表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と闇の輪廻  作者: まふゆん
第1章:始まった時から終わってた。それが現実。
5/16

誰でも自分の命はかわいいもの…

家を出るなり人気のない街道。

大体、栄えているところと廃っているところの境目とはこんなものだ。

破落戸、不審者なんてものは栄えているところにも存在するが、廃っているところはそれらの縄張りでもある。故に隠しものをするなら廃っているところのほうがいい。逆に探し物をするのもそっちの方が賢い。

貧民街。世間一般的にはそう言われる位置に存在する渡辺の家。

貧民街とは言っても一応これでも住宅地で浮浪者の類も少ない。

治安は芳しくないものの、普通に生活するには十分な場所だし、なによりも、物価が安い。


2人で生活するならここで十分だった。

母親が令嬢だったのもあり、貯金でしばらく遊べる程度はあった。


これから向かうのは貧民街よりさらに廃れたエリア。龍の目的はそこに住む悪人を束ね、全世界から悪を消す。という到底無理難題の所業。


出来なければ待っているのは死。だろうという予想。

少なくとも、これから歩むのは修羅の道。

狂人らしく言うならば

そうでなくては面白くない。


しばらく歩いて見えてくるのは風化したり亀裂が入ったり、人為的に崩されたバリケード。

これより向こうに行ったことはない。


行く機会もない。と思っていたが

なんのことはない、その廃れたエリア

通称、破落戸の集落

入ってまず最初に感じたのは

おそらく、人の物である腐臭、鉄を思わせる血の匂い、そして、乱れた性の匂い。


嘔吐感を抑え込み、息を整え平然を装う。

本能的に、居たくない。逃げたい。という心を捨て顔色なんて気にせず前に進む。


元は栄えていたのだろうか、高層ビルの跡…が広がる。大都会…だったのかもしれない。

その瓦礫の多さはそれを物語っている。

鉄筋、鉄骨はむき出し、コンクリートは散漫。

ガラスの破片が地面に転がっている。裸足では絶対に歩きたくない。


「他所者が来たと、坊やに伝えな。」

そんな声がどこからが聞こえた。

挨拶がてらだろうか

刹那、真冬が

刀を横に振った。


何をしたのか最初は理解できなかったが

空中で"固定"されたそれに龍は目を疑った。


真っ二つになって静止する100mmはあろう形状からして銃弾。


「いきなり射殺とか物騒すぎるだろっ!怖えわ。」

「…大丈夫。…もう撃ってこない…」


そう言えば刀が袖に消える。

そういえば帯刀してないのにどこから出したのか不思議だったが袖から出していたらしい。

ただ疑問なのが袖と刀の大きさに違いがあるのにはみ出ていないどころか肘を曲げたりしているあたり、中がどうなっているのか疑問である。


「なぜそう思う?」

「…銃弾を防がれたということは少なくとも力量は明確になった。誰でも自分の命はかわいいもの…無駄弾撃つより居場所を悟られる前に逃げるのが賢い。」

その空中に留まる弾を触りながらいう真冬の目は一点を見る、そして指を指した。

"あそこに居る"という意味だろうか。


「取り敢えず、行こう。長居は無用だろ?」

「…そう言うなら。行く。」


//////////Black Spell//////////


行かないで、行かないでお兄ちゃん…

お兄ちゃんの為に今まで頑張ってきたんだよ…

お願い、桜を捨てないで…そっちに行っちゃダメ!死んじゃうよ!お兄ちゃん!聞こえないの?


遠ざかる意識の中、心の悲痛は彼には届かない。

何を決心したのか最後に感じた温もりは、床の冷たさだった。


「渡辺 桜の死体を確認。残るは渡辺 龍の拉致だけだな。うまくやってくれよ【閃光の辻】」


-


「彼奴、依頼放棄だとよ。射殺して構わねぇよな。」


-


「まさか恋とかしたわけじゃあるまいに、殺戮兵器が今更…。止む無し、ここら辺を仕切ってる奴に話を振るか…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ