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光と闇の輪廻  作者: まふゆん
第1章:始まった時から終わってた。それが現実。
2/16

お兄さん、そりゃあ無理な相談だ。

毛先が紅色の青年。その印象最悪の髪と、無表情でやや吊り上がった目で仏頂にも3人の男を見据える。

普段、気性は穏やかで、人助けをする彼にとっては、この事態は珍しいようで珍しくない。

現状を現状たらしめる要因としてはその彼の背後に隠れる色素の薄い少女にあった。


──遡る事数10秒前。


本当に偶々、彼はその道を通った通行人Aだったのだが。その通行人Aは男3人に取り囲まれる少女を助けようと試みた。その場に居なければこうして面倒ごとに関わる事もなかったであろうその事実。しかし既に事後である。


「なんだお前は!邪魔すんじゃねぇよ!」

3人の内、一番小柄な男が突っかかってくる。


「悪いな、困っている人をほっとけない性分なんだ。手を引いてくれれば穏便に済ませられるし、お互い、傷1つ、怪我1つせずに平和的に解決できる。少なくとも、暴力沙汰なんて野暮は起こしたくないんだ。聞いてもらえないか?」

あくまで提案。飲む訳がない。

そんな事は知っていた。いや、解っていた、分かりきっていた。

なんせ、相手は3人

外から見ても3対1の条件だ。

どう見ても有利なのは相手。

その上で此方が使える能力は自分を超える能力。

ただ、渡辺龍本人も負ける気はしていない。

去勢やハッタリではなく単に彼が武術に長けているだけの理由だが…所謂、過信。


「お兄さん、そりゃあ無理な相談だ。俺たちは別にその女と遊びたいわけじゃねぇ。その女を犯したいのよぉ。わかってもらえるよな?それから鼻から暴力沙汰を避けるそのヘタレっぷりに免じろって言われてもなぁ。笑い話にしかならんよ」


啖呵を切って間合いを詰める大男。

その拳は白く煌き、紫色の放電を開始する

それをそのまま龍を殴る為に打ち出す。

つまり、《憑依》或は《付与》の能力。

力量が計れない以上真っ向から受けるのは得策ではないがこれを受けて平然としていれば

少なからず動揺を誘える。

拳に拳で応えるのでは意味がないそれは受けてこそ動揺を得られるのだ。


その拳に対して、龍がとった行動とは大きな"賭け"に出た。としか言いようがない頭突き。

下手をすれば、頭が割れて死ぬ事もあり得る。

そうでなくても脳震盪だとか恐れる点は多くあるのだが。


接触と同時に鈍い音が響き渡る。

その鈍い音に悲鳴をあげたのは相手の方だった。

骨が折れた。と思わしきその腫瘍。

少なくとも龍の方は額が赤くなっている程度でさほど外傷もない。


「…で、退いてくれれば治療費もそれだけで済むと思うんだが。続けるか?」


「チッ…行くぞ。」

能力とは誰にでも使えるものではない。いや、或いは誰にでも使えるのだが使えるようになる"条件"が人それぞれ違う。

故に人々は能力を持つ者を虐げようとしない。

何れは自分もその立場になる事を知っているからだ。


たった一回の衝突で能力を使わなかった龍に対し能力を使用しても倒せなかったどころかその拳を握れない状態になった多男を見てその3人の頭と思わしき人物は退いた。それに続くように残り2人もその後を走って追った。


「相手が然程強くなくて助かった。ってところか…余計な真似をして悪かったな。怪我は…してないな。」

背後に立つ少女に向き直る。

色素が薄いというより、アルビノを思わせる程の白さ。毛という毛、睫毛も白く、服(和服)も白い。

その双眼は聡明を思わせるような蒼。

正直魅入られてしまいそうになる。


「…ありがとう。…こういう時、どう対応したらいいかわからなかった…」


そう言って頭を1つ下げた少女に

後頭部をボリボリとしながら「よせよ、礼なんて要らない」と視線を逸らす。


彼がしたかったのは自己満足であり、礼を求めたものではなく偽善と言われてもおかしくないようなものだ。


「じゃあ…行くの。…また会える気がする。だから…またね。」


「ああ、気を付けてな。」

立ち去る少女に手を振れば龍自身も帰路へと踵を返した。その時龍は知らなかった、この少女が災禍をもたらす事を……


//////////Black Spell//////////


「渡辺 桜…の兄、渡辺 龍…。凡人…情報に不備なし…。」


龍が立ち去るその後姿に目を光らせ尾行する。先の少女。彼女の職業は暗殺者。

今回の少女の目的は渡辺龍の拉致誘拐と言ったところか

身代金ではなくもっと闇の深い目論見の下、その組織は行動していた。

しかし、目的は1つではない。渡辺桜の抹殺。

彼女は渡辺龍の妹であり、能力という能力は今の所持っていない。しかし、両親を失ったショックから彼女の精神状態は芳しくない。

そんな妹を眼の前で殺された兄の反応はどうだろう。怒り狂うか…泣き叫ぶか。どちらにせよ、目的の為に必要なことである。


3人の男

小柄な男

身長:150cm程度。

体重:42kg

性格:おちょくり上手、煽て上手でずる賢いところがある。厭に皮肉的で1人では何もできない典型的な雑魚。

罪:強姦、強盗、スリ


大男

身長:190cm程度

体重:98kg

性格:気合で乗り切る。ガテン系を思わせる逞しさがある。頭の出来は少々悪いが、根はそんなに悪くない。ただ、歯止めが効かないただの馬鹿。

罪:暴行、殺人

能力:強行突破。体の一部分に付与し、それを暴力に組み合わせる事でダメージ的なものを増加させる。バフのようなもの。


身長:170cm

体重:60kg

性格:状況判断能力に長け、何らかのカリスマ性を持つ。狡猾さ故に、常に傍に誰かを置き利用する。下衆の極み。

罪:強姦、殺人

能力:誘惑。異性に対し精神支配と呼べる能力を使う。但し発動条件は唇を奪う事。

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