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92話 ココ、ダンジョンに行き詰まる

金曜日。


「娘の離婚がやっと成立して、戻って来る事になったのよー。」


 川田さんの娘さんは川田美春さん、美容師さん。なのだけれど、離婚して引っ越すから辞めてしまったらしい。今後は川田さんの家でエステを開業するらしい。軌道に乗ったら店舗を借りるつもりの様だ。

自宅でエステってできるのね。美容師とエステの関係性が私には分からないのだけれど。


娘さんが私のメイク動画のファンらしくて少し面倒臭い事になりそうだと思う……。初ちゃんに連絡して対策をしないと。

 ちなみに一歳の息子さんが居るとか。子供が産まれたばかりで浮気は酷いとは思うけれど、離婚を決意できるのは、美容師として自立しているからだろう。私だったら無理だ。私なんかが1人では息子を育てられなかったと思う。


 今日の日替わりランチはサワガニを使ったパスタにした。大きさがタラバ並みにあっておかしいから身をほぐす事にしたのだが、それを一括解体でやった。殻は堆肥行き。付け合わせは水菜とりんごのサラダとガスパチョだ。私が窯で焼いて持ってきたバゲットも添えた。メニューが居酒屋らしくないなと思ったけど、女性向けのランチなんだし良いだろう。

いつも家ではガッツリ系にサラダと汁物が多いけれど女性向けのおしゃれランチは盛り付けとか付け合わせなどが難しい。母は居酒屋しかやった事がないのにそれができるのはさすがだ。

 

 ところ変わって初ちゃん家

「エステティシャンなら、簡単に引き込めるんじゃないかな!ていうか利用できるかも。」

初ちゃんが今までになく黒い顔をしている。

「私は相手が信用できるか人柄を見てから決めたいよ。」

私は知らない人を懐に入れるのは怖い。

「知り合ったら早い段階で私に紹介してね。」

初ちゃんが何か企んでいる様だ。

 

 

異世界。

唯花がダンジョンから帰ってきた。

「マスター!ワイバーンを6匹もどうやって倒したんですか!」

と詰め寄られた。ダンジョンで群れに襲われて逃げ帰ってきたらしい。

「あー、2匹は突っ込んできたところを結界で防いだら即死、残りは無属性の盾で防いで気絶したのをチェーンソーで首飛ばした。聖域外だからMPヤバかったわ」

「そんな倒し方を……。2対2なら多分余裕なんですけど数が……。」

余裕って言えるのがすごいと思う。私は結界が無ければあの速さに対応できない。

「あれ?ダンジョンって魔力無限だったっけ?」

「えっ……どうやら私達は浮遊魔力を使って魔法を使える様ですが、他の冒険者はそうではないみたいなんです。」

 

何それ!皆は浮遊魔力が見えてない?!

 

 ダンジョンの56階でワイバーンが出たらしい。それまでは属性の違う鴨、羊、鹿、猪、牛、熊、他にもトカゲやワニがローテで延々と出たらしい。というか鴨!?

 どの魔石でも付与はできるけれど、属性を合わせたら効果が上がるみたいなので助かる。

 ちなみに虫も居たとか。その階層は絶対行きたく無い……。スパイダーシルクをゲットしたらしい。釣り竿とか防弾チョッキに使うカーボン繊維より強いだとかで、従魔にしないかと言われたけれど絶対嫌だ。でもカーボン繊維より強いのなら異世界仕様のよくしなる釣竿が作れるのだろうか。聖域の木とどちらが強いのだろう。


 ワイバーンは魔力無限なら常時結界で倒せるけれど、魔道具を作るための魔石も食材ももう十分だから虫が出る様な所には行きたくないのが本音なのである。

「マスター、蜘蛛とワイバーンは階層が違うので大丈夫ですよ?」

56みたいな半端な階層に転移できるのはチートである。もし冒険者が転移を覚えたら1階から転移で無双できるのではないのか。

あ、いや、冒険者達は浮遊魔力が見えないのならMPが全く足りないか。


「あそうだ。転移用の家を手に入れたから。明日はダンジョン休んで家を見に行こう。」

しばらく唯花と離れていてめっちゃ寂しかったので、この後いっぱい話した。

 


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