何時もの賭け事
妖璃は、正面にあるチェス盤のナイトを移動させクイーンに逃げ場を奪われたキングを襲う。
カタンッ
「チェックメイト」
いうなり右を向いて、将棋盤に桂を角成りの隣に置き自身の金に両隣抑えられ後ろは飛車が居て下がることも出来ない玉に止めを指す。
パチッ
「王手、詰み」
また、右を向いて囲碁盤の端で四つならんだ白の碁の横に自分の白を置く。
トンッ
「五目、成立」
またも、右を向いて左側の上から二番目に黒を置きパタパタと回りの白をひっくり返して白を黒にしつつ白にひっくり返す所を作らせないで次々に置いていき最後には白の大半を黒にして終らせた。
パタン
「黒28白12。黒の勝ち」
「「「「「嘘ぉ(にゃ)!」」」」」
幽々子と妖夢と紫と藍の四人と審判をしていた橙が驚愕の声をあげた。
「流石に疲れたぁ」
四つの盤に囲まれた中で妖璃が溢すように声を漏らした。
「うぅ。今日こそ勝てると思ったのにぃ」
「我が弟ながら恐ろしい」
「なんだか、前より強くなってない?」
「はあ、やはり強いな」
彼等は今、4対1でのボードゲームをしていた。4人ともボードゲームは、一通り妖璃と戦っているが勝てたことが無く一対一ではもう勝てないと悟り始め、2対1で二つのボードゲームをして1度に戦っても勝てず3対1でも勝てず、遂に4対1でもたった今負けたところだ。
「凄いニャ!」
ルールブックを見ながらすっかり仲良くなった橙が妖璃を褒めた。
「スゥ、フー。ありがと」
極度の集中で出た疲れを煙管を吹かして癒しながらも橙の純粋な賞賛に返事を返す妖璃。
「はあ、今日も御飯三杯までかぁ」
「私は、また一週間の料理当番です」
「帰りはスキマ無しか」
「私は、後片付けだけだからまだいいか」
それぞれ賭けたいつも通りの内容を呟く四人。
「紫様。そろそろ帰りましょう」
「そうね。ここに居て倍プッシュして一日が一週間になっちゃ堪らないわ」
昔、本当にしたことを思い出しながら言う紫。
「あ、そういえば」
帰り支度をし始めた藍と橙の隣で紫が思い出したように話始めた。
「新しい巫女が博麗神社に就任したわ。幻想郷も色々変わったから妖夢以外もたまには、冥界から出てきなさいよ」
ついでに、幽々子と妖璃は約三十年以上冥界から出ていない。
「は~い。気が向いたらね~」
幽々子が軽~い返事をする。
「はいはい。じゃあ、気が向くのを待ってるわ」
「それでは、失礼します」
「失礼しますニャ!」
三人が歩いて帰っていった。
「じゃあ、御飯にしましょうか」
「はい」
「そーですねー」
妖夢と妖璃が幽々子の提案に賛成して妖夢が調理場に入っていった。
「妖璃~」
「なんですかー」
ぐったりしている妖璃に近付いていく幽々子。
「フゥ」
「みゅん!?」
ぐったりしている妖璃の耳に息を吹き掛け脱力に拍車をかける幽々子。
「ふふ。やっぱり妖璃とのゲームの締めはこうでなくちゃ」
「そ、その為だけに毎回恥ずかしい想いをさせられるこちらの気になってください!」
「ほらほら、顔が真っ赤よ?うふふ」
「ッ!」
幽々子から顔を背ける妖璃。
「ゲームじゃ、妖璃に勝てないからこういうところで勝っておかなくちゃね」
「うぅ」
恥ずかしそうにしている妖璃を見ながら愉しそうに幽々子が言う。
「料理できましたよ」
そして、料理を持ってきた妖夢と一緒に三人は夕食を食べた。