鬼と半霊
シリアスやめました。
理由は、書きにくいから。
以上!
「それでは、私達はこの辺で失礼致しますね」
「次回の文文。新聞をお楽しみに!」
暫く鬼と天狗の関係を無視した交流をした文。
そして、妖璃と妖夢の微笑ましい膝枕を見て癒されていた椛が、そう言って白玉楼を天狗らしく飛び立った。
それを見送った妖璃は、まだ眠っている妖夢をそっと下ろして立ち上がる。
「あら、妖璃。
妖夢は、起きた?」
「見ての通りですよ、幽々子様。
気持ちは、わかりますけど、やりすぎです」
「だってー」
子供のように頬を膨らませ、ぶーたれる幽々子に、目の前で自分の写真について話し合うということをされ、やや赤い頬のままで仕方無いなというような顔をする妖璃。
まるで、失敗を失敗と認めない子供と親のようだ。
見た目は、妖璃が子供で幽々子が大人なのだが。
「まあ、そう言うなよー。
元はと言えば、妖夢ちゃんが余計な一言を言ったのが原因だろー」
「萃香ちゃん」
赤い顔の萃香が、瓢箪をユラユラと揺らしながら妖璃に言う。
そんな、間の抜けた言葉と態度に、妖璃は呆れを通り越して関心すらしていた。
その間に、幽々子はさっさとどこかへ逃げていく。
その後ろ姿は、説教が嫌いな子供のようだった。
「それより、妖璃ー。
妖夢ちゃんが起きたよ」
「え?」
妖璃が後ろを向く。
そこには、確かに起きたばかりで半目になっている妖夢が居た。
とりあえず、妖璃がこんなときにすることは、決まっていた。
「おはよう。妖夢姉」
「ん。おはようございます。妖璃」
良く似た笑顔を浮かべて、挨拶を交わす二人。
「うんうん。やっぱり似てるねー」
そう言った萃香には、誰しもが納得するだろう。
それほど、二人の笑顔は似通っていた。
「あ、妖夢、おはよー」
その二人の笑顔の間に、一人の影がゆっくりと入る。
幽々子だ。
「おはようございます、幽々子様。
先程は、すみませんでした」
「私もやり過ぎたわ。御免なさいね」
返事をして直ぐに頭を下げた妖夢の頭を撫でながら、幽々子が微笑む。
外野から見れば、それは微笑ましいものだ。
だが、中身は数十年生きた半霊半人。
それを無邪気に喜ぶ歳ではなく、気恥ずかしさで耳まで真っ赤だ。
内野から見れば、それが微笑ましいものなのだが。
それが解っている妖璃は、それはもう笑顔で見ている。
それを少し見てから、妖璃は消え、半魂が現れる。
「とりあえず、ご飯にしようか」
暫くして、フヨフヨと浮いていた半魂が消えて、妖璃が現れる。
その手には、お盆と一緒に簡単な手料理が乗っていた。
それを見た幽々子の目が、煌めく。
「ご飯!」
「あっ」
幽々子の手が離れたのを感じた妖夢が、小さく声をあげるが、それに気づいているのは、妖璃だけだ。
だが、その妖璃は気付かない振りをしてテーブルに置いていく。
「お、ご飯かい?
酒はあるかい?」
「食べ終えてからしか出さないよ。
僕が料理した時はね」
「むー、どうしても?」
頬を膨らませて聞く萃香だが、妖璃は黙々とテーブルに料理を置いていく。
「頬を膨らませても、出さないものは出さないよ。
どうしてもね。
それよりも、食べてくの?
それとも、食べていかないの?」
「酒がないなら、良いや。
じゃあ、私もここら辺で失礼させてもらうよ」
そう言って、音もなく霧散していく萃香に、妖璃は手を振って、既にテーブルについている幽々子と妖夢に言った。
「それじゃ、食べよーか」
「はい」
「わーい!」
今日も今日とて、白玉楼は平和であった。