表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

「動画投稿者が初生放送で乙女ゲームしてみた」パート4

 よし。

 大丈夫。

 準備物はそろってる。できるよ。


 できる。

 やらなきゃ。


 『はーい。おはよう、こんにちは、こんばんはー。動画投稿者のさーちゃんです! とっても久しぶりの配信でとてつもなく、緊張してます! お聞き苦しいかもしれないけれど、お願いします』


 キター

 おひさです!

 今日はやめんなよ。

 さーちゃんだ。

 大丈夫? 無理してない?

 お疲れさま

 こんにーちは

 なんもできないのが、またきたよ。


 『配信予定動画にもたくさんコメントありがとうございます』

 厳しい言葉おおかったけど、仕方ない。


 『さっそく続きからーなんだけれども、そもそもまだ誰とも出会えてないのよねー』


 前回の続き。

 同級生との教室探し。

 授業中だったはず。


 『チラッとみて目があってそらしたんだよねー。えーっと』

 「佐山くんは、まっすぐ授業を受けている。寝るわけでも、他のことをするわけでもなくて。真面目な生徒。……って眺めてたら私が授業に遅れちゃう」

 『わかるわー。ってかえら。ほとんどの授業を寝て過ごしていた私。みんなもー? よかったー仲間だー」

 「異動授業はどうにかみんなの後を追いかけて、間に合ったけど、とっても疲れた」

 『地図頭にいれないとだねー。さーちゃん、地図回す人なの。あーよかったー。わかるよね? イミフって人もいるけど、共感もしてもらえて、安心。でね、地図が頭になくて、行きでみた景色と帰りでみた景色って左右逆でしょ? それだけで、パニックなの』

 「一日が無事すぎたけれど、授業の速度も時間もめまぐるしくて、ついていくのがやっと。中学校からそのまま上がってきた他の生徒のみんなは、中学からそうだったのかしら。なんだか慣れているように見える。同じように外部生の佐山くんは顔色一つ変わらずに、ホームルームのチャイム音と同時に教室を出ていった。教室は少しずつ部活動に行く人や帰宅する生徒で減っていく。……私はどうしようかしら」

 『お! ここで選択だね。えーと。まず、図書館に絢先輩。音楽室に緋里先輩。生徒会室に知博くんで……。絢先輩にも会えるんだね。今日道案内であったからかな? っとそもそもルートって何個だっけ』

 

 ぐだってんぞ。

 そこからかよ。

 もーさーちゃん頑張れ。

 

 『えーと。ルートは……4つか。佐山の雪都くん。絢先輩、緋里先輩、知博くん。だね。先輩枠で二人か。雪都くんは無口な感じかな? で絢先輩は優しい参謀、緋里先輩は自由人。知博くんはかわいい弟ってかな。さーちゃんの個人的な好みでいくとね? ってわかるって? えー話したっけ? ん? 好きな作品でわかる? えーはず。ってかそうだね。私わかりやすいか。コメントで正解が多数でています。そう! 絢先輩です。もーね。かっこいいのよ。自由な人に振り回される苦労人で、困った風にわかってくれたらもう百点って感じ。なので。ここは絢先輩に会いに行きます!』

 「図書館にいこうかな。今日の復習と明日の予習をしないと。……とっても静か。自分の足音だけが響いている。どこに座ろう……。えーと陽のあたる場所がいいかな。ここでえーと。数学にしようかな。と教科書を開いて、今日のところを確認して。この問題はここが大切って先生話をしていたな。で、この問題はこれが応用問題であって」

 『ねぇー。思ったよりちゃんと勉強してるんだけど。こういうのって省略されないの?』

 「つまってしまった。わからない。どうしよう……。手が止まってしまった。どこで止まりましたか? え? 声をかけられてびっくりした。いつの間にか正面に絢先輩が座っていた。いつのまに? ふふふ。すみません。とても集中して勉強していたので声をかけなかったんです。すみません。教科書を開いているから、勉強されていたんだろう。あ……えっと。ここなんですけれど。図書館だから小さい声で答えた。ここはね。そういって、自分のノートにすらすらと式が書かれていく。……ああ。そう考えたらいいだ。ふふ。伝わったようでよかったよ。ありがとうございます。隣にいっても? あっはい。すっと右側に座られた。学校はなれそう? 私が外部生であることは知っているから、気にしてくださっているのかしら。今日はありがとうございました。まだ教室の場所覚えてなくて……。うつむくと、ふわっと笑ってくださったんだと思う。そういう空気を感じた。この学校は広いからね。少しずつ覚えるといいよ。復習も予習も頑張っているみたいだね。佐山君もまだ迷うところがあるみたいで、聞いてきたよ」

 『この絵いいね。勉強教えてもらうとか、定番かな。横にきたのはびっくりだけれど、距離近いね。あーでも顔がいい』

 「ほかにわからないところはある? 絢先輩はとても分かりやすく教えてくださった。あっという間に時間がたっていて、チャイムが鳴ってびくっと顔をあげた。最終下校時間のチャイムだね。出ようか。はい。すみません、先輩の勉強の手を止めてしまって。いいよ。誰かに教えることは自分の理解にもつながるから。図書館にはよくくるの?」

 『お。ここで選択。よくくる。そうでもない。か。えーここってよく来るにしたら、絢先輩に会えるかな? ここが最初の場所だから、ここが基本になるのか? えーじゃあ』

 「よく来ます。宿題とかのために。頑張り屋さんなんだね。自分もよく来るから、声かけて。君さえよければ。それじゃあ気を付けて」

 『門で別れて、さらっと手を振って。ってかっこいいかよ。もー好きだね。これはさーちゃんの好みだけれど好きだよ。勉強頑張る! ってなるよー。まあさーちゃんは勉強苦手なので、実際は嫌なんですけど。っとさて。ここでいったん絢先輩とのちゃんとした対面ができたということで、今日はここまでにしようと思います』


 んー。

 またねー。

 ゆっくりだけどいいんじゃない?

 楽しんでねー。

 

 『ありがとうございます。ではではでは。またさーちゃんの動画を見てもらえたらうれしいです。今日はありがと。またのご視聴。よろしくお願いしまーす。ご視聴ご清聴ありがとうございましたー。さーちゃんでしたー。さよなら。またね、ばいばーい』


 ……。

 よし。切れている。

 はあ。

 どうにかできたかな。

 時間としては長くないのに、とっても疲れた。

 ふう。よし。また次の配信の日程を決めて、また予定日のお知らせしてっと。

 お盆だからさすがに電話なかったけど、関係なくかけてくるからなー。

 はあ。

 転職する?

 でも転職活動に、仕事に、配信に、動画にってなるのは私には無理。

 ぐっちゃぐちゃになるのは目に見えているので、それはまた考えるとして。

 がんばろ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ