自分、転生失敗しちゃいました?
夜中の2時。
辺は暗く、人気もない。
この時間に車の音が珍しい。
こんな時間に車つかうんじゃねえよ。
「はぁ〜、だり」思わずついて出てしまう。
食っては寝、食っては寝、インターネットにある無尽を啜る毎日。
きっかけは分からない。
真っ当な親でなかったからか、学友に恵まれなかったからか、容姿にめぐまれなかったからか。
どうでもいい。考えるのもだるい。
「ぐぅ〜、、」
何もしていないのに腹が減り、たまらず昨日のカップラーメンの残り湯を飲む。
冷たい、がなんとも言えない惨めさにホッとしてしまう。
この時間になると妙にムラムラしてくる。
・・・シコるか。
ブラウザを開き、いつも巡回するエロサイトから動画を探す。
エロサイトを開くと無条件で勃起するナニをなだめつつ、丹念にサムネイルを確認していく。
カン、カン、カン、カン、カン、、
ふとドアの方に目をやる。
ちっ・・・。階段を登る音で集中できない。
いらいらしつつモニターに目を戻し、今日のおかずを探し始めたその時。
「◇☆◉△×□!?」
ドンッ!、ドンッ!、ドンッ!
「△×☆◉□□◇◉△◉!!!!」
突然、外人の叫び声とともにドアが揺れる。
なんだ?!え、なに?!だれ?!
あまりの不測の事態に理解が追いつかない。
瞬間的に鼓動が早くなる。
「◇☆◉△×△×☆◉□!!」
バキッ、、バターンッ!
物凄い轟音とともに顔を隠した外人が雪崩れ込んでくる。
背中を完全に壁に押しつけ、顔いっぱいに恐怖を浮かべる俺。
あまりの事態にパンツから大事な物をしまい忘れた上に、若干元気が残っている。
一人が俺の方に歩いてくる。
シーッと指を口に立てながら、ナイフを僕の喉元にくっつける。
「ぁひいぃっ」
情けない声をあげてたまらず目をつむる。
しぬ。やばい。しぬしぬしぬ!!しぬ!!!いやだ!!!!絶対に痛い!!!
死への恐怖、痛みへの絶望、得体のしれない後悔で頭が支配される。反抗などという概念は存在しない。
世界は何事もなく先へ進み、俺の時はここで終わる。絶対的な恐怖、後悔が押し寄せる。
・・・?あれ?刺さない??
ゆっくり片目を開けるとナイフを突き立てている覆面の後ろで二人が部屋を物色している。
なんで俺の部屋なんだよ。この部屋見れば金目のもの、無いなんて分かるだろ??
「×△×☆◉△×☆◉□!!」
「□◉×◇☆×△◇×☆!!」
なにやら物色中のバンダナで顔を隠した二人が口論を始めた。
そりゃそうだろう。こんな部屋に押し入って何もなきゃただのアホだろうよ。
「×△×☆◉△×☆◉□☆◉△×△×☆◉□☆?? ◇☆◉△×△×☆◉□!」
「◇☆◉△◉×◇☆×△×☆◉△×△×△×☆◉□!!」
次第にヒートアップして、とうとう取っ組み合いを始める。
その時一人の顔からバンダナが徐に床におちた。
取っ組み合いが唐突に終わる。
部屋に静けさが訪れ、外人の素顔と見つめ合う俺。
永遠とも思われる刹那。
ナイフを持った外人がゆっくり覆面を外して、僕に笑いかける。
なんだ??
そう思った瞬間、突然体に激痛が走った。
「ふぐぅっ、、、う、、ゴボッ、、か、、」
痛い、熱い、、。痛い、、、痛い。痛い!!
「あ”ぁ”あ”ぁっ!!」
とてつもない痛みが体を襲う。痛すぎて体が動かない。
死ぬのか??いやだ!!!いやだいyだいyだいyだいyだいyだいやdあskぁ!!!!
・・・。
いや、、痛く無い?寒い??熱い??暗い。気持ちいい?白い??黒い?まだパンツに閉まってない、、??
視界は真っ暗で、思考が定まらず、意識が遠のく。あ、これ死ぬわ。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・?」
あれ、死んだ?
なんだ、、?死ぬとこうなるのか??今どうなってる??
体を動かすのが何やら怖くて、俺はゆっくりまぶたを動かしてみた。
まぶたは開く、、感じがする。開けても真っ暗だな。。
恐る恐る指も動かしてみる。
感覚がある!!安堵したのか、ようやく自分が呼吸していることに気がついた。
生きてる!いや、わかんないけど、これ死んでは無いよな??
ゆっくり体を起こし、あたりを見回す。
真っ暗だなここ。そんなことを思いながらゆっくり立ち上がり、フラフラと手を伸ばして歩き出す。
4、5歩歩いたところで、焦り始める。
おいおいおいおい、冗談じゃねえぞ。このまま真っ暗で俺一人、何もなし。地獄じゃねえか!!!
だんだんと怖くなり、叫びながら走り始める。
「うわあああああ!!!!!いやだああ!!」
あまりの恐怖で足がもつれ倒れ込む。
「いでっ、、」
猛烈に痛い。痛みで出た涙が、心を打ち砕く。
「うぅ、、ぐふっ、、ズズッ、、あんまりだぁ、、、なんだよお、、これぇ、、」
男30歳、強盗に襲われ腹を刺され死んだ矢先の、この暗闇。むせび泣くのも無理はない。
「うるさいのう、なんじゃ??」
「?! 誰かいる!!」そう思った瞬間、カツーンと杖を地面に立てるような音が響いた。
暗闇から一転、あたり一面草原にかわる。晴わたる空。程よい冷たさが心地良い風。遠くに広がる薄らと白い山々。
「フォッフォッフォッ、ほぉ〜、これは綺麗じゃのう。」
「はい、、」
あまりの展開の速さに理解が追いつかない俺。
「して、お主はなんでここにおるのじゃ。」
「いや、その、、ここはどこですか??」
俺が分かるわけないだろう。むしろこっちが聞きたいぐらいだ。
「ふーむ、そうじゃのぉ、本来ここは『無』なんじゃよ。『無』に『有』の存在があるはずはないじゃろう?『無』じゃから『無』なんじゃよ。」
「無、、ですか??その、山とか空がありますけど、、」
「そうなんじゃよ。『無』なのに『有』があるんじゃ。おかしいと思わんか?」
「はい、まぁ、、」
よく分からないので適当にうなずく俺。
「うーむ、困ったのう。お主、本当にここにきた心あたりはないか?」
あれ、、あれあれ??これってもしかして異世界転生ってやつですか????
進んでない文明で何をやっても大金持ち、道を歩けば美女に当たり、イケメンゆえにハーレム。
ぐふふ、これは俺氏やってしまいましたなぁ、、。自分何かやっちゃいました??ぶふふふ。
「あのぉ、異世界転生したんじゃないですかね?僕。」
「ふむ?異世界転生?」
「いやぁ、そうですねえ、あまり欲張るのもよくはないので、顔立ちが整っていて、成長速度がマックスで、全職適性マックスのレベル1一般人から始めさせていただければ文句ないですよ。あ、あと神の庇護があって状態異常耐性もマックスで。」
おっと、少し欲張ってしまったか??まあ強盗に入られて散々な最後だったんだ、神様もこれぐらい許してくれるだろう。
「成長??耐性??すまんのう、何を言うとるかちと分からん。問題なのは『無』に『有』たるお前が存在し、『無』が終わり『有』が始まってしまった事なのじゃ。ワシは『無』ゆえ、じきにここの『有』から消えてしまうのう。」
「は?」
無?有?何をいってるんだ?
「『問題』といったがのう、わしは別に良いのじゃ。『有』は素晴らしい物じゃ。じゃが、わし自身『無』であり『無』を止めることはできないのじゃ。よいか?『無』を止めたくば『有』を保つことじゃ。」
ブゥオオオオ〜
唐突に遠くで角笛の音が鳴り響き、地鳴りとともに騎馬隊がこちらに向かってくる。
「なんか来ましたよ?!やばいんじゃないですか?」
そう僕が語りかけるも、返事が返ってこない。
「あれ??」
振り向いても誰もいない。
たしかに誰かと話していたはずだ。おかしい。話していたことは覚えているのに姿が思い出せない。
そんなことを考えている間に、騎馬隊はみるみる近づいてきた。
騎馬隊がグルグルと俺の周りを塞ぐように走る。
「止まれぇ〜!」
一人が叫ぶと、騎馬たちは止まりだし、槍を僕の方へ突き出している。
「こいつ人間だぞ」
「ニュラムから来たに決まってる!!」
「殺した方がいいんじゃないか?」
「イータよ、われらを救いたまえ、、」
「きっと人間に化けているだけだ!」
様々な囁きが聞こえてくる。
「静まれ!!」
野太い罵声が聞こえると、ある騎兵がこちらに近づいてきた。
槍を俺に向けながら話しかけてきた。
「貴様、喋れるのか?」
「え?」
言われて気がついた。俺は服を着ていない。服がないと急に心細くなってくる。
「いや、わからないんです。暗闇で出会ったへんな老人に話しかけられたと思えば、いきなりここにいて、、」
「喋ったぞ!!」
「みろ!人間だ!」
「俺は騙されないぞ、化物!!」
再び周りを囲う兵士たちがどよめく。
「静まれぇ!!」
野太い声の騎兵が再び叫んだ。
「お前、見たところ人間のようだが、話を聞く限りニュラムから来たようだな。」
「へ?ニュラム??」そう言う俺を無視して騎兵は続ける。
「そこのお前ら、こいつに縄をかけろ。城に連れて帰る。いいか、決してこいつから目を離すな。不審な動きをしたら躊躇せず殺せ。」
「ひぃいい〜!」
再び怯える俺の頭に布袋を被せ、手足を縛られ、まるで死体を馬の臀部のほうに横倒して運ぶかのように載せられる。。
なんだってんだ畜生!!なんなんだ!また死ぬのか?!異世界転生じゃねえのかよこれは!!この世界を救う勇者様にこの待遇。。こいつら覚えてやがれよ、、?!
というか、この体勢で運ばれるのは相当に辛い。振動が腹にモロに伝わってくる。
20、30分たったろうか。たまらず口を開く。
「すいません、あとどれぐらいでしょうか。。?」
「うるさいっ!大人しくしていろ!」そう怒鳴られたかと思うと、頭に強い衝撃が走る。
ゴスッ!!
何かで頭を強く叩かれたようだ。
「ぁあ、、」急に意識が遠のいていく。。




