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2.異世界を作ろう

 転生を断ったことでこれからのことを話す。


「さて、問題も片付いたようだし、転生先を決めるかの。」


「どういった世界があるのですか?」


「いろいろ見て好きなところを選んでよいぞ。」


 神さまの管理下には様々な世界があった。

 剣と魔法の世界、人とロボの世界、小人の世界、水の中の世界などなど。


 ただ、気になったことがあったので神さまに聞いてみた。


「どの世界も常に戦争しているんですが。」


 休戦期間はあっても必ずと言っていいほど争いが発生している。

 そして数千年規模では滅ぶ世界もあった。


「意思ある生き物には欲があるからの。欲があれば争いは発生するものじゃ。

 欲のない生き物を生命とは言わぬ。

 だから争いがなくなることはないのじゃ。」


 植物だって生存競争しているのだから、言われてみるとその通りだと思う。


「ただ、それにしてもどこも戦いすぎじゃないですかね。」


「なら自分で転生先を作ってみるかの?」


「いいのですか?」


「かまわんよ。ただ、思い通りの世界を作るのは相当難しいぞ。」


「それでも、やってみたいです。」


 どうせ転生するのであれば、思い通りに作ってみたいと思う。


「ふむ、ではそのための能力は与えるので好きにやってみるがいい。」


 こうして異世界作りが始まった。



 まずどういった世界にするかを考える。

 やっぱり魔法を使ってみたいよね。ということで魔法を前提とした世界を作ることにした。


 神さまに見せてもらった世界の中で、わかりやすかった魔法の世界を参考にする。


 大気中に魔法の元である魔素があり、それを体内に取り込むことで種族ごとに魔力をもつ。

 魔力をトリガーにして魔素と合わせることで、魔法という現象を起こすことができるものだ。


 この仕組みをそのまま流用することで魔法の世界を作った。


 そして、すべての物体は魔力を持つようにしてみた。

 魔力には属性があり、人族は全ての属性を持てるようにする。ただし人だからといってすべての属性を使えるわけではない。

 魔法には最低限発動できるだけの魔力量が必要。


 魔力は遺伝子のように持つもの特有の個人情報とした。

 まったく同じ魔法をつかえても、同じ情報には決してならない。


 あとはWEB小説定番の便利魔法について神さまに相談してみた。


「マジックバッグと転移と鑑定の仕組みがほしいのですが。」


 内容について説明する。


「マジックバッグはバッグのサイズと関係なく物の出し入れができて、バッグの中では時間が止まります。

 転移は好きな場所へ瞬間移動できる魔法で、鑑定は対象物の詳細がわかる魔法です。

 こんなのが欲しいのですが。」


「鑑定以外は可能じゃの。鑑定については出来るとは思うが、実験してみた方がよいの。」


 魔法は何でもありというわけではないらしい。

 鑑定以外はこの魔法世界で実現可能なのは助かる。

 正直マジックバッグはありがたい。


 一旦鑑定は置いておいて、次にジョブを設定できるようにした。

 ジョブごとにスキルがあり、恩恵を得られるようにする。


 やっぱり勇者や聖女など冒険には必須だと思う。

 自分が勇者でチートすることを前提にいろいろなジョブを決めていく。


 一般ジョブとして戦士、治癒士、魔導士、盗賊など。併せて上級ジョブや特殊ジョブなどを追加していく。

 ジョブごとに固有スキルを設定する。

 後は戦う人と差をつけるため、一般人というジョブも作る。


 今度は世界の土台を作る。

 球体は面倒だったので円柱。

 規模としてはヨーロッパの外周に海を追加したくらい。


 海の端はダンジョンの入り口にする。空を飛んで端まで行っても同じ。

 入ったところからすぐ出られるようにしたので、攻略しないのであれば安全に帰れる。

 島をいくつか作っておく。

 上は空で、下は地面。どちらもある程度の距離で行き止まり。


 円柱の外側には太陽と月と星を配置して球体で囲む。この球体の中を世界とした。

 異世界っぽく月は2こ。

 太陽と月の役割は明るさだけにして、楕円に旋回させる。

 月も自分で発光させるために燃やすことにした、温度のない火だ。

 温度管理は円柱の中で行うことにして太陽の回転する線に沿って寒暖を付ける。

 雨期や乾期を設定して四季を作る。


 循環しないと水や空気が濁りそうな気がするので、円柱の上の方の空気は回転させる。

 海もゆっくり回転させる。流れるプールのイメージですごくゆっくり回す。


 生命を作っていく。

 人、エルフ、ドワーフ、魔族、竜、動植物、魔物など。


 しばらく放置して、神さまと話をする。


「神さまはここの空間にいるのですか?」


「そうではないの。おぬしがここが空間だと想像したからここは空間なのじゃ。

 わし自体はどこにも存在しないし、どこにでも存在しておるの。」


「じゃあ神さまがお爺さんに見えるのも、お爺さんのようなしゃべり方に聞こえるのも自分の想像ですか?」


 ちなみに自分は光の球体になっているらしい。


「そのとおりじゃの。おぬしの中の神のイメージがわしの形を作っておるのじゃ。」


 なんと。

 女性を想像していれば、女神さまが現れたということか。

 女神さまか…、いいなぁ。


「世界に神さまを作ることができますか?」


「できるぞ。ただし、おぬしと同じく特定の世界についてのみ権限を持つがの。」


 ということで女神3姉妹をつくった。


「名前は、長女がアウロラ、次女がフローラ、三女がルナだ。よろしく。」


「「「はい、主さま。」」」


「みんなには俺が人として転生する世界の管理者をやってもらうよ。とりあえず作った世界を紹介しよう。」


 見せようとしたところ、エルフの極大魔法が炸裂して世界が滅んでいた。


「主さま、管理する世界がなくなってしまいましたが。」


「あはは、失敗したみたい。

 ところで、どうして俺を抱えているのかな?」


「主さまを抱きしめるのは当たり前です。」


「お姉さま、ずるいです。私にもペロペロさせてください。」


「何を言っているのかな?

 そんなことより、次の世界を作りたいから協力してくれ。」


「「「承知いたしました、主さま。」」」


 世界を滅ぼす規模の魔法などいらない。

 魔素の密度とエルフの魔力の量を調整して、魔法の最大規模を大幅に抑えることにした。


「アウロラは大地と海を、フローラは生き物を、ルナは太陽と月を作って。

 調整はみんなでやっていこう。」



「主さま、大地の真ん中に現世での主さまの巨大な全裸像を立てましょう。

 股間から聖水を出します。飲めば何でも直ります。」


「ヤメロ。」


「確かに。飲めば何でも直る聖水が無限に湧いてしまっては、地域バランスが崩れてしまいますね。さすがは主さまです。

 通常の水にしますね。」


「問題はそこじゃないからね。」



「主さま、現世での全裸主さま族を作りましょう。ぜひ主さまで世界征服を。」


「作る世界のコンセプトを理解していないのかな?それに俺だけだと子孫作れないよね。」


「雌雄同体にしましょう。主さまと主さまが交わって、さらに主さまが生まれるなんて素敵です。」


「本当にヤメロ。」



「太陽の形を主さまの現世での形にしたいと思います。股間からの光を浴びると魔力が向上するようにします。」


「却下。太陽は球体以外はダメ。」


「残念です。では月に主さまの全裸模様を描きましょう。人々が毎日主さまを見られるように。」


「お願いだからヤメロ。」


 3バ、女神たちと相談しながら世界を作っては手直しを繰り返す。

 配置や人数を何千回も調整する。

 とりあえず最初の千年を超えられるようになったので、しばらく見守っていると魔族が他の種族を殲滅していた。


 人族と魔族には互いに敵対心を持たせていたが、考えてみれば魔族を敵にする必要もないのでやめた。

 魔王はジョブ扱いにして勇者・聖女と同じように常に世界に一人しかいられないようにする。

 後は女神の存在意義を決めないと。


「女神の役割を決めよう。今のままだとただの3バカ神になってしまうからね。」


「「「え?」」」


 無視して話を続ける。


「アウロラは大地と海を作ったから豊穣と水の女神がいいかな。

 そうするとフローラは生と死の女神で、ルナは太陽と月の女神にしよう。」


「承知いたしました。」


「これだと人気に偏り出るかな?あとは戦と知恵と美を追加しようか。

 アウロラは豊穣持っていて農民人気高そうだから、知恵で。

 フローラは戦で騎士や冒険者の人気を取ろう。ルナは美で女性人気を獲得しよう。

 意見があればどうぞ。」


「「「素敵すぎです。主さま。」」」


 問題ないらしい。


 女神に役割を与えた世界を見守っていると、今度は人族が世界を滅ぼした。


 人の繁殖力と征服欲が高すぎるのが問題っぽい。

 産まれる男女比を誤差の範囲程度女性を多くして、再挑戦。

 わずかに男性が少ないだけで、人族の展開力は適度に遅くなった。



「ところで主さま、役割を頂きましたが実際に何をすればよろしいでしょうか。」


「神さまのやる事ってなんだろうね。

 俺の場合は召喚の依頼だったけど、この世界では異世界召喚は自分だけにしたから召喚も転移も転生もなし。

 あとは神託と祝福?」


「神託は、そうですね、未来を覗いてアドバイスでもしますか?」


「うーん。適当な方角を指定して吉兆か凶兆があるから備えるべしって、あいまいな感じにしよう。凶兆が9割くらいで。

 方角と吉凶はサイコロかなんかで適当に決めていいよ。

 何かが起きれば神託通りだし、起きなければ備えた結果大丈夫だったとなるし。

 乱発しても困るから、神殿作って1年の初めに1回ずつ交代で授けよう。

 あと巫女さん作って何かあった時に神託授けられるようにしておこう。」


 ジョブに巫女を追加して、神殿を作って聖域にする。

 庭に聖剣を埋めておいて、抜くことができたら女神の寵愛を得られるようにする。抜けないけど。


「なるほど、祝福はどうしますか?新しい能力でも与えますか?」


「祝福は暖かい風をキラキラさせて浴びさせてあげよう。効果は何もなしでいいや。

 気が向いたときにお祈りしている人の前に顕現して吹いてあげればいいよ。これも乱発しないこと。」


「「「承知いたしました。」」」


 神さまは何も与えないでよいのだ。

 神さまが人を救うのではなく、神さまを信じることで、信者の心が勝手に救われるだけだ。

 祝福の風は神を信じる者にとって心を大きく救うだろう。


「あとは、干ばつとか水害でお願いをされたときは、みんなで相談してチョットだけ助けてあげること。

 規模が大きいのだけでいいよ。

 ただし対応は3人でやること。みんなが感謝されるようにしないとね。」


「「「最高です、主さま。辛抱たまりません!!」」」


 3人に抱きしめられてキスをされる。


「この状態だと感覚ないから、キスされても何も感じないけど。」


「「「私たちの心が救われるのです。はぁはぁ。」」」


 臭いをかがれてベロベロになめられた。


「ヤメロ。」



 こんな話をしながら、世界の滅亡を何度も繰り返す。

 生き物、地形、ダンジョンなどの調整を行うこと数万回。

 目に見えて戦争を少なくすることに成功した。


 さらに微調整を重ね、人を作ってから2万年くらいは安定して持つようになった。

 戦争がなくなるわけではないが、最初に比べて3割減といったところ。



 それにしても、何度やっても3バカ神の信仰が凄い。


「「「どうですかぁ、えへへ。」」」


 にやけ顔がむかついたので、体当たりしたら受け止められて舐められた。

 ぐぬぬ。


異世界の作り方を考える。

10話くらい作ってから読み返して、主人公がまじめにやっていると何も起こらないので、女神を追加。

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