16話 服飾と錬金術
火曜日
もうすぐ夏休みが始まる。
あまり家の中で大っぴらに魔法を使えなくなる。今から魔法無し生活に慣れなければ。そして、普通の主婦としての生活を中心に生きなくてはと思う。
依存もよくないので今日は普通の紅茶を淹れた。
「あのハーブティーを飲み始めてから何だか調子が良くてね。」
夫は少し残念そうだ。
「俺も」
スマホを触りながら息子も同意する。
「ごめんね、今日雨で収穫できなかったの。」
というのは嘘なのだけれど。こういう時さらりと口から出まかせが出てしまうのだ。
その能力が無いと主婦の世界、というか、女子の世界では生きてはいけない。あれはとてつもなく過酷な世界なのだ。一つ失敗すると陰口は瞬く間に広がり次の日から居場所が無くなる。
私は変わっているのでなるべく自分の意見は言わずに周りに合わせてのらりくらりやっているうちに、息を吐く様に嘘がつける様になった。
私のポリシーである真面目や誠実とは真逆の様に思われがちだが、相手を困らせない為の嘘は誠実に分類される。相手の意見を尊重するのだから、私が隠し通せる限りそれは相手にとっての真実になるのだ。
男性に生まれていれば楽だっただろうか。
いや、男性の社会ではもっと競争が激しく、いじめなどは暴力もあるらしいから、女性の方が楽ではあるか。
子供時代は合わない相手は無視すれば良かったが、主婦ともなると妻の評価は夫の評価も左右する。決して誰にも嫌われない様に気を付けないと。
雨。今週は続くみたいだ。
昨日確認したところ無事新しい魔法を覚えた。名前は無属性じゃなく無魔法だった。ステータスを作った人が土魔法や風魔法と揃えたかったのかも知れないが、属性が無い魔法だから無魔法か。
そして魔力感知を覚えて分かったのは、地球には魔力が無いという事。正確にはある。うちの庭の一角。土と薬草達、窯とかまどにはある。
聖域に行けなくなったら多分魔法は使えなくなる。それは困る。
アイテムボックスと解体はMPを使わないし、身体能力が上がっているから、まあそれだけで便利だとは思う。
気配察知は宅配が来た時ぐらいしか用途が思い付かない。個人の気配の判別ができないからだ。しかもこいつがパッシブスキルであるらしく、私は前にも増して人混みが苦手になった。慣れる時が来るのだろうか。まあ、家に一人でいる時の防犯にはなるか。
今日はストックしてあったカレーグラタンとシーザーサラダの予定にして、夕食作りをサボって動画を見ながら裁縫を練習する事にした。
それなりに知識と技術をつけなければ、材料や道具を異世界にに持って行っても、やり方が分からなければ何もできない。
とか思っていた時期がありました。
何でやねん!
異世界来てから練習の為にハギレを縫っていたら服飾スキルが生えたのは良いとして、古着を手に持って「これはリメイクより布から作った方が楽なのでは?と思案していたらなんと布になりました……。
いや私も何言ってるのか分からない。
パーツに分かれたというよりかは縫う前の……というか切る前の布になりました。そして……思うだけで服になりました……。
うそやん!
これが錬金術か。インターネットでは色々調べたし服飾スキルを覚えるまでは何も起こらなかったけれども。
こうなったらもろもろの技術を磨くよりも、ここへ来たらまず片っ端からスキルを覚えるのを重点的にやった方が良い。
明日あたり何をやるかまとめよう!
考えていた事が不意になったので、今日はご飯のストック作ろう。考えがまとまらない時は何も考えずに好きな料理をするに限る。
猪ストックが多すぎるので、酢豚を作り置き。
普段は家で下ごしらえした材料を使うのだけれど、風魔法で材料を切って、火魔法で炒めて、と全部の工程を魔法でできた。
時間が余ったので、風魔法でミンチにした豚肉と玉ねぎを使ってコロッケも作れてしまった……。
「ミンサーもフープロもチョッパーもいらない。え、待って、料理スキルが生えとる。って今かい!なんでや!アジ捌いたのに習得しなかったから無いのかと思ってたのに!」
まあでも……スキルを使う予定は無しだ。
うっかり自動的にスキルが発動しない様に気を付けないと大変な事になる。
「何とかできたら良いのにね。」
とステータスを見ながら言ったら、今まで取得順だったスキルが常時発動スキルと任意発動スキルに分かれた。
「って任意発動できるんかい!」
これでスキルバレの心配は無くなった。
名前 久我 唯芽 くが ゆめ
レベル16
HP 284
MP 888
力 131
体力 142
素早さ 86
器用さ 321
魔力 444
運 34
常時発動スキル
スキル習得率アップ 気配察知
任意発動スキル
アイテムボックス
浄化 解体 錬金術 調薬 木工 服飾 料理
身体強化
魔力感知 魔力操作 素材操作
土魔法 水魔法 火魔法 風魔法 氷魔法 無魔法
光魔法 治癒魔法




