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101話 初依頼

土曜日。

「ネイル可愛いね。」

 朝から夫がネイルをほめてきた。それは夫の言葉じゃない。分からないものを無理して褒めているのが丸わかりだ。

息子が夫に入れ知恵してるのを知っているから素直に喜べない。あいつは何か企んでいるに決まってるのだ。

だいたい突然私の見た目を褒めて機嫌を取るなんて、あからさまに怪しいではないか。これでもし花束やケーキなんて買ってこようものならいよいよ浮気を疑われても仕方がない。逆効果なのだよ。そんな事で私が異世界の事を夫に話す訳が無い。

息子はいつまで経ってもやっぱり考え方が子供だ。そんな単純では彼女に手のひらで転がされているに違いない。でも彼女の為にもそれは悪手だと指摘するのはやめておこう。将来自分でボロを出すが良い。

「律樹さん、私はいつも普段のあなたの言葉に救われてるの。だから分からない事を無理して褒めないで。嘘が混じると普段のあなたの言葉が安っぽくなっちゃうよ。」

今のあなたはあなたらしくない。

「君が僕の為に綺麗にしてくれるのが嬉しいのは本当だよ?」

 あ、こっちは本心だ。おしゃれについては全く分からないけれど努力は一応嬉しくはあると。

「そんな事より私早く釣りに行きたいな。計画立ててね。」

と上目遣いで見たら夫が逃げる様にパチンコへ行ってしまった。なんでや!!


「和樹、今度香原さんを連れてきて。彼女の魔力を覚えていざという時助けられる様にしたいから。」

「は?魔力?」

ハーブティーの瓶を指さす。

「ハーブティー、大量に飲ませているでしょう?減りが尋常じゃないもん。」


 息子はこっそりハーブティーをペットボトルに入れて持って行って学校で二人で飲んでいたらしい。柚月さんはすっかりハマってしまっているとか。それはそうだろう。精神安定効果なんて無くても女性なら当然ハマると思う。


「それって俺もなんか生えてたりする?」


なんて期待に満ちた目をするのだ。仕方がない、とっておきを教えて喜ばせてあげよう。

「実は和樹はもともと直感と霊感があるよ。魔力を高めないと霊に対抗できないからハーブティーたくさん飲んでもいいよ。」


どうだ自分が特別だと知って嬉しいだろう。私は息子が隠れ厨二病だとちゃんと知っているのだ。

「えぇ!こわっ!何言うんだよやめろよ!こわっ!」

私は息子のステータスをメモしてあげようと鑑定して表示が変わっている事に気付いた。


「んん???」

霊感が神聖魔法に変化している。守護霊様のおかげ?

「和樹……霊感が神聖魔法に統合されてる。悪い霊を退治したらレベル上がるか一応試してみる?」

「えぇ!俺絶対無理!」


 私は作業部屋に行き衣装作りをした。

忙しくて全く新作できてなかったけれど、とりあえずハロウィンの仮装を。無難に魔女とドラキュラにした。異世界にもドラキュラって居るのだろうか。神聖魔法で倒せるのか?気になるところである。写真と動画を初ちゃんに送って出品をしてもらった。


 

 異世界にて。

久々に冒険者ギルドに来たら、教会孤児院での子守りの依頼があった。安くて誰も受けたがらないらしい。


基本的に子供と遊んであげるだけなんだけれど、駆け出し冒険者だと低年齢すぎて、複数人の子供の面倒を見るのは難しいみたいだ。


かと言ってある程度の年齢だと、ランクも上がっているから安い依頼は受けたがらない。孤児出身の冒険者も居るけれど、この依頼では食べていけないからたまにしか受けられないみたいだ。


「一緒に遊んであげたり、危ない事しない様に見てるだけで良いんですか?」

子供だったら得意分野。余裕かも。


「そうなんですけど、子供は走り回るから、ある程度の忍耐力が必要みたいです。子供好きでないと多分無理ですね。」

簡単な依頼に見えるけど子供によるのかも知れない。掃除をしている子供達は大人しく見えたけれど、その子達に仕事を教える間、低年齢の子供達の面倒を見る仕事らしいのだ。


「明日試しに行ってみます。」


 次代の子供達を育てたら、生活水準が上がるかも知れない。なんにしても、その子達と親しくなってからになる。行かずに分かることは無いのだ。



  久我 和樹 レベル1 唯芽の息子

 レベル1

 HP 60

 MP 58

 力 33

 体力 30

 素早さ 20

 器用さ 26

 魔力 29

 運 28

 常時発動スキル 直感 神聖魔法

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