弾幕ごっこ
「あ、出来ました?」
独り、外で刀を振るっていた妖夢が言った。
「ええ。できたわ」
「できたよー」
屋敷から出てきた二人が返事をする。
「ルールは、『スペカ』1枚で今回はお試しだから『スペカ』使いきってもまだ使っていない人がいる限りはまだ弾幕ごっこを続けてもいいってことで良いわね?」
「「はい」」
「それじゃあ、やりましょう」
桜に囲まれた中で三人は各々離れた場所に浮かび上がる。
「開始!って訳でいきなりいくわよ!
『亡郷「亡我郷 -宿罪-」』!」
開始早々、幽々子が『スペルカード』を使う。
発動した『スペルカード』は、幽々子の手元から消え同時にレーザーの様な弾幕が妖夢を、楔弾の弾幕が妖璃を襲った。
「スゥ、フー」
頭を切り替えるために何時ものように煙管を吹かす。そして、迫ってくる楔弾を見て妖璃は動き出す。
「んっ!」
小刻みに動きながら弾幕の間を縫うように避けていく。たまにある避けられない弾は、
カァン!
快音と共に霊力で強化した煙管で弾く。
「相変わらず丈夫ね」
弾幕を弾く煙管を見ながら幽々子が呟く。
「はい。これは、幽々子様に初めてもらった物で作りましたからそんな壊れやすい物にするわけないですよ。それに、壊れないように強化する為に霊力のコントロールを常日頃からしてますから」
呟きに反応した妖璃が答える。
「あら、嬉しいわ」
頬を緩ませて嬉しそうに幽々子が言う。
「戦闘中ですよ!」
そんな、二人にレーザーの様な弾幕を抜けた妖夢が縦の斬撃を翔ばす。
「ふふん」
「よっと」
二人は危なげ無く斬撃の軌道から身をずらす。
「さすがです!それじゃあ、これはどうです!?
『幽鬼剣「妖童餓鬼の断食」』!」
今度は、横の斬撃が翔んでくる。
「「?」」
只の斬撃が翔んでくるだけの事に逆に疑問に思うが二人は再び軌道から避ける。
「っ!?」
斬撃が近くなり感じていた違和感が能力によって危機感に変わった瞬間、妖璃が一気に斬撃から離れる。そして、離れなかった幽々子は
「キャア!」
至近で発生した螺旋状の弾幕を避けられず被弾した。
「斬撃を弾幕に変換するのか。凄いな」
妖璃は、妖夢が作った『スペカ』に感心した。
そして、先に放った斬撃の意味も理解した。只の斬撃を先に当たらない事を確信しながらも放ちそれを避けさせ今度は、『スペカ』で同じ様に避けさせて油断を誘ったのだ。
「やられちゃったわね。今のでお仕舞い?」
被弾しながらも全く堪えてない幽々子が妖夢に問う。
「はい。一応終わりです」
「なら、後『スペカ』を使ってないのは妖璃だけね。でも、私は被弾しちゃったし最後は二人でやっておいてくれないかしら。私は、見ているわ」
言うと同時に二人の意見も聴かずに降りていく幽々子。
「幽々子様!?」
「妖夢姉。もう遅いよ」
幽々子を止めようと妖夢が声を掛けるが妖璃が無駄だとそれを止めた。
「それに、どちらにしろこれで終わりだしね。いくよ?
『風流「霊鳥―瑠璃懸巣―」』!」
発動した『スペカ』は、瑠璃色の小さい鳥の形をしていた。
「逝け」
妖夢を指差して妖璃が言う。すると、鳥達が一塊になり妖夢に殺到する。
「くっ!」
妖夢は、鳥の軌道から身を外すが鳥は少しだが軌道を修正したのを見て今度は大きく外れる。鳥は、妖夢の左を通って背後へ逝く。それを見た妖璃がもう一度言葉を紡ぐ。
「逝け」
瞬間、妖夢の背後で鳥が元の小さい鳥達に戻りバラけ(右上,右,右下,左上,左,左下の)六方から妖夢に殺到する。それを、妖夢は
「そうくると思ってました」
少し後ろに下がっただけでわした。
「まだ続けます?」
眼前で再び一塊の鳥に成りつつある弾幕を見ながら妖夢は妖璃に聞いた。
「いや、もういいや」
言うと同時に鳥が消えた。
「うーん。当たると思ったんだけどなー」
「妖璃が真っ正面からあんな正直に攻撃してくると思ってないですよ」
「それ、どういう意味?」
二人は、軽く口喧嘩しながら幽々子の所に向かった。