表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

日常の空

教官に始末書を書かされ、成績最下位の奴から忠告を受けてから3日・・・俺は何の変化も無く日常を過ごしていた。変ったことと言えば、あの訓練でフィオナが見せた戦闘軌道はとても最下位とは言い難い動きだったため「実は、かなりやり手なんじゃない?」と疑問を持ちだしている生徒が数人いるくらいだ。

しかし、俺の実力とは確実に次元が違う話しなので特に興味は持たなかった。


「あぁ、次のフライトは2週間後か・・・・・・・・・・・・・」と心の中で呟きながら退屈な座学の授業を受ける俺。

先生は教科書の内容を見ながら生徒達に各国の話をする。「なんで、侵略されて無くなった国のことまで勉強しないといけないのか?」と窓の外見ながら愚痴をこぼしてしまう。


この戦争が始まったのは今から36年前。スティンフィシナ共和国(旧アメリカ)がエドシナ(旧ロシア)とリスエント(旧日本)に奇襲攻撃をおこなったところから始まる。当時スティンフィシナは人口の爆発的増加、国内の砂漠化、自国内で起きたクーデターにより経済、政治、食糧問題に致命的な打撃を受けていた。

政府は状況を回復しようと色々な手段を使ったが、全て良い結果には至らなかったため、国連に援助を求めようとする。

その時、「ライネ・ルクセンブルク」(通称、アドルフ・ヒトラーの生まれ変り)と言う人物が現れスティンフィシナ国家を基礎から再構築し、それと同時に各国に侵略を始めたのだ。


侵略を始めたスティンフィシナは、猛虎のごとく攻め続け。小国だったリスエントはたった18ヶ月で全領土を失った。住んでいた場所を失った人々は、安全な場所を求め他国に移住したり、敵であるスティンフィシナに寝返る者もいた。その影響か現在は、どこの国も多民族国家になり果てているのが現状である。


各国家は、スティンフィシナを止めるべく経済、技術、資源とあらゆる項目で協力し反撃を始める。しかし、時は既に遅くスティンフィシナは地球の東半球の殆どを制圧し、その資源、軍事力も強固なものになっており地球を賭けた争いと言ってもいい状態になっていた。


と言うのが、この戦争の始まりらしい。正直なところ、俺が生まれる前の話だし学校で教わったことがどこまで本当なのかも疑わしい。

俺はただ、自分の強さを証明できればそれで満足だ。証明できるならどんなことだってする、それがたとえ人を殺すことだったとしても・・・


昼、座学時間に襲っていた激しい睡魔との格闘に勝利した俺は、食堂でいつものように仲のいい友達とくだらない話をしながら、本日のお勧めであるカレースパを食べていた。

カレースパと言うのはカレーをスパゲティにかけただけのシンプルなもので他に何も手を加えてはいない、他にカレーラーメンと言うのも存在する。

食堂は学校の敷地の5分の1の大きさで、その巨大な建物の中には全学年、全科の生徒がお祭りの時くらい賑やかに昼休みのひと時楽しんでいる。

そんな中に1人、もの静かにシーフードハンバーグを食べている少女がいた。


フィオナ・イェルネフェルト、成績は最下位でクラスではいつも1人。いや、正確には1人になってしまった、と言うのがただしい表現方法だ。

1年前までは彼女にも仲のいい友達がいた。

友達の名前は「アイナ・リビングシェル」成績はトップ、自機のメンテナンスも整備士顔負けの技術でやってのるしまつで、まさに天才と言ってもいいような生徒で。その反面、友達のフィオナは最下位で他の生徒からは2人のことを「天使と悪魔」と呼んでいた。

だが、そんな酷い言われようをしても、2人の仲は誰もが羨ましがるくらい良かった。



「そして、彼女は消えた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



1年前


「本日の訓練は、偵察任務だ。我々パイロットはただ敵機を撃ち落としたり、目標物を爆撃したりするだけではない。偵察も立派な任務だと言うことを忘れるな!」


教官はいつものように熱く語り始めるが、内心生徒達は制空権を飛ぶだけのスリルも何もない遊覧飛行くらいにしか思っていなかったのが現状で、教官の話などまるで聞いてはいなかった。

今日のチーム分けは、教官が「お前たちの好きにすればいい。」と言う投げやりな判断で好きな者どうしがなる当たり前の結果になった。


訓練は、1チーム1時間で同時に3チームが別々のルートにフライトに出ると言う内容で、私とアイナはケルト海方面に出ることに決まった。

偵察任務は専用の偵察機を使うものだと思っていたが、この学校はそこまでの予算はないらしく戦闘機に増槽をつけ無理やり航続距離を延ばすお粗末な結果になっている。でも私は不満は無かった、なんたって自分の愛機でフライトできるのだから。


私の愛機は、スピットファイア Mk. XIV成績2位の神名 アオイと同じ機体だ、私がこの機体を選んだ理由は、死んだ兄がこれのパイロットだったからと言うだけで特に他に理由はない。

正反対にアイナは入学前から色々な戦闘機のデータを調べ上げ、自分に合った機体を探しており最終的にリエル(旧ドイツ)のメッサーシュミットBf 109K(クーアフュルスト Kurfurst)を愛機にしている。

しかしこの機体(メッサーシュミットBf 109K)は、航続距離がとてもじゃないほど短く長距離任務にはむいていないのが欠点だ。

だが、アイナ機はその欠点を機体の大幅改造により克服している。いったい何がどうやって学生ごときがそんなことができたのかは謎だが、彼女はそれほど期待されていると言うことかもしれなかった。


「フィオナ準備はいい?」


彼女は急かさんとばかりに私に問いかけてくる。私は、その音声を聞いて彼女がとても楽しそうにフライトを待っている感じがしていた。


「いいわよ。」


私の返事と同時に、アイナは管制塔に離陸許可をとり機体を滑走路に移動させて行く。さすがに私も置いて行かれるわけにもいられず、アイナに続き機体を滑走路に移動させる。

2機が滑走路に並ぶと、アイナ機(メッサーシュミットBf 109K)が先手をきって滑走路を飛び立ち、その後をフィオナ機(スピットファイア Mk. XIV)が追うように飛び立つ。


「ねぇ、私達来年で卒業だけど・・いつ告白するの?」


離陸してからすぐに私達は話し始めた。やっぱり遊覧飛行するくらいにしかもえなかったからだ。


「やっぱり卒業の日!?」


アイナには好きな人がいた。

その子は、アイナが5歳の時に隣の家に引っ越してきた、当時アイナもこの町に引っ越してきたばかりで、友達もいなかったためか2人はすぐに仲良くなった。

それから二人は今に至るまで、同じような人生を歩んでいる。別に2人が一緒に居たいと思っていたわけではなく、ただ目指す場所が同じだったからで他に理由は無かった。

しかし、成長していくにつれアイナは彼のことが好きだと言うことに気付いた。

逆に彼の方はと言うと、まるで興味がなさそうだった。


「でもあいつ、まったくアイナに関心なさそうだし・・告っても冗談て思ったりして。」


私のい一方的な考えに対しアイナが反論の口を開く。


「そんなことないわ。ああ見えてるだけで、内心は気付いてる。」


その根拠がどこにあるのか疑問に思ったがここは聞かないでおくことにした。


「それで、フィオナの方はどうなの?  成績は最下位でも、受け止めてくれる人はいると思うよ?」


2機は海岸を越え海に出る。


「成績最下位は余計よ。」  


アイナの発言に少し怒るフィオナ。


目の前に黒い雲が青い空を隠し始めたとたんに、周囲は強風と大雨に見舞われる。

アイナは天候が悪くなったので引き返そうと考え、時計を確認するが帰還時刻までにはまだ早いし、計器にも以上が無かったためミッションを継続することに決めた。


「雲の上に行こうよ。」


アイナが今口に出して言おうと思っていたことをフィオナが先に口に出す。やっぱり考えていたことは同じだった。

2機はエレベーターを引き機体を上昇させる。

その時、アイナの眼に1機の機影を確認する。


「待って!今日、この海域を飛行するのは私達だけって言ってたよね?」


アイナはこの状況を冷静に判断する。


「うん、教官はそう言ってたよ。」


アイナはこの場をどうするか考える。


「フィオナ、前方2時の方向。敵機と思わしき機影を確認、すぐに近くの基地に連絡を録って。」


フィオナはすぐに近隣の基地に連絡をとり状況を伝える。


「こちら、イーグル。前方2時の方向に敵機2機を確認。スピットファイアとメッサーシュミットだ。」


「フルスベルグ了解。」


「フルスベルグからイーグル。敵機を撃墜せよ。」


「イーグル了解。」 「イーグル2了解。」 「イーグル3了解。」


「アイナ、敵機がくる!」


「今からじゃ回避は無理。行くよ!」


アイナは2対1なら勝てるかもしれないと判断し攻撃に打って出る。

2機が増槽を捨てようとした時、雲の上から敵機が2機が雲の層を破り現れる。


現れた2機は機銃のトリガーを引く。


横に並んだ2機の両翼から複数の閃光が輝く。


アイナとフィオナは咄嗟に増槽を捨てるのを止め、機体を左右にブレイクする。

敵機はそのままアイナ機に2機、フィオナ機に1機と分散し追い撃ちをかける。


「フィオナ大丈夫!?」


「ちょっとやばいかも・・・・」


アイナの眼にはスピットファイアが鷹に襲われる小鳥のように見えた。


「フィオナ、ここは私が囮になる。だから逃げて。」


アイナは考えた。

敵機の実力を考えれば2機とも撃墜される。

なら、少しでも時間を稼げる私が囮になってフィオナを助けようと。


「1人じゃ無理よ!」


フィオナは逃げたくなかった。


「正直、足手まといなのよ!勝手に墜ちるのはいいけど、それじゃ私の気分が悪い。だからさっさと消えて!」


私は嘘をついた。1人で3機を相手にするなんて恐くて恐くて恐くて恐くて恐くて恐くて仕方がなかった。でも、1人でも生きて帰れるのなら十分だ。

基本的にレシプロアメリカが好きです。しかし、アメリカが敵と言う始末!


文章、航空機関連と色々勉強不足なところもありますが、頑張りたいと思います。

ベタな展開で申し訳ない。


敵機はP-51マスタングみたいな機体だと想像してください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ