半霊の休日
暫くして。
映季が「また来ますね」と言って迎えに来た大鎌を持った女性、小町と共に地獄へと帰っていった。
そして、復活した文が、眠りかけていた椛を連れて白玉楼から妖怪の山へと飛び立つと、まだ落ち込んでいた筈の幽々子が跳ね起きた。
「妖璃~!」
「へ?うわぁ!?」
そのまま、妖璃に飛び付くと、抱き抱えて顔を顔に擦り付ける。
いきなりのことに呆然としている妖璃に対して、何かに気が付いた妖夢が主と一緒に妖璃を抱き締めた。
「えっ!?
えええ!?」
それに対して、さらに混乱する妖璃を、二人は強く抱き締める。
そんな二人にとりあえず、とばかりに妖璃も抱き付く。
やはり妖璃は、なんだかんだあっても、二人が大好きなようだ。
「妖夢~!妖璃~!」
「妖璃~!幽々子様~!」
「えっと、妖夢姉?幽々子様?」
オドオドと、幽々子と妖夢の対応に困る妖璃。
二人が何を考えているのかが、わからない。
感じられない。
そう思った妖璃の中で、苦い感覚が広がった。
そんな事、嫌だ。
知っていたい。
理解したい。
感じたい。
だから、妖璃は煙管を出した。
「ん、スゥ、フゥー」
妖璃は、二人の抱擁から頭と右腕を出して、煙管を吸って、吐いた。
同時に、感覚が研ぎ澄まされていくのを感じる。
『感じる程度の能力』が、発動したのだ。
「んあ、ひ、ふあ」
妖璃は、時々掛かる耳への吐息や髪の毛等と言ったモノの快楽をなんとか耐えつつ、未だに抱き付いてくる二人の考えを感じとる。
その考えは、とても気持ちのよいものだった。
「(映季ちゃんが良い休憩になったのは良かったし、妖夢が悪気があって私を邪魔したんじゃないのもわかってるけど、私も妖璃と遊びたかったわよ~)」
「(幽々子様が寂しがってるのはわかってますけど、やっぱり妖璃の為に駄目ですし、でも私も妖璃と遊びたかったです)」
喜びながらも葛藤している二人が、行動を起こした結果が現状なのだろう。
妖璃は、感じ取った感情を受けて、さらに強く二人を抱き締めた。
不安はすでにない。
「幽々子様。妖夢姉。
何かして、遊びましょうか」
「賛成だわ!」
「はい」
白玉楼は、今日も今日とて大団円な1日になりそうだ。