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譲れない思い

 ミラクルとマスターは、激しく打ち合い、息をつく間もないほどの戦闘を繰り広げていた。光と闇が交錯し、激しい衝撃が大地に走るたび、周囲の景色が歪む。二人の力がぶつかり合うたび、空気が張り詰め、まるで空間が割れるような感覚が走った。


 ミラクルは一瞬の隙を突き、手にした杖から一筋の鋭い光を放った。その光の矢は幾重にも分裂し、弾丸のようにマスターに襲いかかる。だが、彼は瞬時に剣を振り上げ、次々とその光の矢を弾き返した。「そんな攻撃で私を倒せると思ったか?」


 ミラクルの額には汗が滲む。彼女の力が尽きかける中、視界の端には破壊された大地が広がっていた。だが、彼女はすぐに動きを変え、瞬時にマスターの背後に回り込む。「どうしてあなたは、これほどまでに冷酷なの?」怒りを込めて叫びながら、彼女は力の限り杖を振りかざす。空間が揺れ、熱を帯びた光が彼に向かってほとばしる。


 マスターは素早く身を翻し、地面に剣を突き立ててその衝撃を受け止めた。彼の足元に亀裂が広がり、大地が割れて砕け散る。「冷酷?それが未来を守るための代償なら、私はいくらでも受け入れる!」その言葉とともに、彼の手から放たれた衝撃波がミラクルを突き飛ばし、彼女の背中が岩に激突した。


 痛みが全身に走るが、ミラクルは歯を食いしばり、再び立ち上がる。「この戦いが、どれだけ私たちを傷つけるかなんて、あなたは気にしていないのね……!」彼女は、再び杖を握り締め、今度は手を広げて周囲の自然からエネルギーを吸収するように光を放った。彼女の体を中心にして、草木や風が命の鼓動を伝え、周囲の景色が淡い緑の光で包まれる。


 マスターはその光景に一瞬目を細めた。「自然の力に頼るとは……だが、それが私に通用すると思うな!」彼は剣を掲げ、その刃先に青白い炎を宿らせた。彼が放った斬撃は、空気を裂き、ミラクルの周囲に広がる緑の光を切り裂いた。衝撃波が彼女を再び打ちのめし、膝をつくミラクルにさらに攻撃が迫る。


「これで終わりだ、ミラクル。」マスターが冷たい声で言い放ち、止めを刺そうと剣を振り下ろす。しかし、ミラクルはその瞬間、全力で彼の腕を掴み、力を振り絞って再び立ち上がった。「まだ……終わらせない!」


 二人の視線が交錯し、彼女は彼に向けて渾身の魔法を放つ。白い光が瞬間的に爆発し、二人の間に強烈な閃光が生じた。爆風が巻き上がり、大地が吹き飛ばされる。二人はその中で互いに技を放ち合い、肉体と精神の限界まで引き絞られながら戦い続けた。


 息を切らし、傷だらけになりながらも、どちらも引く気配を見せない。ミラクルの表情には憎しみと悲しみが交錯し、マスターの顔には確固たる決意が宿っていた。


「なぜ、私たちは……」ミラクルの目に涙が浮かぶが、彼女はその感情を振り払うように再び杖を握りしめる。「それでも、私はあなたを止めなければならない!」


 マスターは冷静な目で彼女を見つめた。「理想のためには、誰もが覚悟を持たねばならない。お前が理解できないなら、ここで終わるだけだ。」


 最後の決着をつけるべく、二人は再び距離を詰め、渾身の力で技を繰り出す。彼らの戦いは、ただの衝突ではなく、信念と理想がぶつかり合い、互いの魂を削るかのような激しい戦いだった。

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