表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/324

109話 エソ

えっと……

 シーバスは釣れなかったみたいである。変に付いて行って村瀬さんの事を邪魔していないかいよいよ心配になってきた。大丈夫なのだろうか。

「私が調理した事ない魚だ……。」

 クーラーボックスには3匹の見知らぬ魚。鑑定するとエソと出た。

「ごめんよ……。エソは小骨が多くて調理が難しいって聞いたから迷ったんだけど唯芽ならできるかもと思って一応持って帰ってきたんだ。」

何それ煽ってるの?

「やっぱりシーバスは初心者には難しかったんだよきっと。」

 無理せずもうこれからはずっと小アジをサビキで狙えば良いと思う。初心者なのにどうして釣れない大物を狙うのか私には分からない。

ガシラ(正式名称はカサゴ?)釣れたらしいのだけれど、小さくてリリースしたらしい。

 大きくなって夫の元に帰ってこいよ……。


 夫がお風呂に入って寝室に行ったので釣具も脱いだ服も全部浄化したら部屋の磯臭さが無くなった。

 

エソの捌き方は分からないから本来なら解体スキルで良いのだけれど「難しいらしいけど唯芽ならできるかも」なんて言われてしまったら自力で挑戦するしかない。


 エソの動画を探していくつか見たら神動画を見つけた!わお!これやってみたい!!

「まず全部頭を落としてー」とやっていたら、息子が2階から降りてきて手元を見てくる。

「見られてるとやりにくいなあ。私これやるの初めてなんだよね。」

 内臓を取って洗ったら、背びれを切ってー、そして出刃包丁で背中側を叩く!叩く!

「え!」

 驚いてる息子をよそに尻尾の所の骨を切って骨を包丁で押さえたら尻尾持って引っ張るー!うひょー!気持ちいー!

「うおお!それちょっと俺もやりたい!代わって!」

「えー。チミには無理だと思うよぉ?」

 外道ばかりだったストレスを息子煽りで解消する。

「あーっ!切れた!最悪だー!もう1匹」

「ダメ!私がやる!」

 息子から包丁を取り上げて手早く骨取り。息子が失敗したやつは解体スキルで骨を取った。

「えっ……何それ……てか何で手作業で捌いてんの?」

こらっ!変人を見る目で見るな!

「手でやった方が楽しいから」

「あー…わかる。」

「昨日サイフォンごめんね。初ちゃんじゃお父さんに絶対勝てないと思ったからめっちゃ急いでたの。」

かまぼこにする予定だったけれど、綺麗に骨が取れたから唐揚げにしよう。ちょうど3匹あるし。二度揚げしたら小骨があっても大丈夫だろう。

「父さんが時間稼ぎしたかったのは俺が邪魔すると思ったからじゃね?父さんに頼まれる事とか滅多に無いから超張り切ったのにコーヒー全く期待されて無かったとか地味に凹むわ。」

そりゃ凹むね。顔には出さなかったけど思惑が息子にバレた事夫は盛大に焦っただろう。錬金術はズルだけど、偶然が重なって夫を少しでも焦らせる事ができたなら初めて勝てたみたいでなんか嬉しい。

「父さん人をいい気分にさせるの本当に上手いな。母さんがあしらわれてるっていつも文句言ってるの分かったわ。息子に期待するフリとか怖っ。寒気するわー。」

そう、夫は愛妻家のふりも上手いのだ。村瀬さんもきっと手のひらで転がされているに違いない。気の毒に。

「今日魚これだけだってー。お父さんに釣れる様になるお守り渡そうかなー」

もう一品メイン料理が要る。3匹とももう一度浄化してバットに入れラップして冷蔵庫へいれた。

「いや、それは無しでしょ。」

何で無しなのか分からなくて振り返ると息子は洗い終えた手を拭いていた。

「母さんが料理にスキル使わないのと同じ理由ー。」

 あそっかー。なるほどねー。サイフォンと同じ理由か。

「ありがとね。和樹。」

 私も自由にさせてもらっているし、のんびり大漁を待つか。

 


今日は異世界も休養日。

 地球と何故同じなのかは謎である。狙っているのだろうか。

 今日は唯花もココも連れて行って9人の孤児達と遊ぶ日である。孤児院出身の冒険者3人パーティーセレスの風に依頼を出して案内と護衛を頼んで近くの川に釣りに来た。メンバーの名前は、ニック、マシュー、ピーター。


 ココが居れば大丈夫なんだけれど、稼ぎが少ない子達へのボランティアである。

「マスター、釣りは私が教えます。」

ハイハイ。私は下手だからね。良いですよ。もう釣りに興味は無いんで。

 

 唯花が子供達に釣り方やコツを教えている間に、私は釣りに興味が無い子達に簡易かまどの作り方を教える。冒険者の子達は孤児達が勝手に行動したり川に落ちない様に見ていてくれている。ココは周囲の見張りをしてくれている。


 適当な枝を拾って串に使う用と焚き木にする用に分けて串の方を浄化した。小さい子達は川が初めてらしくて石を積んで遊んでいる。

 ここらは大きすぎるレインボートラウトみたいな魚は居ない様で、糸を切られることも無く楽しそうではあるけれど、集中力がない子達が走り回り始めて護衛の子がてんてこまいだ。釣りをしている他の人達の邪魔にならない様に集めて皆んなで砂遊びをする。子供達が土魔法覚えますよーにー。


「マスター!入れ食いです!」

グリーントラウト、ブラウントラウト、レッドトラウト、似た魚が色々いるけれど全部食べられる魚の様だ。レインボーは光属性だったけれど、ここの魚の場合、色と属性に関係はないみたいだ。

 という訳で、全員集めて浄化し、枝2本ずつ渡した。私はウロコを取って、魚の口から二本の枝をエラを挟む様に突っ込んで捻りながら抜いて見せた。小さい子はギョッとしたけど、普段から料理を手伝ってる子達が率先して内臓を抜いていく。子供達も頑張ってチャレンジしている。冒険者の子にも自分の分の調理はさせた。ココにはもう少し見張りを頑張ってもらう。

 それぞれ自分で枝を刺して子供達が積んだいくつもの小さい簡易かまどの前に刺して焼いた。

「お腹壊さない様に両面中までしっかり火を通してねー。」

獲れたてを自分で料理して食べるなんて貴重な経験だ。食育というやつだ。私は1匹も釣っていないけれど。

 子供達には、危険だから絶対子供だけで来ない様にきちんと言い聞かせてみんなで帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ