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65話 猫カフェ

「え?釣り?」

 夫がコーヒーをテーブルに置いて席に着く。

「そう。前に何か始めたいねって言ってたじゃない?釣りはどうかな?」

私も朝食プレートを配膳して座る。

「そうか、2人でのんびり釣りも良いかもね。

 釣りに詳しい部下が居るから、どんなものを買えば良いのか聞いてみるよ。」

息子が焼けたロールパンをカゴに盛り付けトングと一緒に真ん中に置いて、3人が揃う。

「いただきます。」


 朝食を食べてから夫は同僚さんに連絡すると、使わない道具を譲ってくれる事になり、受け取りに行く時に色々教えてもらえる事になった。

「君を若い部下に紹介するのは不安だからね。僕1人で行くよ」

 と出かけて行った。

私はその時横にいた息子に聞いた。

「部下に紹介するの不安って言われたんだけど、私そんなに何かやらかしそうかな……」

「いや、やらかしそうなのは確かだけど、今のニュアンスはそういう意味じゃ無いんじゃね?リップサービスだと思って素直に喜べよ。」

何かやらかしそうなのは確かだと2人に思われているらしい。なんでだ!

2人とも出掛けてしまったので、その後は作業部屋に篭って衣装を作った。

帰ってきた夫に釣具を見せてもらいながら色々説明をしてもらった。

足りないものをメモしてもらっていたので、来週一緒に買いに行く約束をした。



異世界。

ウッドデッキの屋根の設計図を書いた。

何センチ掘れば安定するかとか、詳しい事を唯花を通じてノームさんに聞きながら書いていく。

 

それから、撮影についての話し合いだ。

「ウッドデッキの時は支柱を建てるのを魔法でやりましたからね、そこは今回もカットでいきましょうか。」

「なるべくやりたいけどね。1日の作業行程は計画を立てて期間かけて建てないと、前回のウッドデッキでも作業スピード早すぎるかなと思ったし。」

「そうですね。ここで試験的に建ててみて、全てを魔法無しでやるのに無理がありそうなら庭に建てるのは断念しましょう。」

 素人がプロ顔負けの作業をすると言うギャップがウケるのだ。私の主婦という肩書きも良いのだと思う。もし魔法で誤魔化してしまったら、やらせっぽくなってしまうかも知れない。


 


 日曜日。

今日は猫カフェに行く。

昨日息子が猫の毛を付けて帰ってきたからどうしたのか聞けば、柚月さんと猫カフェに行ったというので羨ましくなったのだ。

「君は猫派なんだね」

「ううん。私は全部派」

犬も猫もハムスターも、もちろん鶏も可愛い。

「ふふ。君らしいね。」

 私は昔から動物に好かれる。今日も座るとすぐに猫が膝に乗ってきた。夫は触るでもなく微笑みながら猫を見ている。

 誰か夫にも懐いてあげてーなんて思っていると、周囲の猫がどんどん夫に群がっていって夫は困惑顔をする。他のお客さんも店員さんも困惑している。

 無意識に何かのスキルを使ってしまった。皆好きにしてて良いからねーと念話で声をかけたらぽつぽつと離れていったけれど、何匹かの猫は夫の近くが気に入った様でそのまま寝そべる。

夫は追いかけたり無理に触りに行かないのが良いんだろう。穏やかな空気で猫にとっても安心感があるのだ。

「猫、ちょっと飼いたくなったよ。」

 と夫。

「旅行とかは行けなくなるけどねー。」

「それはちょっと嫌かなぁ。」


猫はおそらく念話が通じると分かった。そして調教スキルである。ココは大事な事以外いう事きかないのでダメスキルだと思っていたがとっても有能なスキルだった。

あれだ、多分ココが子供だから自制があまりきかないんだ。

 私の言う事は命令じゃないからね。全部は言う事聞かなくて良いんだからね。と心の中で全猫に伝えた。



異世界。

問題が発生した。

屋根となると物理的に1人では作業ができないのだ。ウッドデッキの時は反対側を無魔法で支えた。低い位置だったから目立たなかったものの、うまく編集されてあった。

屋根でこれをやると、絶対に絵面がおかしくなる。

「盲点でした……。和樹さんに手伝ってもらいますか?」

「そしたら撮る人が居なくなるよ。」

撮影しないで魔法でやるか考えたのだけれど、唯花的にはそれは無しらしい。たとえ業者を入れた事にするとしても、作業風景を一部公開しないと視聴者につっこまれるというのだ。そんなもんなのだろうか。

屋根作りは断念するほかなかった。

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