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変人主婦の二重生活  作者: 白石とな
第一章
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7話 初めての雨

聖域に来て初めての雨が降っている。

 

慌てて土魔法で屋根を作り、靴下に雨が染みてきたので地面を少し上げた。新たにテーブルと椅子を屋根の下に作って雨ざらしになっていテーブルは土に戻した。

前回よりは綺麗な仕上がりになったと思う。

練習すればどんどん上達するし、僅かだがステータスも上がる。

 

全身ずぶ濡れだ。水魔法で服の水分を抜いたが、変な乾かし方をしたら変なシワが寄った。

 まあパジャマだから別に良いのだけれど。

まさか服を着て靴を履いて寝る訳にもいかず、足を浄化してアイテムボックスから靴を出して履いた。

「森の中でのパジャマに違和感。明日からジャージで寝ようかな。色気ゼロだけど私にはむしろ必要無いし。」


 髪や肌を乾かすのを水魔法でやるとカラッカラのギシギシになる。恐らくは精密な操作が必要になるのだろう。

 そういえばポータブル扇風機を持ち込んだ所だったのだ。風魔法は何故だか戦闘で使うイメージがあり、聖域は安全地帯だと分かってるいるものの、もしもの為に覚えたかった。ちょうど良いから扇風機の風で髪を乾かそう。

扇風機の風を髪にあてながら、魔法で動かそうと念じたり指をさしたり試していたら、ちゃんと風魔法を覚えた。

 やっぱり温かくないと乾きが遅いな。

雨だから火事の心配もいらないだろうと、ついでに火魔法の練習もした。指先に種火を灯したり、火魔法で風を温めたりしてドライヤー魔法を作った。

 風魔法でウインドカッターの様なものもできたし、火魔法はバーナーのようにもできた。


雨が降っており、屋根があって少し暗い。

テーブルにLEDランプを置いた。

 

 よく物語では、異世界に行ったら神様が精神力をあげてくれてたり、良い感じに価値観を操作してくれて戦闘に忌避感が無くなったりするものだけれど、ステータスには精神力なんて無いし、私のメンタルは主婦のままだ。

 

猪を食材と認識した事で殺生についてのモヤモヤは何とか飲み込んだが、殺されかけた事を思い出すとまだ怖いし、このまま外には出たくない。正直外に出る必要なんてあるのだろうか。

 

 このままここに引きこもって魔法やスキルの訓練をして、それを地球で使えるだけで十分じゃないのかな?私は物語の主人公じゃなくて、普通の主婦なんだから。

 

それから私はLEDランプの光を観察して、ライトの魔法の様なものを発動することに成功した。これで風魔法と光魔法は覚えたし、ドライヤーのお陰か複合魔法も覚えた。

 

それからは形を変えたり色を変えたり光魔法の練習をして過ごした。

 

ちょっとだけ幻想的だった。


 

翌日は土曜日。

地球も雨だった。

「おはよう。今日はもう元気になったかい?」

「おはよう。今日は元気。」

いつも休日は夫と2人で録画したテレビを消化するだけだから雨が降っても関係無し。

 

 強いて言えば洗濯が干せないくらい。

 

今日はテレビを見ながらのんびり猪の角煮でも煮込もうと思う。大量に作って一度冷まして味を染み込ませて、小分けして使わない分は後で収納するつもりだ。

 

 昨日みたいな日にさっとお弁当を作れる様にストックはいくらあっても良い。テレビを見ているうちに煮込めばほったらかしでできるのも良い。

 私は朝一番でブロックにカットした猪のバラ肉の表面を焼き付けてしょうがやネギと調味液を入れていく。ここまでやれば煮込むだけだ。鍋を一旦脇に避け、3人分の朝食を作り、一緒に食べて手早く片付け、角煮の鍋を戻して火にかけた。一度しっかり沸騰させてからアクを取りごく弱火にする。


「お待たせ。」

 コーヒーを二つ持ってきてリビングのテレビの前に座った。今日はこのままお昼までじっくり煮込んで出来立てをいただく予定だけれど、一度冷ましてもう一度温めた方が美味しくなるのでそれも楽しみだ。

 

 夫とのんびり過ごしていると、これが主婦の日常だよなと安心する。やっぱり私は日本に居るのが良い。この暮らしを大切にしなくては。

 

夫がテレビを見ながら、ふわっと私の髪を触った。

「今日は休みだから、家事の事は考えなくていいよ。のんびりしよう。」

「ごめんなさい。」

 また私、変な顔してたのかなぁ。

 

「おはよー。腹減ったー」

 今頃起きた息子が2階から降りてきたので、昼食にする。昨日は夜中までゲームをしていたらしい。休みの日は起きる時間がバラバラでも干渉しないルールだ。

すっかり柔らかくなった肉を崩れない様にご飯に乗せ、たっぷりのねぎと糸唐辛子を乗せた。白菜の浅漬けを横に置く。

「うまっ とろっとろ!最っ高なんですけど!天才か!」

猪の角煮丼。息子の食べっぷりがすごい。喜んでくれて何より。

「君は本当に料理が上手いよね。今日のこれはいつにも増して美味しいよ。」

夫が美味しそうに食べる。その顔がご褒美だ。

「母さんこれ最高!また作ってよ!」

「もちろんよ。任せなさい。」

ボア君は牛より大きかったのでまだまだ無くなる気がしないけれど、一度に調理できる量は限られている。もっと大きな鍋を欲しくなった。


夜はストックしていたアジでアジフライと骨せんべいを作った。これに関しては、2人の反応は普通だった。


  名前 久我 唯芽 くが ゆめ

 レベル16

 HP 206

 MP 604

 力 76

 体力 103

 素早さ 57

 器用さ 228

 魔力 302

 運 34

 

 スキル習得率アップ  アイテムボックス

 鑑定 浄化 解体 錬金術 気配察知

 土魔法 水魔法 火魔法 風魔法

 光魔法 複合魔法



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