104話 アペリオ
ずっと初ちゃんが進めてきてくれたドール服屋さんがついに始まる。
全てを丸投げした関係で、初ちゃんが店長になっている。そして私がそこに就職したいという事で、今度の土曜日に初ちゃんが説得に来てくれる事になった。もっと早く話しておかなくてはいけなかったのに、私が勇気が出なくて待ってもらっていたのだ。
そろそろ心を決めないといけない。
店名はアペリオ。ラテン語で芽吹く。初も芽も始まりを想起する名前だからそれにちなんで、ここから芽吹いていくって意味でつけた。
収益化はもちろんその会社の名義になってる。私あっての会社なので、リスクを考えると初ちゃんが裏切る様な事は無いと思うし、もし乗っ取られても辞めちゃえば良いだけだ。
というか疑っている時点でごめん初ちゃん。賭けてるものの大きさが初ちゃんの方が多分大きいよ……。突然能力が消えたりしたら私どう責任取って良いか分からないから怖いよ。
異世界。
今日は孤児院で子供達を見ながらのんびりレース編みをする事に。
「ようこそ。ユメさん。今日も来てくださってありがとうございます。」
「こんにちは。先生。子供達と遊びに来ました。」
ライラちゃんとクルトくんが縄跳びをしていて、ラナちゃんは私のレース編みを覗き込んでいる。ラナちゃんにはまだレースは難しいと思うので、毛糸用のかぎ針を渡して毛糸で編み方を教えてあげた。
私が作っているのはレースのハンカチ。開店の時に注文してくれた人に石鹸と一緒に配るやつの試作である。中庭のベンチでラナちゃんと並んで編んでいる。
ライラちゃんが飽きてこっちにやってきたので、浄化をかけてあげて、毛糸を渡してあげると、反対側の隣に座って私の手元とラナちゃんの手元をじっと見つめる。
「かぎ針やってみる?」
と聞くと頷いたので、私はステンレスを取り出してかぎ針を錬成してライラちゃんに渡して編み方を教える。
「まほう……」
今度はラナちゃんが私をガン見している。
「魔法に興味があるの?かぎ編み一通り教えるまで待ってね。」
ライラちゃんが一人で編み始めるのを確認してからラナちゃんに向き直る。
「今の魔法は錬金術だからラナちゃんには難しいけど、さっきやった事に近いのは土かな。魔法はやりたい事を叶える力にはなるよ。目で見たものをよく覚えて真似したり、こうだったら良いのになってたくさん想像するんだよ。」
中庭に土魔法のテーブルを出して、粘土を置き、その横にスプーンやフォーク、花やマネキンを置いた。
「色んな物の形を真似して最初は手で作るの。こんな形にしたいって強く思いながら、魔力を通して土を捏ねて形を作っていくから、手に触れるよ。」
ラナちゃんの手を取って私の魔力を通す様に土を捏ねて、マネキンの形にしていった。
「魔力で土を動かすの。慣れたら自分の中にも、木にも土にもある魔力を感じられるから、その魔力に自分の魔力を混ぜて動かすよ。」
結局4人で粘土遊びになった。
粘土遊びは子供の発想力高めてくれる。不器用なクルトくんも、楽しく遊べた。私のレース編みは全く進まなかったけれど。
子供の面倒をみながら違うことするのは難しい。
帰る時にはテーブルを土に戻してからみんなに浄化をかけた。




