問の教師(華奢な女性)がスキー場で男性(ゴツい?)とぶつかって転倒→骨折→入院したというエピソードで焼き付けられた。


 理屈ではない。コワいもんはコワいのである。


 ちなみに、(くだん)の坂は夏場はフィールドアスレチックコースとして、私たちの体力作りのランニングコースだった。かつてそこに多くの僧が住んでいたとの伝説がある千坊山(せんぼうやま)に、比叡山と僧兵が争うほどの勢力を誇ったという栄華のカケラは──ない( 注6)








注1 心臓破りの丘、とも。英語だとa heart-attack hillが最適訳らしい。別訳の Heart-Breaking Hill だとなんか「失恋坂」みたいで縁起(?)悪そう……。


注2 当時6年生は1クラスしかなく45人だった。実際どうなん? 6.66%の骨折者、これって多い?少ない?


注3 これは一種の都市伝説(いや、ど田舎だから“田舎伝説”?)なのか、冬季シーズン中は某整形外科病院の救急車が某スキー場でスタンバっていて、骨折したら直ぐに搬送されるようになっているのだと聞いたことがある。


 真実は、運ばれた人だけが知っている──?


注4 当時、流行っていたプラスチック製の短いスキー板。スーパーでお手軽に買えた。が、「上手く滑れない」という評判だった。


注5 骨折せず、坂を滑りきった“勇者”がいたというウワサは、ついぞ聞かなかった。


注6 大昔の規模を思わせるのは5キロほど離れたところにあるバス停の名前。当時のお寺の門がそこにあったからか「御門ミカド」という。








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