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102話 男は勝敗にこだわるんだよ

日曜日。

今日も夫は逃げる様に出かけてしまう。二日連続とは珍しい。私に何か後ろめたい事でもあるのだろうか。

でも浮気だとは考えにくい。毎朝私の言うまま私の用意したものを着て出かけて決まった時間に必ず帰ってくる。

好みが変わった様子もなければ物が増えた形跡もない。鞄もスーツのジャケットも、ポケットの中身が入ったまま何の警戒も無く私に手渡す。


なんというか必要以上に慎重になったり、妙に浮かれたり、そういう独特の雰囲気が一切無いのだ。今までの結婚生活で一度たりともだ。


なのに村瀬さんとは頑なに会わせようとしないし、釣りに連れて行くのは嫌がる。

「浮気じゃなければ一体何なんだろう。」

「父さんに限って浮気は絶対あり得ねぇわ。ばかばかしい。」


息子の父親への信頼が凄い。私は常に何かやらかしそうだと思われているというのに。

「浮気自体もあり得ねーけど、その前に父さんはリスクヘッジができてんのよ。浮気は非効率。不満があったら息抜きの前にまず話し合いだわ。」


あー、そういう?確かに分かる気はするけど、浮気じゃなくて本気なら、先に私と離婚するのだろうか?それともやっぱり先に話し合いか?


「母さん最近何でも器用にこなすし?父さんもたまには優位に立ちたいんじゃね?上手くなったらきっと連れてってくれるだろ。多分。」


「子供か。あなたじゃあるまいし。それこそ非効率でしょ。」


「うるせー。男は勝敗にこだわるんだよ。理屈が通らないの自分で分かってるから誤魔化しばっかで話し合いも取り合わねーんだ。父さん個人の感情の問題。それかその部下が超絶イケメンとかな。こっちの方がまあまあ可能性高いかもな。」

「部下が女性の可能性は?」

「ないね。言ったろ?父さんはリスクヘッジがしっかりしてる。たとえ浮気じゃなくても誤解されるリスクは絶対に避ける。」


イケメンなら毎日息子の顔見飽きて耐性はある。だいたいイケメンの陽キャなオーラとか遠くから見てるだけでも病む。


「母さんも部下も失いたくないから会わせられないって事じゃね?」

「何で私が浮気する前提なのよ。それに、お母さんはあの人でも分かる様なあからさまな王道イケメンは好みじゃ無い。」


 自分の恋愛偏差値に自信がある奴というのは異性に対してとにかく距離が近い。拒絶された経験が無いから自分の魅力という強みを最大限活かして喜ばせるつもりで積極的にボディタッチしたり内面に踏み込んでくるのだ。


同窓会に結婚式の二次会、職場の合同忘年会、そういう輩はどこにでも出没する。

 悪気が無いかもとか祝いの席だからと拒否するのを躊躇しているうちに二次会だと言われ付いていけば2人だったとかザラだ。


そういう奴らは私の様な陰キャなら恋愛慣れしていないからすぐ落ちると勘違いして即日誘惑してくるのだ。くっ。嫌な事を思い出してしまった。それを喜ぶ女ばっかりでは無いというのだ!全く人の気持ちを想像できない愚かな奴らめ。人として信頼するに値しない。気持ち悪い。死ねばいいのに。私の嫌いなタイプ第一位だ。

「おぅ。母さんイケメンと一体何があったんだよ。めっちゃ本気でヤバい顔してる。その顔で全世界のイケメンが呪い殺されそう。写真撮って見せてやろうか。」

「やめなさい!怒るよ!」

息子が写真を撮ろうとしてくるので手で顔を隠して顔を背ける。

「父さん帰って来たらイケメンが好みじゃ無いから父さんと結婚したって言ってとくわww」

「やめてそう言う意味じゃないから。ほんとに怒るよ!」

「悪かったよ。俺まだ母さんに呪い殺されたくないわ。でも絶対外でその顔するなよ?見られたらヤバいから!」


 それにしても私に負けたくないとは意外な程子供っぽい理由だ。一緒にできる趣味を始めたいって言い出したのは夫なのに私に勝ちたいから1人で行くとは辻褄が合わないのでは。


「まあイケメンでなくても母さん好みどストライクの男なんじゃねぇ?それで相手の人物像してみ?」

私の好みか。

「適度な距離感があって…私の行動を制限しなくて…決して私に触らず軽々しく話しかけて来ない?」

「まるで恋愛に発展する要素が無いじゃねーかwどんだけ男嫌いなんだよwwww」

「居酒屋で生まれ育ったから周りに粗野な男が多すぎたのよ。」

でも夫だけは違った。夫の話が楽しくて、そばに居ると安心感が半端なかった。夫だったらたとえイケメンでも結婚したと思う。


香原柚月さんが家に来た。驚くぐらい美人になってる。肌艶もスタイルも抜群だ。

「和樹君のお母さん、ご無沙汰しています。先日はお守りを下さってどうもありがとうございます。有り難く使わせていただいています。」

香原さんは本当に礼儀正しい。

「いらっしゃい香原さん。今日はゆっくりしていってね。」

 無事香原さんの魔力を覚えていつでも駆けつける事ができる様になった。


 ん?!私は何で家族じゃない香原さんのステータスを見られるんだろう?!

 


異世界。

 今日は依頼で孤児院にやってきた。

「いらっしゃいませユメさん。」

「依頼で来ました。これ、差し入れです。使ってください。」

ついでに鶏肉の差し入れをした。お母さんが仕入れた地球産を聖域で冷凍していたものだ。

「あら。この季節に凍っているなんて、ユメさんは魔法使いなんですか?」

「はい。魔法は得意です!」

「魔法使いの方がこの様な安い依頼を…」

「子供大好きなので!」

院長先生が戸惑いながら依頼内容を説明してくれた。

「HP管理の為に子供達は鑑定していいですか?」」

「もちろんですよ。許可は必要ありません。」

必要だと思うよ?個人情報なんだから。


 大きな子達が洗濯や掃除をしていて、大人達は教会の運営をしているから、小さな子の面倒を見る人が居なくて普段は放置されているという。いや危ないな。


 子供達が危ない事しないように見守ったり、余裕があれば遊んで欲しいという依頼だ。


 ライラちゃん4歳 クルトくん6歳 ラナちゃん6歳の3人。ラナちゃんとライラちゃんは姉妹である。


まずライラちゃん。

4歳のステータスは低いから怪我をさせない様にしないと。この子は器用さと魔力が高い。

クルト君はフィジカルが強いけれど魔法は苦手みたいだ。息子と同じ直感スキルがある!

そしてラナちゃん。一番魔力が高い。そして器用だ。体力はかなり無い方で、4歳の子と変わらない。


 長時間の暇つぶしができて手に職が付けば良いなと思って毛糸を持ってきた。指編みを教えるよ。スキルが生えなくても細かい手作業で器用さが上がれば役立ちそうだし。

「だぁあ!つまんない!」

 女の子二人は楽しんで編んでるけど、クルトくんがキレてしまいました……。クルト君が楽しめる事は何だろうか。試しに縄跳びを錬成した。前跳びと走り跳びを教えたらすぐ覚えて、中庭で走りながら跳んでいる。器用さが低いから時々引っ掛かっているけれど、これは色んな面が鍛えられてなかなか良いかも知れない。


 指編み、今回は手のひら編みでできたマフラーはなかなか上手にできた。慣れたら棒編み用の棒もかぎ針も今度教えてあげよう。ここから服飾スキルに発展すると良いなと思う。

3人には、他の子にも教えてあげる様に言って縄跳びと毛糸を置いていった。


香原柚月 こうはらゆづき 和樹の恋人 久我唯芽の信者

レベル1

 HP 42

 MP 22

 力 18

 体力 21

 素早さ 18

 器用さ 26

 魔力 11

 運 17


ライラレベル1 孤児

 HP 16

 MP 28

 力 7

 体力 8

 素早さ 6

 器用さ 12

 魔力 14

 運 11


 クルトレベル1 孤児

 HP 24

 MP 18

 力 12

 体力 12

 素早さ 14

 器用さ 11

 魔力 9

 運 15

 スキル 直感


 ラナ レベル1

 HP 16

 MP 40

 力 7

 体力 8

 素早さ 8

 器用さ 17

 魔力 20

 運 17

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