4話 Let's dragon hunting
まさかのヴィクトの母親と姉の名前がごっちゃになっているという事態が発覚したので慌てて修正しておきました……以後気を付けます。
はい、何気に初戦闘シーンです。
……どらごん?
………Dragon??
…………ドラゴン!?
あんの馬鹿姉、何がどうしたらドラゴンなんかに追われるような事態になるんだ!ドラゴンだよ!?間違いなく通常の生物としては最強の部類に入る生き物だよ!?まだ10年しかこっちの世界で生きてないのにそんな化け物に二回も襲われてたまるもんか!
とりあえずフィールドサーチを使ったが、間違いなくドラゴンだ、幸いな事に低級でそこまで大きくない―――とは言っても全長20mはあるであろう―――ドラゴンだったため、龍魔法は使えないだろうが、このままだと間違いなく追い付かれて馬車はお釈迦になるだろう。
「……一応聞いておくけど、今回は何をやらかしたの?」
「今回は本当に私は何もしてないよぉ…」
「はぁ、姉さんの何もしてないほど信じちゃいけない物はこの世界全体を見ても数少ないだろうね……で、何をやらかしたの?」
「本当に何もしてないんだってばぁぁぁ!うわぁぁぁぁん」
この様子だと、本当に何もしてないな……
じゃあ、どうしてドラゴンが?ドラゴンと言えばランクAモンスターの代名詞みたいなやつだぞ…。そんな一般人からしたら化け物以外の何でもないやつがなんで王都からそんなに離れていない街道に?
泣き出した姉さんを放置してドラゴンがどこから来たのか、またドラゴンがどうして追ってきているのかを考えるが正直全くわからない。わからないので……
「うん、これは、あれだ、とりあえずドラゴンを討伐しちゃおう!調査は王都の騎士団にでも任せればいいよね!さて、そうと決まれば、姉さんは僕が馬車から降りたら安全な所まで退避してて!」
「わかった!」
いつの間にか泣き止んでいた姉さんがそう答えると同時に俺は馬車の扉を開け、魔法を使いながら飛び降りる。
「さてまずは、『デコイ!』」
デコイの魔法でドラゴンの狙いが強制的に俺に移る。
さて、久しぶりのドラゴン、どう調理してくれようか……。前回は魔法で倒したし、今回は剣で行くか。
「Gaaaaaaaaaaaaaaa」
なんの武装もしていない子供に挑発されたのが頭に来たのか、怒り狂うドラゴン。生意気な子供の命を奪うため、ブレスを吐く態勢に入る。
「おっと、それはちょっと不味いな……『アイスアロー』」
俺が瞬時に魔力を練り上げ魔法名を口にした次の瞬間、5本の氷の矢が現れドラゴンへ向かって一斉に飛んで行く。
「Gruuuuuu」
だが、ドラゴンも大人しく攻撃されるわけはなく、ヴィクトが放ったアイスアローを尻尾と腕で叩き落としていく。
「よし、今のうちに、『創造』」
ドラゴンがアイスアローを迎撃している間に、ヴィクトは自身の手に武器を造り出していた。その反った刀身には、美しい波紋が浮かび上がっており、陽光に当てられたそれは冷たく光っていた。そう、言わずと知れた日本刀である。
「うーん、刀1本で魔力10000って燃費悪すぎでしょ…まぁ、武器を持ち歩く必要がないから楽ではあるんだけどね、っと危ないなぁ、属性剣 複合属性 『火 雷』」
3属性複合の最上級魔法でも魔力を500程しか消費しない事を考えるととてつもない消費量である。
振り下ろされた尻尾を回避しながら剣に高密度の属性魔力を纏わせていく。
「Gaaaaaaa!!」
ドラゴンもヴィクトの剣に集まっている魔力を見て慌ててブレスを吐きつけるための溜めに入るが、ヴィクトの属性剣の準備が整う方が少しだけ早かった。
「じゃあ、これでさよならだ、龍殺派一刀流 一の形 一の太刀『龍断ち』」
ヴィクトが刀を上段から振り下ろした瞬間、ドラゴンの巨体が左右に分離した。
「Gyaaa…a……a!?」
何が起きたのか理解できないまま、ドラゴンはその生命活動を止めるのだった。