50話 温泉
15日木曜日
息子が初めて友達と旅行に行った。
夫がお小遣いを持たせていた。母からもバイト代とは別に貰っていたみたいだから、金銭面ではきっと心配いらないと思う。
今日から2人。
今日はのんびり日帰りで温泉に行く。
「旅行が温泉だと、別々に過ごす時間が長いのが残念ポイントだよね。」
正直言うと温泉は好きではない。私は他人とお風呂に入るのが好きではない。本来開放的なはずの温泉は。私にとっては、変わり者だとバレない様に細心の注意を払わなくてはいけない窮屈な場所だ。
人を観察してはいけないのに、服の脱ぎ方、頭や体の洗い方まで他人と同じ様にしなくてはいけないのは私には難易度が高すぎる。
私は頭を洗う時にうつむいて洗うのが大嫌いなのだが温泉では大多数がこのスタイルなのだ。普段は上を向いて洗う人も、人が多いここではきっと胸を隠す為に下向きで洗うだろう。しかも一番死角が多い場所は競争率が高く、今日の様に混雑する日は地獄だ。
閑散期の平日の昼間で貸切なら多分好きなのだけれど。
旅館の部屋に温泉があるところに一度は泊まってみたいとは思うけれど、物凄く高いのだ。
「そうだね。和樹が居る時はこっちは2人だけど、唯芽はいつも1人なんだったね。娘だったら良かったかい?」
「娘は欲しかったけれど、和樹が女の子だったらとはさすがに思わないよ。」
むしろ息子で良かったんじゃないだろうか。夫がきちんと常識のある子に育ててくれたのだから。変わり者の私に育てられる娘は、将来きっと苦労すると思う。
温泉といえば、温泉水を収納したりするお話があるけれど、掛け流しなら問題ないのだろうか。例えば一時的に水量が減って営業に支障をきたしたりしないのだろうか。少しだけ考えたけれど、損害賠償とかはちょっと困る。いや、多分温泉水を盗んでもバレようがない。むしろ営業中のトラブルとして入場料が返ってくるかも知れない。いやそれは詐欺か。さすがに罪悪感がある。
自宅のお風呂に温泉水を入れると入れるとどうなるのだろう。風呂釜が壊れたりするのだろうか。温泉は苦手だけれど温泉水は水道水よりは好きなのだ。
私は湯船が好きではないのでついいつもシャワーで済ませてしまうけれど、温泉水が家にあれば湯船に入ろうと思うかも知れない。
湯の花を買うかはいつも迷う。結局は買わないのだけれど。そこまでして湯船に入りたいかというと、別にそうでもなかったりする。自宅のお風呂など人と入る機会はないのだから、別に無理して湯船に浸かる必要は無いのだ。
「最近急に黙る事が多いね。考え事かい?」
もんのすごいしょうもない事考えてましたっ!
「もし異世界転移したらチートで成り上がれるかなって考えてたよ」
実際そう思っていた時期もありました。
「ふふ。物語みたいに上手くはいかないよ。」
実際問題異世界ではともかく、日本は管理されすぎていてチート能力でお金を稼ぐのは無理に等しい。私が下手なだけかも知れないが。もう防犯カメラがある場所をチェックするのも癖になった。何かが起こって世間にバレたらもう平穏な生活は望めないであろう。今の日常が壊れる事を考えると恐怖を感じるのに、それでも立ち止まれない自分の罪深いこと。
いつかあなたにも話した方が良いのかな。
異世界。
「マスター、おかえりなさい。さつまいもととうもろこしの収穫が終わりました。畑は耕して堆肥を作っています。以前計画した様に小屋を建て直し畑を南にしますか?」
「って育つの早くない?!?!」
精霊がチートすぎる件。
「お盆の間にここを精霊だけで管理できる様にして安心して地球に行きたいのです。お盆明けがとても楽しみですねー。」
これはもう先延ばしにはできそうにない雰囲気だ。
「ココちゃんが心配だけどねー。」
「マスター、ココは心配ありませんよ!もうマスターより高いレベル35です。」
とんでもないスパルタである。けれどココは私に制限されて狩りに出られなかった時より随分と楽しそうだし、食餌を自分で狩れる様になりまるまると太って健康そうだ。やはり魔物には魔物の生き方があるらしい。
よく見たらココに飛翔というスキルが出ている。これは成長とともに習得するスキルらしい。水泳もあった。
「ええ!ココちゃん飛べるし泳げるの?!」
「いえ、飛行ではなく飛翔です。飛び上がり滑空します。」
今日はみんなで庭のウッドデッキ用の木材を切りに行った。途中でグレートファングボアが現れたけれど、唯花が一瞬で倒した。経験値ならココにあげればいいのにと思ったけれど、きっと良いところを見せたかったのだろう。実際外に出ても大丈夫だと信頼できたし、安心してココも任せられると思った。
唯花が戦うところは初めて見たけれど、あれが暗殺か。ステータスは私より低いはずなのに、何をしたのか全く分からなかった。
それから川でサワガニとテナガエビをゲットした。当然の様にでかかった。期待した真珠は無かった。あそこまで育つのには何年もかかるのだろう。
麦はもし収穫しても麦わらが使えるかも知れないので堆肥にしない様にお願いした。
名前 ココ レベル35唯芽の従魔
ビッグジャングルフォールの幼体 メス
HP 1224
MP 842
力 329
体力 612
素早さ 570
器用さ 240
魔力 421
運 51
特殊スキル NEW!
浄化 念話 飛翔 水泳 HP自動回復 MP自動回復
探索系スキルNEW!
索敵 隠密 気配察知 魔力感知
戦闘系スキル
身体強化 体術 挑発 威嚇
魔法スキル NEW!
水魔法 風魔法 土魔法
光魔法 治癒魔法 植物魔法




