113話 技術指導
あー、子供達を見ていたら作業が進まない。
私は型紙を引くところからちゃんと動画を撮る。
私には錬金術があるから、型紙が無くても直接布を断つ事ができるし、まち針で留めなくても直接縫う事もできる。
それを正規の手順で一切誤魔化さず作っていくとなると、結構凄い時間がかかるのだ。
宣伝用動画が結構重要だから最初の試作だけは手作業でやらないといけない。
本当に次代の若手を育てたければ、こういう純粋な手作業こそ子供達に見せたいのに、あの子達、特にクルトの集中力が続かない。
2拠点の時間を全部開店作業に使いたいくらいなんだけれど、タイミングの悪い時期に孤児の世話を始めてしまったので時間が足りない。これも私の気まぐれのせいだ。聖域も精霊達に任せっぱなしなのに。
開店までなるべく知名度を上げなければいつになっても生配信をやめられない。悩ましい。寝ている時間まで動いてるのに時間が足りないとは。
アペリオ開店日は11月1日に決めてある。
始まりの日にちなんで1がつく日にしたかった。もう告知もしてある。元旦はさすがに家との両立が難しいから。
異世界。
今日は子供達を連れて商業ギルドに来た。
少し落ち着いて行動できる様になってきたので弟子だと言って見学させている。
ルアー作りの為の木工職人さん達への技術指導だ。商業ギルドは上限を設けなかった様で、結構たくさんの人が集まっている。
私は見本の部品を職人さんに渡して、見たら隣の人に渡して回してもらう様に言った。
「なるべく軽い木をこの形に彫って、中にこのくらいの重さの錘を入れてこの小さい輪っかとベロを付けて閉じる。錘は鉛か魔石を使っています。素材操作が無ければ、接着剤でくっつけます。水を弾く塗料で色を塗って、この輪っかと針は鉄だと錆びるので、私は鹿の角や猪の牙、動物の骨を使う事が多いですが良さそうな素材があれば何でも試して、より良い作品を作ってください。形も変えて下さって結構です。」
私は各木工職人さんに
「魔石で作る場合は釣れる様に釣れる様にと強く念じながら作れば稀に付与がつく事がありますよ。」
と言うとおお……と職人さん達が沸く。
「魔石はどうせ砕いて効果が下がるので、傷ありやクズ魔石など格安のもので十分です。」
付与が思いの強さなのは懐中時計で実証されてる。
「魔力を込めるとか意図的にやると付きやすいけど、集中する事で自然に魔力が動く事もありますからね。職人さんなら凄い作品が出来た時とか、いつもより何倍も早く仕上がった時とか無いですか?」
みんなは思い当たる事がありそうだ。エリザさんがメモりまくってる。せっかく慣れた人なので、私の担当クビにならなくてよかった。
「私は自分の栄誉なんてどうでも良いので、知識を惜しみなく広めてバローマの街を発展させたいと考えています。賛同してくれる方はお弟子さんやお子さんにもどんどん広めて下さいね。」
うおおおおと盛り上がる。凄い熱気だ。
うんうん。良い事だね。
後日各工房分の見本ができたら商業ギルドに預ける事を約束してその技術指導は終了した。商業ギルドからは追加報酬をいただいた。




