85話 ギルドの的を粉砕したら、なぜかC級に昇格していました
土曜日:地球
久々の休日!夫は今日、夜釣りに行く……。
太刀魚狙いについて行くんだとか。すっかり釣りにハマっている。釣り雑誌なんか買ってきてたり、夜に竿を出してきて拭いては眺めニヤけているのを見てしまった。浄化をしたから拭かなくても清潔なのに。
私を連れていってくれる約束は?気を遣って異世界でも釣りはしてないのに。
「村瀬さんにご迷惑じゃない?太刀魚って初心者でも狙えるの?」
前回も小鯖ばっかりだったのにまだ釣り2回目だよ?上司が毎回趣味の釣りについてきたらそれ、パワハラじゃん。
「迷惑にならないように色々教えてもらってくるよ。君に美味しい食材を渡したいんだ!」
全く、夫と言い鑑定と言い、私が食材にしか興味が無いと思っているのがめっちゃ心外なんだけど?!
夫が仮眠してしまったので私はキッチンにて無心にバターケーキを焼く。
材料は1:1:1:1
何にも考えなくても手を動かしていたら仕上がる。無心でバターを擦り混ぜていると和樹が余熱中のオーブンを見てがっかり顔をした。
「何?」
「いや、腹減ったから冷凍弁当もらいに来たんだけど」
私は黙って炊飯器を開け、炊き立てご飯をアイテムボックスから取り出した。
「冷やし茶漬けならすぐできるよ」
「お、おう。ごめんな。手間かけさせて」
私は冷蔵庫から梅干しと出し汁を取り出し、ご飯にぶっかけた。
「はいこれ。悪いけどリビングで食べてね」
「あ、ありがとな」
——
異世界。
ワイバーンを浄化、解体して魔石を見る。
熊の魔石より大きい。
羽は大きいけれど、過食部は見た目よりも多くない。体の大きさ=魔石の大きさではない気がする。鶏っぼくてジューシーか。塩胡椒で焼いて少しだけ食べてみる。
「うっっま!!!」
10メートルに対して肉が20キロしかないだけはある!さすが希少肉だ!知らんけど。
次々焼いて我を忘れてうまうま食べていると、後ろにジト目の唯花が居た。
「あっ……帰って来てたんだ……」
「戦闘嫌いだと思っていたマスターがこっそり1人で冒険に行った件〜ワイバーンの肉はうまうまですか?〜」
「ラノベのタイトルみたいに言わないで」
唯花から大ニュースが!何とココが進化しました!
進化すると種族が変わるんだね!
見た目はあの親鶏よりトサカや尾が物凄く立派で、すっかり成鳥の威厳と美しさである。
お祝いにワイバーン肉20キロをココにあげたらめちゃくちゃ喜んでがつがつ食べていた。
ココの種族は親鶏とは違ってエンペラージャングルフォールに。
「そのサイズの魔石には及びませんが、ダンジョン下層に行けばブルーベアが出ましたよ。ダンジョン内は常に浮遊魔力に溢れていて、10階層ごとに転移ポイントがあるので多分工房内から飛べると思います」
「他の冒険者に見つからないの?」
「最高到達階数は9階で、熊は27階だから大丈夫ですよ」
唯花がどどんと戦利品を置く。じゃあダンジョンに行ってもずっと会えないなんて事は無いかな。良かった。
「ダンジョンにまだ熊が居て良かったよ。どうやらこの辺の熊が誰かさんに滅ぼされたみたいでさ」
唯花がそっと目を逸らした。
なる程、唯花がココを焚きつけてる訳ね。
「ココには睡眠が必要だから夜通し攻略とかして無理させないでね」
「夜はココは戻って来て寝るので大丈夫ですよ!」
なる程、唯花は夜通し攻略しているのか……。
冒険者ギルドに従魔登録をしに来た。ゴーレムドールとエンペラージャングルフォールはめちゃくちゃ珍しがられた。ついでに唯花が狩った熊をまるごと納品したら騒ぎになった……。
受付にいた青い髪のでっかい男が目を輝かせて言った。
「ちょ、待ってください、訓練場に持ってきてください。展示するんで」
「はあ?展示?傷むでしょ」
「どうせここでは解体できません。とにかく訓練場に」
訓練場の屋根の下に置くと、ギルド職員は言った。
「ユメさん!今ちょうどC級冒険者が居るんですよ。どうですか!昇格試験しませんか?」
げっ。ハメられた。おかしいと思った!
「え。全く興味無い。てか忙しい。帰るよ」
「待ってください。ギルドポイントがたまっているんです。今日を逃せばしばらくF級のままですよ!」
断っているのにC級冒険者と体術で手合わせしろという。よりによって体術。セクハラか?セクハラなのか?
目の前にはスキンヘッドの男性。
私は言った。
「チェンジで」
「何言ってんですか。準備してください」
そのときココが鳴いた。
「ココ!」
続いて唯花が言う。
「マスターはテイマーです。私が戦います。死なないように注意してくださいね」
ちょ、殺しちゃダメだよ?
だけどギルド職員は言う。
「ダメです!昇格試験は本人しか認められません!」
は?!本人のみの体術のみとか理不尽だろうが。
唯花はニヤリと笑った。
「マスター、後悔させてやりましょう」
ぐぬぬ!唯花に使わなきゃ語録を一個奪われた!
私は両手で頭をがしがし掻いた。
プツンと、何かが切れる音がした……。
「ウォーミングアップなの」
ギルドの練習場の的を魔法で吹っ飛ばした。
「じゃあ手合わせする?魔法戦でもいい?」
スキンヘッドは青い顔で後ずさりする。
「あ、いや、魔法は、その」
「ふうん?」
私は縮地でもう一つの的を蹴り飛ばした。
「じゃ、防御してね。一方的にいくよ?」
すると、ギルドの建物からピンクの髪の女の子が出てきた。
「ままま待ってください!待ってくださいC級昇格で!」
私は結局飛び級でF級からC級に最速で昇格した。
あの的を作った過去の偉い人が決めたルールなんだとか。
「的、弁償するの」
たぶん熊より価値高いよね。
「いえ!新しい的はまだ倉庫にありますので!ギルドカードおつくりしますね」
ダンジョン産だから売っても大丈夫だと思ったのにいきなりの昇級。これは噂のテンプレってやつ?!
やっと私も普通の転移者かも。
10階に入り口に戻れる転移陣があると話してギルドを後にした。
こういう時のテンプレセリフを調べとかないと。
名前:ココ 唯芽の従魔
レベル42
エンペラージャングルフォールの成体 メス
HP 2618
MP 2182
力 675
体力 1309
素早さ 978
器用さ 413
魔力 1091
運 55
特殊スキル NEW!
浄化 念話 飛行 水泳 HP自動回復 MP自動回復
解体 MP消費軽減
アイテムボックス
探索系スキル
索敵 隠密 気配察知 魔力感知 罠感知
戦闘系スキル
身体強化 体術 挑発 威嚇
耐性スキルNEW!
火耐性
魔法スキル NEW!
水魔法 風魔法 土魔法 火魔法 無魔法
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空間魔法 転移魔法




