弾幕ごっこ.2
「ううう、なんでこんなことにぃ」
「泣きそうな顔しても天狗に容赦は、しないよ?」
白玉楼の空中で妖璃と天狗の少女、椛は向き合っていた。
「妖璃ー!頑張ってねー」
「椛ー!簡単に負けたらお仕置きですよー!」
縁側では、和菓子を食べながら二人を見ている、幽々子と天狗の少女、文がいる。
「ルールを確認します。
使用スペカ数は、二。
一度でもまともに被弾したら負け。
良いですか?」
そして、空中の二人の間で審判をしているのは、妖夢だ。
「はいぃ~」
「うん。いいよ」
片や泣きそうに、片やしっかりと返事をした。
「それでは、始めます。どうぞ!」
言うと同時に妖夢が下がる。
「はぁ、もう自棄です。行きます!
『狗符「レイビーズバイト」』! 」
先に仕掛けた椛がスペカを発動する。
すると、妖璃の上空と下空にジグザクの牙のような弾幕が現れ、まるで噛みつくかのように素早く妖璃に向かった。
「嘗めてるんですか?
こんなモノに当たるわけ無いでしょう!」
真っ直ぐ、椛に妖璃は突っ込んだ。
それだけで、弾幕が回避される。
弾幕は、妖璃の背後で交差して消えた。
「フッ!」
「クッ!」
キィン!
そのまま、妖璃が煙管を振るい、椛が盾で防ぐ。
すると、今度は椛が剣で斬りかかってきた。
それを、少し下がって避ける。
「もう一度!いっ」
「今度は、僕から行きます!
『風流「怨花ー浅木桜ー」』! 」
真下に居る妖璃から椛に一直線に大量の青紫色の弾幕が向かう。
「危なっ!」
椛は、間一髪それをかわした。
「あら?追尾じゃないのね」
「でも、妖璃があれだけで済ますような事有り得ないですよ」
「あやややや?
幽々子さん?
それ、私の分じゃないですか?」
客席の三人は、精一杯な椛に比べてかなり愉しそうだ。
「垂れ」
一番上の弾幕が、八方に弾け一気に落ちてきた。
「あら、綺麗ね」
「そうですね」
「(パシャパシャ)」
弾けた弾幕は、客席から見ると後ろの西行妖にまるで、桜が咲いたように見えてとても綺麗だった。
しかし、巨大な西行妖の全てが咲いたように見える程の量の弾幕に晒されている椛には、楽しむ余裕なんてありはしない。
「きゃあああああああ!!!」
体を曲げて交し、盾で防ぎ、剣で弾き、椛は全力で耐えていた。
暫くして、スペカが終わったときには、椛は疲労困憊だった。
「あれ?結構本気で倒しにいったんだけどなぁ」
「ハァハァ。終わった?」
「椛~!お疲れ~!」
文が、椛を労う。
「文さん。うん。せっかく耐えたんだから勝ちにいこう!
『山高「エクスペリーズカナン」』!」
「わっ、ととと」
ぐるりと椛の周りに展開された黄色い弾幕を妖璃は、慌てて避ける。
しかし、そこを狙うように小さい赤の弾幕が放たれる。
「ッ!」
カァン!
目の前の赤の弾幕を煙管で弾く。
「貰いました!」
そこに、横から黄色い弾幕が迫ってきて、
チャポン
「へっ?」
弾幕は妖璃をすり抜け、妖璃は水面の月のように揺らぐ。
「『風流「暝星ー水面月ー」』
惜しかったよ?天狗にしては、ね?」
「しまっ」
ドォン!
椛の後ろに現れた妖璃は、近距離で一発の弾を椛に当てた。