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【荒れ地】で育った嫌われ者のDランク冒険者は拾遺者《ダイバー》として今日も最下層に潜る  作者: 嵐山 紙切
第一章 ライラ・マリー編

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第22話 アタシにはやるべきことがある1(ライラ視点)

 シオン・スクリムジョーを追いかけて自らの尊敬する冒険者へ謝罪をしてもらおうとしたライラは、結局、予期しないほど危険で濃密な冒険を経て帰還した。


 元の場所、元のギルドへ。


 ただし全てが元通りだったわけではない。




 第一に、シオンへのライラの心情が大きく変化した。


 遺品を漁り、金儲けしか考えていないと思っていたのに、実際一緒に数日過ごすと、彼はなんだかんだ人を想い、理屈ではなく心で人を救うことがあった。


 金儲けばかり考えているのはそのままだけれど。


 戻ってきてから数日経った今でも彼の姿は見かける。


 声をかけようとすると鼻を鳴らしてお前は向こうにいけという合図を出す。

 俺と関わるとろくなことにならないだろ、と。




 第二に、グウェンの存在があった。


 彼女からママと呼ばれて懐かれているのをギルドの人間に見られてしまったし、それに街へはルフに乗って戻って来てしまった。


 当然、話を聞きたいという冒険者が後を絶たない。

それに紹介しろという冒険者まで出てくる始末。


 閉口すると同時に、きっとグウェン――グーちゃんはこんな気持ちを毎日味わっているのだろうなと考えてしまう。


 今度会ったら頭を撫でてあげよう。




 きっとそのうちこの騒動も収まって、借金も返済できて、元の生活に戻ることができるだろう。


 依頼をうけ、魔石を提出し、ランクを維持しつつ次のランクを目指す。


 ただ、それは絶対元の生活とは大きく違ったものになっている。


 ライラはそう予感していた。


 シオンについて行くと決めたあの時に、シオンから言われた言葉が頭を巡る。



――嘘だって思っていた方が幸せなこともある。嘘が嘘であるうちに帰るんだ、ライラ。


――絶対に後悔するぞ。



 後悔は、していない。


 けれど、やらなきゃならないことはある。



◇◇◇



「ついてくんな。何度言ったら解んだ。お前はお前。俺は俺だ。これ以上俺に関われば、お前には損しかねえんだよ」


「いいえ、それでも、ついて行きます」


 

 ライラは言って、ダンジョンへ向かうシオンの後ろを歩いていた。


 街に戻ってから五日。


 シオンはゴブリンの魔石を十個提出してDランクを維持したあとは、疲れからか休息を取ることにしたらしく、ここ数日はろくに仕事をしていないようだった。


 一仕事終えての休息、なのかもしれない。

 今日は久しぶりのダンジョン探索というわけである。

 

 相変わらずギルドでは嫌われているようだが、陰口も地味な攻撃も気にすることはない。


 シオンは溜息を吐くとライラをふりかえって、



「なんだ。まだ俺に文句があるってのか? 準荒れ地まで連れて行ったのにまだ満足しねえってのか」


「そうじゃありません。アタシは……アタシは確かめたいことがあるだけです。シオンさんについていけばそれが解るはずです」


 

 シオンはライラをじっと見た。

 彼の背負った袋の中で、瓶だろうか、ガラスのぶつかるカランという音がする。



「後悔したはずだ。それ以上を重ねんのか」


「アタシが知りたいのは真実だけです。正さなければならないものがあるのなら、正します」


「難儀な奴だなお前も」



 そう言ってシオンは溜息をつくと、



「ちょうど良い。今日行くのはお前の尊敬する冒険者――パトリックだったか――が死んだあのダンジョンだ」


「アタシの考えが正しければ、尊敬していた、になりますけど」


「……そうか。行くぞ、と言いたいところだが、何する気だ、それ」



 シオンはライラの背負っているものをみた。


 おおきな布袋。



「良いじゃないですか。アタシが正しければこれが役に立つんです!」


「まあいいけどさ」


 

 ライラはシオンの後を追った。

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