表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者に愛されない悪役令嬢が予言の書を手に入れたら  作者: 山田露子 ☆ヴェール小説4巻発売中!
side-A

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/98

3.あなたは異世界転生しました


 :::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::


 お姉様の階段落ちを経験して、少しは聞く耳を持ってくれるかな?

 これからSFちっくな仰天話をするけど、頑張ってついてきてね。

 仕組みをぐだぐだ考えたりしても無駄だから、『そういうものだ』と納得したほうが楽。

 えーと……あなたが今生きている『そこ』はね、『君と秘密の部屋』っていう乙女ゲームの世界なんだよ。

 本やゲームの世界に入り込んでしまうというストーリーは、昔からあるよね。

 あなたは元々、物語の『外』にいた人間なの。だけど今は『中』に入ってしまっている。


 あ――今あなた、それはおかしいって思ったでしょ。

 自分自身、物語に入り込んだ記憶がない、って。


 現時点では確かにそうでしょうね。今のあなたには『外』にいた時の記憶がないから。

 けれどあなたはそのうちに、すべてを思い出すんだよ。

 自分の前世の記憶を。


 前世のあなたは平凡な女子中学生だった。『君と秘密の部屋』というゲームが好きで、よくそれで遊んでいたの。

 そしてある日事故で亡くなり、好きだったゲームの世界に転生してしまった。

 それでさ。すべてを思い出すタイミングが最悪でね。

 もっと早ければ色々対策も立てられただろうに、クライマックス場面で思い出しても、時すでに遅しなんだよね。

 あなたは断罪されて、負ける。婚約破棄され、すべてを失う。

 そこからの挽回はさすがに不可能なんだ。

 『君と秘密の部屋』の世界で、あなたは『ヒロイン』のポジションにいない。


 ――順を追って説明しましょうか。


 この物語はね、大小様々な『秘密』がキーワードになっているの。

 乙女ゲームというからには、見目麗しい男性が複数出て来て、『ヒロイン』が彼らを攻略していくわけだけど、手に入れた『秘密』をいかに上手く使いこなすかで、結果が変わってくる。

 いってみれば情報戦だね。

 あなた、こと、西大路綾乃の役どころは、ヒロインをいじめる『悪役令嬢』。


 西大路綾乃がどうして最後に負けてしまうか分かる?


 ――心根が醜いから? ヒロインをいじめたから?

 いいや、違うね。

 西大路綾乃が負けたのはね、無知だったから。

 彼女は情報戦に敗北したんだよ。

 無知は罪なの。

 これ大事だから、もう一度言っとくね。

 無知は罪。

 無知なせいで、あなたはすべてを失うことになった。

 愛する婚約者も。大切な姉も。

 失くしてから泣き叫んでもさ、覆水盆に返らずなんだよ。

 これを読んでいる『あなた』はそうならないでね。


 ああ、そうそう――

 破滅回避策として、婚約者と結ばれるのを諦めて身を引くとか、無駄だから。

 このゲームはね、『ヒロイン』が誰を選んだとしても、あなたは高確率で不幸になります。

 ――いい? ヒロインが『あなたの婚約者を選んでも』、あるいは『選ばなくても』――だよ。

 ヒロインが攻略対象者たちに『何か』すると、すべての皺寄せが『あなた』に行くからね。


 これなんていうんだっけ……ああ、そうそう『風が吹けば桶屋おけやが儲かる』ってやつだ。

 もっと格好良い言い方をすれば、『バタフライ・エフェクト』?


 もうね、あれよ――ドミノ倒しのように展開していくから。

 あなた、流れるように破滅していくから。

 だから気を抜かずにいきましょう。


 ――打倒、ヒロイン!


 悪役令嬢・西大路綾乃が生き残るには、ヒロインを完膚なきまでに叩きのめす必要があるんです。

 だからあなたにはこれからかなり頑張ってもらわないと、ハッピーエンドはありえませんからね。


 :::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::⁑:::


 予言のとおり、姉の階段落ちは実現した。


 つまりこの本は、真実を語っている。


 ――本物の『予言の書』だ。


 綾乃はそれを確信した。


 あの階段落ちは、仕込みでどうこうできる内容じゃない。突き飛ばしたあの女子生徒の目は血走っていて、真実のすごみがあった。


 あの場にいた全員がグルで、協力し合ってあの状況を作り出したのでないかぎり、やらせはありえない。そして全員がグルではないのは、状況からして明からだった。姉は後ろ向きで落ちたのだし、下手したら死んでいたからだ。


 芝居なら下に分厚いマットを敷き、ワイヤーで体を吊って実行するだろう。けれど目の前で起きたあれは、そういった作りものとはまるで違った。


 姉は奇跡的に助かったが、それはあくまでも結果論。


 落下した時点で、綾乃は階段下に誰もいなかったのを目視している。


 あの駆け込んで来た男子生徒は、助けた姉の顔を見て嫌悪の表情を浮かべていたから、たまたま偶然あの場にいて、咄嗟に助けただけのようだ。


 運動神経が良すぎて、落下してくる人を遠目に見て、何も考えずに飛び出したのだろう。


 それで間に合ってしまうのがすごいけれど。


 とはいえ……あの方、性格は最悪だったわ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ