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105話 石鹸が届いた

開店の時に配る石鹸が届いたらしいのだけれど、2000個も届いて驚きしかない。

「印刷してもらったのはパッケージだけで中身は市販の石鹸なんで、ここに例の薬草魔力草エキスを無味無臭で見た目や成分分析でバレない様に添加してほしい。」


初ちゃん、それは禁じ手では。なりふり構わない開き直りが少し怖い。

「調べても出ない様にはできると思うけど。石鹸の会社が困らない?」

自社の商品で謎の美肌効果である。

「大丈夫。むしろ喜ぶと思う。」

「初ちゃんドール愛は?」

私ににわかだと言って怒ったのは初ちゃんだ。

「私はこの店をドールだけで終わらせるつもりないよ。唯芽さんの才能を余す事なく活かしたいと思ってる。」


 お店を任せっきりにしてしまったから、初ちゃんが暴走しているみたいで心配になる。初ちゃんが上目遣いのあざと顔で聞いてくる。

「食品偽装はいいのに石鹸はだめ?」

「ぐっ……わ、分かったよ。」

 そう言われると私も人のことを言えない。

 

 実は収益化申請のその日に初ちゃんの中では既に石鹸を主力にするのは決まっていたらしい。実際に売る為の石鹸は更に発注しているそうで、美春さんの存在は渡りに船だったとか。ただでさえ2000個の石鹸があるのにまだ届くというのはびっくりである。オリジナル石鹸だから出来上がるのに期間はかかるらしい。それまでお店が続くと良いなとは思う。




という訳で異世界。

「こんにちわー。また依頼で来ました。これ、お土産です。」

今日は孤児院に豚肉プレゼント。

「ユメさん、依頼料よりもお土産の方が値段が高くて申し訳ないのです。」

「じゃあ寄付という事で。」

「いつもありがとうございます。有難くいただきます。」

院長先生は眉を下げ困った顔で受け取ってくれた。


子供の成長は早い。

ライラは縄跳び効果なのか、体力と素早さが伸びている。もとが低いから伸びが良い。クルトも器用さが上がっている。粘土と縄跳び効果?

 そしてラナはなんと魔力感知が生えている。

これは、この子が才能あるという事なのか。子供をたくさん集めたら天才が紛れているかも知れないけど、そういうのは国とか領地が何かしないと個人では無理な気がする。


このまま訓練して、ステータスを上げるだけ上げてからレベルを上げればもとのステータスの割合で上がっている様な気がするのだ。それが現地の人で証明されたら世界が変わるのではないなと思う。


むしろ何故今まで知られてなかったのか。


 この日は土魔法発現を期待して、孤児院の建物の補修をする。どの壁に隙間があるのかをしっかり調べて確認し、私が用意したパテを塗っていく。

「隙間風が入らない様に、崩れない様に、丈夫に、私達を寒さから守ってねって思いながら魔力をこめて隙間を塞いでいくよ。想いの強さとイメージが魔法には大切だからね。」

 一緒に壁にパテを塗りながらラナが塗った箇所を確認して、最後に私が魔法で補強した。もうちょっとだと思うのだけど。


帰りに院長室に寄ろうとすると、先生は礼拝堂の方で有難いお話をしていた。町の人もたくさんいる。私はお話が終わるまで後ろの方の席でおとなしくしていた。

「先生、ついでだから孤児院の補修もしておきました。」

「孤児院の補修まで…。本当に恐縮です。ここまでしていただいて私達には返せるものが無いのです…。もしも道に迷った時にはなんでも話して下さいね。お話を聞く事が私の仕事なので。」

院長先生の謎のカリスマ。まるで後光がさしている様な錯覚さえ覚える。

「いい大人の私がお若い先生のお世話になる訳には。」

「いえいえ。ごらんなさい町の人達を。あなたよりもうんとご年配の方もたくさんいますよ。ここに来るのに年齢など関係はないのです。」

そう言われ周りを見渡すと、確かにご年配の人も多い。


「私は人々の悩みに寄り添い、時に神の言葉をお借りして心を軽くしたり背中を押すのが仕事であり、それは神から与えられた使命だと思っております。」

「そうですね。見た目で決めつけて失礼なことを言ってごめんなさい。」

セレスティア先生は孤児院で子供を見てるから母性が高いし、教会の最高責任者で責任のある立場だからカリスマがある。そして懺悔を聞いて説教をするのがお仕事だから話を聞くのも話すものきっとうまいのだ。私は年齢や見た目で決めつけてしまったことを反省した。


「おほほ。あなたは本来人を見た目で判断して侮る人ではないでしょう?子供たちへの対応を見ていれば分かりますよ。ですが人を頼ったり弱みを曝け出すには勇気がいるものですからね。気が向いたらいらして下さい。何も変わらなくても、言葉に出して整理するだけで、次の選択が明確になる事もあるのです。」

「はい。今後困った時はお話を聞いてください。」

 

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