71話 釣具屋さん
今日は朝から釣り道具を見に来ました。
最初に使う竿やリールは村瀬さんが2人分くれたし、明日は夫1人分、餌も含めて全て貸してくれるので、クーラーボックスと保冷剤と、ライフジャケットを買えば良いらしい。
明日お留守番させられるので、お詫びに連れて来てもらった。釣具を片っ端から色々触って構造を確認した。釣竿の素材はカーボン繊維やグラス繊維。構造解析で触った感じグラスファイバーなら頑張れば近いものが作れそうな気は何となくはするけれど、カーボンファイバーはよく分からないな。両方とも錬金術でレシピが頭に全く浮かばないから異世界には無いのかも。後でインターネットで製法を調べたらできる様になるかも知れない。
昔父親が、天井に釣竿を当ててしならせて私に嬉しそうに自慢していたのを思い出した。その時私は折れないのかなとそればかりが心配で気が気でなかったのだ。あんなにしならせるのは確かに木では無理だ。
慣れたら一緒に選んで買おうと約束した。最初だから釣れるかは分からないけれど、一応クーラーボックスを購入。保冷剤もちゃんと買った。
異世界では釣竿は適当に聖域の木でとにかく頑丈なものを作ったけれど、日本の釣竿も釣り糸も凄い技術だ。軽くてしなる。これでレインボートラウトが釣り上げられるとは全く思わないけれど。やはり異世界では異世界の釣竿が必要だ。
一通り見たらおひつご飯屋さんでホタテバターご飯を食べた。普通に食べて美味しく、お出汁をかけて二度美味しい。盛り付けも綺麗でおねぎとアラレをかけて食感も楽しめた。
帰って保冷剤を冷凍して夫は仮眠。夜出かけて朝帰るみたいだ。村瀬さん本当は太刀魚狙いだったんだけれど、初心者が釣りやすそうなアジに変更してくれたらしい。
ルアーも面白いそうだけど、最初なので今回はサビキを使ってまず簡単に釣りを経験してみようという事になったそうな。
サビキというと、確かいくつも針が付いて、底にカゴとか錘がついてる仕掛けだったと思う。昔父親に一度だけついて行った時に使った仕掛けも確かそれだった。
仮眠から起きた夫は着替えをして準備万端。それ程に楽しみだったらしい。
行きにコンビニに寄るらしいし、自販機もあるので水筒も何も必要無いという。気を遣ってくれてるのだろう。自分1人の趣味のことでパートナーを煩わせたく無い気持ちはよく分かる。
「アジ好きだよね、たくさん釣ってくるよ。」
前に古いアジを大量買いしてたくさん食べさせたのを思い出したんだろうね。確かにアジは大好きだけれど。
「釣って来てくれたらお刺身にするよ!」
新しいアジでお刺身、楽しみだ。
異世界。
ダンジョンには意外にも人間がいたらしい。ココはモンスターだし、唯花はゴーレムだ。悪い人間に捕まったら困るから無闇に接触して欲しくない。
人間はかなり弱くて、唯花やココの隠蔽でも余裕で欺けるとか。
「和樹みたいなのが居るかも知れないから気を付けてね。」と注意を促す。
一度帰りたいと言うので転移で迎えに行った。結構遠いらしいけど、MP1000も要らなかった。ポーション無しで余裕で往復できたのはMP消費軽減とMP自動回復のお陰みたいだ。
ダンジョンに居た人達は、レベルこそ15程度あるものの、私達の15と比べてかなりステータスが低かったらしい。魔物も浅いところは強くないとか。
「一般的な服を作って欲しいです。」と控えめに言ってきた唯花の今の衣装はフリルをふんだんにあしらった水色と白のエプロンドレス。唯花の念話イメージをもとに、この世界で一般的な服を作る事になった。私も唯花とお揃いの服を作った。
オフホワイトのシャツに、カーキのチュニック、厚手の綿パン、そしてロングブーツの底には殺意高めのスパイク、革の胴当ても用意した。
うーん、シンプルだ。けれど敵が弱いなら防具は動きにくいだけ。いらないのだから作る必要性が無い。
よく職人さんが使っているみたいな作業用ポーチとナイフを腰ベルトに下げて、皮のリュックも用意したけれど、まだまだ地味で物足りない。
ついでだからドール用にもう少し装飾を足してデザインを少し変えスケッチブックに描いた。革部分には型押しで刻印を、襟ぐりにアラベスクの刺繍を。女の子用の羽の髪飾りと、男の子用のハチガネと、カーキのマントを。錬金術で作ってマネキンに着せて写真を撮った。
「できたー。男女兼用冒険者の服。」
唯花を私はダンジョンに送った。




