28 マークへの招待状
デリックに招待状を渡した翌日、今度はマークを呼び出した。
放課後、入学式や演劇祭で使われたホールの入り口に、マークは立っていた。
「話って何? こんなところに呼び出して」
夕日を避けるように、日陰に立っているマーク。足元には彼のスクールバッグが無造作に置いてあった。
「渡したいものがあるの」
わたしはデリックに渡したように、マークに招待状を渡した。
「……あぁ、前言ってたお茶会か。いいよ、行くよ」
「ありがとう……!」
マークは招待状を一瞥して、数日前の話を思い出してくれた。
「だからって、こういう呼び出し方は良くないんじゃない? デリックとか、勘違いしそう」
「勘違い? 何と?」
「無自覚なのも、時には罪なんだよ」
はぁ、とため息をついた。
「デリックにも同じことやったんでしょ、どうせ」
「そうよ。デリックは、ラブレターが欲しかったみたいだけど、わたししか女子はいないんだから諦めなさいって言っといたわ」
「……可哀想なやつ」
哀れみに満ちた瞳で、わたしを見てくるマーク。
「お茶会に行ったら、お礼とかあるの?」
「えっ」
何も考えてなかった。
お茶会でもてなすんだからそれじゃダメかしら……?
「マークは何か欲しいものでもあるの?」
一応、聞いてみる。
それを餌に、お父様の前で友達宣言してもらえる可能性があるし、と打算的なことを考えながら。
「そうだね、じゃあ、今から十秒じっとしてて」
「え? そんなのでいいの?」
「うん、絶対動いちゃダメ。いーち」
マークがカウントを始めるので、わたしは気をつけの姿勢で動きを止めた。
腹パンとかされたらどうしよう……?
いや、マークはそんなことする子じゃないわ。
デリカシーがないだけで。
一瞬、痛い想像が脳裏をよぎったが、わたしに待っていたのは、優しいハグだった。
……なんか、甘えん坊が多いわね。
わたしは右手をあげ、マークの頭を撫でる。
「よーしよし。マークはよく頑張っているわよ。よーしよーし」
「……動くなって言ったでしょ」
そうでした。
マークの不機嫌そうな声を受けて撫でるのをやめると、カウントが進み、
「……はーち、きゅーう、じゅう」
十まで数え終わると、マークが離れていく。
「じゃあ、また明日ね、アン」
マークは地面に置いてあったスクールバッグを肩にかけて、何事もなかったかのように去って行った。
なんだったのかしら?
マークも、デリック同様、人恋しくなっちゃったのかしら?
「意外とかわいいところあるのね」
さて、最後はノア。
事情をすべて知っている分、一番安心感がある。
きっと大丈夫でしょう。
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