「動画投稿者が初生放送で乙女ゲームしてみた」パート1
『みなさーん、おはよう、こんにちは、こんばんはー。さーちゃんです。わーすごい。コメントってこんな風なんですね。あー。もう……。はじめましての方ー。あ。結構いますねぇ。
はいはーい。ありがとうございます。
さーちゃん、今回が初めてなので、なにがどうやらって感じです。いろいろと足りなくてぐちゃぐちゃするかもですが、ご容赦を。
さてさて。注意事項はみなさん確認いただけてますかー。
まだ見てないよって方、概要欄に書いてますので、ご一読お願いしまーす。
はい。というわけで。あたらめましてー。さーちゃんです。よろしくお願いします。
前の動画でもご説明しましたが。今回やっていくのはこちら。どどんがどどど』
カチッと。
画面を切り替えて、私の立ち絵を下のほうにさげて、ゲームホーム画面で。
『乙女ゲームでーす。えーと。簡単にあらすじってことで。話していきまーす。
舞台は中高一貫の学校で、ヒロインちゃんは高校一年生。ってことは入学式があるってことかな。そこで誰かにあったりするんかな? で。パッケージ的にルートは三つかな。んー。キャタクター絵からするとこの子がいい感じなんだけど。さーて。誰から行こうかな。
はい。名前はー。あー。こういうのって、自分の名前をいれて、投影するんだろうけどぉ。さーちゃんはそういうの得意じゃないので、 さーちゃんだけどさーちゃんじゃないってことで、サーチャンでやっていこうと思いますー。
えーと』
「入学式。希望の高校に入学できてよかった。真新しい制服。よく晴れた空。今日を迎えられて嬉しい。よし。入学式は講堂で行われるからそこにいこう」
『講堂かぁ。どれぐらいの広さなんだろ。あと志望校受かったんだねぇ。勉強がんばったのね。中高一貫だから中学からのあがり組もいるってことか。もうすでにそこで関係値出来上がってるから、一から友達つくんの大変そう』
「席の指定はないみたい。前からつめて座るように指示をうけた。時間まで静かに座っていよう」
『何人ぐらいの規模感なんだろうね』
「入学式が始まった。校長先生の挨拶や、祝いの言葉。で。新入生代表挨拶で、少しだけざわついた。どうしたんだろう」
『えなになに?』
「新入生代表挨拶の方は、どうやら高校からの入学生みたいで。持ち上がりと思われる生徒がざわついている。聞こえてくる限りだけれど。どうやら例年中学時代の生徒会長が挨拶をするのにってことのようで」
『なにそれ。そんなのどうでもよくないってかそれでざわつくの?』
「新入生代表、佐山 雪都です」
『つらつらと挨拶はじめたわ。
キャラ絵好きかも。
黒髪短髪で、瞳の色は……紫っぽいのかな。好きだわ』
「そんなざわめきなど意に介さず。挨拶は無事行われて。……何も感じていないかのように淡々としていて。壇上と席との間もとても静かで。なんだか少し寂しいな……」
『おお……。ヒロインちゃんはそうなのね。
まあ、わからんでもないかも。入学式で挨拶するってことすごいことなのに、ざわついて、お前なの? みたいな空気だとしたらそれは寂しいわ。私だったらやっていく自信なくすなぁ』
「入学式はそのあとも滞りなくすすんで、閉会の言葉になった。ここからは担当の先生が私たち一年生を教室の校舎まで案内してくださる。それまで静かに待っていることに。全員しっかり待っているところに」
『ざわついたのが、挨拶のところだけとかもっとないわ』
「壇上に生徒が一人……。あれ? どうしてここではざわつかないのかしら」
『だよねヒロインちゃん。わかる。勝手に壇上にあがったらダメでしょ。こういう式典なら尚の事』
「突然のこと、驚かせてしまって申し訳ありません。新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます。と優雅に一礼をしたその生徒は、左腕に赤い腕章をしている」
『ああー特別な生徒だ。
腕章関係は絶対そうだよー。コメント欄の皆さんもそうだって言ってくれてる。
えーと』
「先生たちが皆さんを案内するのにもう少しお時間をいただきたいということで。間をつながせていただければと思います。改めまして。ご入学おめでとうございます。僕は生徒会副会長の桐生 絢と申します。この赤い腕章を生徒会役員はつけています。校内で見かけましたら、気軽にお声掛けいただければと思います。……本来であれば生徒会長よりご挨拶をさせていただきたいところだったのですが、まあ。自由な方なので。会長は気ままな方なので校内での出没……お姿を拝見された場合は、声をかけてやってください。フラットな場でのお話を好まれる方なので。……おやおや。いい時間になったようですね。それでは皆様。よい高校生活を」
『話すだけ話していなくなったけれど。
副会長かぁ。
いいなぁ。
ポジション的には推しだな。
え?
あそうそう。さーちゃんが推すのってそういうポジションなんよ。
まあ気づいてるかたおられるみたいだねぇ。そうなんよ。動画のなかで好きな小説とか漫画とかアニメとかそういう話してきたなかでさ。話したことあると思うけど、こういうキャラすきだーとか。
そーなんよー。こういう参謀だったり、二番手だったり、って主人公じゃないことが多いんよね』
「先生の指示にしたがって、教室についた。ホームルームで自己紹介をすることになって。全員終わって、クラス委員とかの委員会決めもされて。私はただ静かに座っていた。周りに視られないように。目立ちたくないもの」
『ああーそういうヒロインか。
おーけー』
「淡々と進んでいく。……憧れの学校だったのに。なんだかクラスの空気が気持ち悪い。どうしてだろう」
『思ってたんと違うってやつかー。それあるねー。いやーさーちゃんもねそういうのあった。パッと見いいんだけど、ようよう見とるとあれ? ってなってしまうの。むずいよねー』
「気持ちを落ち着かせたくて中庭で休んでから帰宅することにした。ここは誰もいなくて、とても静かで落ち着くわ。風も気持ちいい。ああ」
『これってそうじゃない? イベ起きそう。え? 読むなって? いやいや。わかるじゃん。明らかにここで攻略の誰かが出てきてお近づきになるきっかけでしょ。あーでも。ワンチャン副会長みたく友達ポジくるかもね』
「ふう。……がんばろう。ここは志望したんだから。来たかったのだから」
『無理しないでよー。入学したら卒業したいし、楽しみたいし』
「真新しい制服着てるのにそんな顔どうしたの? 疲れちゃった?」
『おおきたー。イベだー』
「え?」
『わかるー。その角度かわいいよねー。ってか後ろから声かけてくるとかハードル高くない? イケメンに限るってやつー?』
「一年だろ? なんかあった?」
『これってさ、生徒会長じゃない? 腕章じゃーあるが。イケメンだねーかっこいいねー笑ってるねー』
「爽やかな笑顔。眩しいほどだ。……あ。生徒会の人? でも式典で見た人じゃない。だまっているとすっと隣に座ってきた。俺は生徒会長の橘 緋里。副会長の絢が挨拶してたと思うけど見た? あいつどうだった? ちゃんとしてくれてた? 俺、あーいうので話すの苦手なんだわ。だから適材適所ってことで頼んだんだよ」
『んー一方的に話してるけどヒロインちゃん大丈夫かなー? 私だったらなんこれってなるし、どしたらいいかわからんわ』
「……あの? なんでしょうか? 戸惑いながら聞くとふっと笑った。 いや? ただ一人でいる生徒がいたら声かけるってのが俺のやり方。しかもそれが一年ってなればなおのこと。入学初日でそんな顔してるのはなんでだ? ずっと顔が近づけて、じっと見ている。……目がそらせない。まっすぐすぎる視線にどうしたらいいのだろうか」
『これはずるい。かっこよすぎだろー。この顔で迫られたらそらせない』
「生徒会長として、全生徒には楽しんでほしいからさ。なんかあれば声かけてよ。会長として。役に立ちたいからねー」
『うわー。いうだけいって居なくなったよ。まじかー。会長としてか。これがずっとなのか。はたまたどっかで変わるのかって。そこがポイントだよねー。』
「自由なタイプの会長としっかりしている優しそうな副会長。どんな役職の方がいるかわからないけれど、きっと個性的な方の集まりなのでしょうね。……先代の会長もそういう方だったから」
『お? これは意味深だねー。先代生徒会長のことを知ってると。考えられるのは学校訪問とかで知ったって感じかな? これは先代生徒会長がキーだね。そこがこの学校を希望した理由とか? ってあんまり想像しちゃうのはだめだね。ハズレてたら恥ずいもん。ドヤってた~とかいうでしょーみんなー。やーめーてー。コメント見んのこわ』
「生徒会長……。あの髪色は地毛なのかしら。色素が薄くて灰色見たいだったけれど。……校則では髪染めてはいけないだったはず。何かあれば声をかけてね。か」
『帰りますか。とりあえず初日クリアだね。さて。今日どこまでしようかな。……ん?一回目だからゆっくりでいい? あーありがとう。そうなんよ。実はめっちゃドキドキで、手も震えちゃってて。あ声でバレてるって。いーわーなーいでっ! でもありがと。今日はここまでにさせていただければと思います。えーと。今日できたところは、とりあえず入学しました。そこで、攻略対象の二人に会えました。あと一人はだれなのか。みんな―今日はありがと。またのご視聴。よろしくお願いしまーす。ご視聴ご清聴ありがとうございましたー。さーちゃんでしたー。さよなら。またね、ばいばーい』
ぽちっと。
……ふう。
無事おわったー。
の前にもう一回切れてるの確認して……うんできてるね。
よかった。
ああ…………。
つかれたわ。っと。ええーとコメントっと……。ああ。よかった。大丈夫そうだね。みんなあったかいわ。あんまり進まなかったからどうかなって思ったけれど、ゆっくりでいいって言ってくれたし。ありがとねみんな。
私のリスナー優しい。
えーと次の配信の日を決めて動画上げとこ。
で次も同じくらいの時間で配信しよ。ちょっとずつやってこ。今回の配信のタイムラプス的な感じでまとめたいし。それもいい感じに切り貼りして、いい感じあらすじにして次の配信でつーかおっと。
案外楽しいかも。